楳図かずお「黒いねこ面」(1985年11月15日初版発行)

 収録作品

・「黒いねこ面」(1966年「週刊少女フレンド」30〜45号掲載)
「安政四年。
 竹庵は、柴田家に仕える御殿医であったが、薬の処方を誤ったために、殿に斬殺される。
 その妻と娘も牢屋に監禁され、妻は獄死。
 竹庵の飼い猫の黒猫は復讐のため、殿の母親を殺して、彼女に化ける。
 だが、見破られてしまい、黒猫は射殺、竹庵の娘は城壁に生きたまま、塗りこめられる。
 そして、時は移り、現代。
 ある夜、柴田家の子孫が営む医院で、彼の妻が出産する。
 産まれた女児は、猫そっくりであった。
 柴田医師は、大森たまみという赤ん坊と自分の赤ん坊と取り換える。
 時は流れ、えみ子と名付けられた赤ん坊は、可憐な少女に成長する。
 だが、柴田医師は、猫の赤ん坊のその後を考えると、気が気でない。
 ある日、柴田医院に大森夫妻がたまみを連れて訪れる。
 夫妻はたまみを手術で普通の人間にしてくれと柴田医師に頼み、たまみを残して去る。
 たまみは柴田医師にえり子と同じ顔にするよう迫るが、柴田医師は手術中にたまみを殺そうと目論む。
 しかし、たまみを傷つけても、苦痛を与えることはできず、何故か、えみ子がたまみの代わりに苦しみ悶える。
 遂に、柴田医師は気が触れてしまい、たまみに言われるまま、手術を続行。
 手術は成功し、たまみの両親がたまみを迎えに来たのと同じ頃に、えみ子も昏睡状態から回復する。
 えみ子が登校すると、彼女にそっくりな少女、大森たまみがクラスに転入してくる。
 えみ子とたまみはすぐに仲良くなり、えみ子はたまみの家に遊びに行く。
 たまみの部屋には、手術の際に剥がされた猫面と両手の皮が飾られていた。
 えみ子はその猫面と手の皮に襲われ、たまみにより地下室に監禁される。
 クロの転生である、たまみはえみ子になり代わり、柴田家への復讐を開始する…」

・「ヘビおばさん」
「奈良県の深い山奥にあるオツネの滝。
 そこには巨大なウワバミが住むという言い伝えがあった。
 さつきとその妹のかんな、友人の冬子がその滝に寄ると、滝壺の中から一人の女性が現れ、立ち去る。
 冬子が家に戻ると、その女性が新しい母親として家にいた。
 新しい母親は父親がいない時、冬子の前で蛇女であることを明かし、彼女を脅かす。
 冬子は父親やさつきにそのことを訴えるが、信じてもらえず、遂には、蔵に幽閉されることとなる。
 さつきとかんなは冬子の様子を見に行き、冬子を蔵から助け出そうとする。
 そこで彼女達は母親の正体を知るのだった…」

 「黒いねこ面」と「ヘビおばさん」のカップリングです。
 個人的には、名作「ヘビおばさん」よりも、「黒いねこ面」の方が好きです。
 「顔のない眼」に影響を受けたと思しき手術シーンやラスト、骸骨の群れが襲いかかってくるシーン等、サービス精神旺盛かつパワフルな作品で、かなり楽しめました。

2018年2月7日 ページ作成・執筆
2018年6月6日 加筆訂正

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