広永マキ「悪魔の椅子」(1988年5月25日初版発行)
「二宮さつきは、両親を火事で失った後、資産家の伯父の家に引き取られるものの、冷遇されていた。
何故なら、彼女の父親は、庶民の娘と結婚するため、勘当同様に家を出ていたからであった。
特に、伯母とその娘の愛子からの風当たりは厳しく、さつきは家にも学校にも居場所がない。
ある日、彼女は、古道具屋で、西洋の年代物の椅子を格安で購入する。
実は、この椅子は、古くはマリー・アントワネットが用いた、歴史のあるものであり、持ち主の願いを叶える力を持っていた。
さつきが椅子に座っていると、彼女は両親の夢を見る。
その夢をきっかけに、彼女は両親の死が失火ではなく、殺人であることを知る。
彼女は、父親が最後に描いた絵を頼りに、犯人を捜し始める。
徐々に、両親の死にまつわる秘密が明らかになっていくが、彼女が犯人と目した人物が次々と死んでいく。
さつきの両親を殺害した犯人は一体誰…?」
「超能力を持った椅子」をテーマにした、なかなか面白い、ホラー・ミステリーだと思います。
程よくまとまっており、大きな破綻もありません。
でも、大きく逸脱もしない反面、オーソドックスな展開のために、真犯人もラストも途中で薄々見当ついてしまうんですよね〜。
それを考慮に入れても、佳作と扱ってもいいのではないでしょうか。
2018年10月10日 ページ作成・執筆