亜砂都優子・画/池田悦子・原作「妖華 ―アルラウネ―B」(1988年2月15日初版発行)
断頭台の下で何百人もの死刑囚の血を吸って咲く花、アルラウネ。
アルラウネが現われて五百年後、日本人の遠野華(とおの・はな)はその毒を受け継ぎ、アルラウネが復活する。
彼女の行く所には悪徳の種が蒔かれ、悪の華が乱れ咲く…。
・「第9話 偽りの魔女」
「遠野華は洋子という少女のピアノ教師をする。
ある日、洋子と一緒にコンサートに行く途中、華は骨董品屋のショーウィンドーに気になるものを見つける。
それは平べったい楕円形に近い石で、昔のジプシーが護符として首に下げていたものらしい。
彼女はその石に見覚えがあり、記憶と辿ると、それは魔女狩りの時代のドイツのことであった。
アルラウネはジプシー男のガロを誘惑し、婚約者のローザは彼女を魔女として告発しようとする。
しかし、ガロは占い師の老婆を買収し、逆にローザは魔女として断頭台で処刑されてしまったのであった。(魔女狩りの時代にギロチンってあったのか?)
ふと我に返ると、すぐ横にいた洋子の姿がないことに気付く。
また、石の護符も手元になかった。
彼女がコンサート会場の外に洋子を捜しに行くと…」
・「第10話 儚き誓い」
「登は外交官の御曹司。
彼は瞳子という娘と結婚する予定であったが、ブライダルブーケの件で花屋に来た時に遠野華と出会う。
彼は華に心を奪われ、結婚式の前夜、瞳子に婚約の破棄を告げる。
瞳子は招待客に婚約破棄のことを言うことができず、左手の薬指を扉で潰し、結婚指輪をはめられなくする。
登の友人の幸彦は彼がアルラウネに惑わされていると説得しようとするも、登は聞く耳を持たず、瞳子のもとには戻ってこなかった。
その後、瞳子は彼からの婚約指輪を胸に抱きながら、衰弱死する。
一方、登は華にいろいろと尽くすも、彼女は口づけ一つさえ許さなかった。
ある日、彼女が口づけの代わりに彼の結婚指輪を望むと…」
・「第11話 髑髏心中」
「俊行は植物学の権威、雲ヶ峰博士の助手。
彼には圭子という恋人がおり、二人は結婚するつもりであった。
ある日、二人で山にいると、新種の蔦を発見する。
彼はこの蔦に圭子の名前をつけようと考え、蔦のある場所を二人だけの秘密にする。
彼は雲ヶ峰博士にこの蔦のことを報告するも、場所は決して明かさない。
その時、アルラウネが雲ヶ峰博士に会いに来る。
彼女はヨーロッパの貴族夫人に扮し、日本の有能な植物学者に立派な植物園と研究室を提供するつもりだと話す。
雲ヶ峰博士はそれを手に入れるために…」
・「第12話 灰の中の悪霊」
「女優の友田小夜子とその母親は猫に呪われていた。
三年前、母親が離婚し、二人でアパート暮らしをしていた頃、父親の残していった牝猫が皮膚病にかかって死にかかる。
小夜子は保健所に持って行こうとするも、母親は猫を焼却炉に入れ焼き殺してしまう。
その後、母親は猫の鈴の音に悩まされ、灯油を頭からかぶって、暖炉に入り、焼死する。
また、小夜子にも猫の呪いが及びつつあった。
小夜子は幸彦に相談するが、彼は悪魔祓いの術を知らない。
すると、華が彼の代わりにその役目を引き受けるというのだが…」
・「SENSITIVE」
「ジェレミー・スコットはスタジオ専門のギタリスト。
彼はグラムというバンドの助っ人に出かける。
グラムはディレクとフィーヴィーのツイン・ギターが売りであったが、ディレクは車ごと崖から転落する事故で亡くなっていた。
ディレクが外交的だったのに対し、フィーヴィーは非常に気難しく、バンド内はギクシャクしているばかりか、フィーヴィーはディレクの死が殺人だと考えているようであった。
ジェレミーはあることをきっかけにフィーヴィーの秘密を知るが、その時、スタジオで騒ぎが起こる。
昨日、フィーヴィー抜きで録った録音にディレクのギターらしき音が重なっていた。
これはディレクの幽霊の仕業なのであろうか…?」
悲惨な話が多いのですが、とりあえず、幸彦があまりにも役に立たず、ヘタレ過ぎ。
でも、「灰の中の悪霊」はなかなか面白く感じました。
『アルラウネ vs 化け猫』という展開が読めるのは恐らく、この作品だけです。(ただし、過剰な期待を抱いてはいけません。)
2024年9月12・14日 ページ作成・執筆