はしぐち郁子「呪いの羽ばたき」(1986年11月10日初版発行)
収録作品
・「呪いの羽ばたき」(池田悦子・原作/「ひとみコミック・コレクション」1986年4月25日号)
「ニューミュージックの騎手、立原モモ子がコンサートの直後、殺される。
付き人の紀子は、その死が父親の死と類似していることに気付く。
彼女の父親は著名な蝶学者であったが、同じく、舌を切り取られていた。
モモ子の死体が手にしていた蝶の羽は、父親が発表しようとしていた新種の蝶のもので、更に、モモ子はコンサートで唄った機織り歌は、父親の死後、失踪した、紀子の母親がよく唄っていた歌であった。
紀子は、父親の遺品を調べ、新種の蝶の採集地が、母親の出身地、流人島であることを知る。
早速、彼女は、母親の行方を突き止めるべく、蝶の研究者の徹と共に、その島に向かう。
そこは過去、犯罪者が流された島で、「地獄織(じごくおり)」という非常に美しい織物が特産品であった。
紀子は何度も命の危険にさらされながらも、事件の核心へと近付いて行く。
黒い羽に赤い杼(ひ/注1)の斑紋のある「クロカミサマ」の由来と秘密とは…?」
・「メッセージがきこえる」(「ひとみ」1986年6月号)
「松原中学校。
森田知世は幼馴染の早川わたるをひそかに想っていた。
だが、彼には松田あきこという恋人がいた。
ある日、知世はわたるからバンドにキーボードとして参加するよう頼まれる。
彼のバンドへの情熱に胸を打たれ、彼女はバンドに加わり、音楽を通じて彼と結ばれる。
だが、わたるの音楽活動は風紀の先生に目をつけられており、あきこはわたるにバンドをやめるよう言う。
知世はあきこに腹を立て、なりゆきで、わたるに胸の想いを打ち明けてしまうのだが…」
・「もどってきたサンタ」(「ひとみ」1985年12月号)
「長崎県立東南高等学校。
あゆみは、隣の家の東川翔のことが好き。
だが、四年前の小学生の時、彼を「チビで弱虫」呼ばわりして以来、彼とは付き合いがなかった。
その「チビで弱虫」の翔は今やノッポのイケメンとなり、バンド活動でモテモテで、あゆみは彼のことを考えるのがつらい。
ある日、友人の森下早苗は彼女の部屋に泊まりに来て、翔の部屋を少しだけ覗くことになる。
久しぶりに見た彼の部屋はすっかり変わっていて、あゆみは彼が四年、違う世界を生きてきたことを痛感する。
しかし、これをきっかけとして、二人の関係は少しずつ変わろうとしていた…」
「呪いのはばたき」は、池田悦子さんが原作を担当したサスペンス・ミステリーの中編です。
若干、原作をこなしきれてない印象がありますが、グロ描写を頑張っているところに好感・大です。
残りの二編は、もろ少女漫画です。
この類の漫画は私の感性に合わず、イマイチに感じました。
・注1
「機を織るときに横糸を通す舟形の道具」(p22)
2021年4月21日 ページ作成・執筆