柿崎普美
「デビルズ・ゾーン@」(1992年1月10日初版発行)
「デビルズ・ゾーンA」(1992年6月15日初版発行)

・「デビルズ・ゾーン」
 和田美波と森崎勇生は、ソウル(異星人戦士の魂)に憑りつかれ、戦士として覚醒。
 勇生は「地の怒りの力」を、美波は「空と風の愛の力」をソウルから引き継ぎ、アデイラという寄生植物を操るWM(ワールドマスター)という侵略用コンピューターと戦うこととなる。
 このアデイラは生物に寄生し、その本体とそっくりになり代わるというもので、ソウルの住んでいた惑星はアデイラによって荒廃。
 惑星の戦士達はアデイラを地球まで追って、相討ちとなるが、アデイラはわずかな種子を異空間に隠し、WMによって守られていた。
 そして、今、学園内に隠された、七台のWMが生徒達を次々とアデイラの餌食にしていく。
 美波と勇生、二人の戦士の戦いの行方は…?
「ACT.1 戦士の目覚め」
 星和高校は、スポーツや勉強の優等生を寮費免除や学費免除で各地から集める、お金持ち高校。
 優待生の一人、和田美波は、寮に移って以来、奇妙な夢を見るようになる。
 夢で、彼女は何者かに「戦士よ」と呼ばれ、奇妙なモンスターに襲われる。
 彼女がピンチになった時、一人の青年が現れ、二人が手を合わせた時、モンスターを撃破するのであった。
 ある日、彼女は夢の中の青年、森崎勇生と出会う。
 彼も彼女と同じ夢を見ており、彼は何者かに彼女を守るよう告げられていた。
 また、夢の中に出てくるモンスターの正体は、特待生の秋山先輩らしい。
 学校では生徒達が次々と貧血を起こしており、夢とは無関係ではなさそうであった。
 奇妙な偶然に戸惑う二人に魔の手が伸びる…。
「ACT.2 花迷宮」
 美波と勇生は、またもや同じ夢を見る。
 それは、園芸部のマドンナ、小川先輩が血まみれ、かつ、花に埋もれて、助けを求めているというものであった。
 二人で様子を見に行くと、彼女には特に変わった様子はなかったものの、夢で見た花を花壇で栽培していた。
 その夜、園芸部の男性部員が二人、失踪する。
 翌日、園芸部を訪れると、夢で見た花が二つ、なくなっていた。
 美波と勇生はその花を調べようとするのだが…。
「ACT.3 影の戦士」
 美波と勇生は、彼らと同じ戦士である星崎怜という転校生と出会う。
 彼は、二人のように戦士のソウルが憑依しているわけでなく、本物の異星人戦士であった。
 彼は二人に手を引くよう警告。
 何故なら、七台あるWMの半分が破壊されると、自爆して、その一帯は死の世界になるという。
 そして、WMのスイッチを止める方法は彼しか知らなかった。
 だが、WMのスイッチを切ることはアデイラに寄生された生徒達を消滅させることになり、勇生は反発する。
 一方、美波のソウルはしきりに怜に意思疎通を行おうとするのだが…。
「ACT.4 ファイナル・トラップ」
 最後のWMが戦士達に戦いを挑んでくる。
 WMは、学校を地中の異世界に引きずり込み、二千人の命を人質に取り、戦士達が殺し合い、残った一人が自殺することを要求。
 他に方法はなく、怜は、美波と勇生に襲いかかる。
 勇生を消されたことをきっかけに、美波に憑りついていたソウルが現れる。
 二人の戦いの行く末は…。
「ACT.5 ソウルとレイの過去」
 美波と勇生が目覚めると、町に異変が起きていた。
 町全体が何かの力で閉鎖され、町人は夢遊状態で何者かに操られている。
 美波と勇生は操られはしなかったものの、閉鎖空間では力が発揮できない。
 そんな二人の前に、レイが現れ、襲いかかってくる。
 実は、レイは、WM達の支配者かつ頭脳である「マザー」の戦士であった。
 二人は、ソウルの指示で、学校へと向かうが、そこに隠されていたものとは…?
「LAST ACT. エピローグ」
 マザーの本拠地は、T電機の工場。
 そこでは、町民達を吸収したアデイラによって、WMが生産されようとしていた。
 レイの手引きによって、二人はどうにか中に入ったものの、今度はアデイラに襲われる。
 一方、レイは、マザーの支配を脱するも、マザーに囚われてしまう。
 美波と勇生はマザーと対峙するのだが…。

・「夢想樹」
「和美と哲郎は小学校時代からの剣道のライバル。
 実は互いに惚れていたが、二人とも、告白できずにいた。
 ある日、和美は「御前様」と呼ばれる樹の幹に、着物姿の女性を視る。
 「御前様」は、樹齢四百年以上の大木で、恋人の仲を裂くと噂されていた。
 その木の前で、哲郎と痴話喧嘩をして以来、奇妙なことが起きるようになる。
 彼の前に、和美が現れ、しきりに迫ってくるのだ。
 しかし、それは樹の女性の霊が化けたものであった。
 和美は、そのことに気付き、哲郎を取り戻そうとするのだが…」

・「過去からのねがい」
「篠田達郎と佐崎星子は十年以上のお付き合い。
 星子は彼を想ってはいたが、友達の関係を壊すことが怖い。
 ある日、クラスに竹原真理子という美しい娘が転入してくる。
 驚いたことに、彼女は達郎に「あなたっ!!」といきなり抱きついてくる。
 これをきっかけに、真理子と達郎は急接近、星子は嫉妬に苛まされる。
 しかし、これは、真理子は病弱で、長くない命らしく、楽しい思い出を作るためであった。
 それを打ち明けた後、達郎は星子に助けを求める。
 真理子の近くにいると、気が遠くなり、彼女に操られているようで、このままでは彼女に連れて行かれると言う。
 星子は彼を引き止めることができるのであろうか…?」

 「デビルゾーン」ACT.1〜4が一巻に収録、「デビルゾーン」ACT.5,6、「夢想樹」「過去からのねがい」が二巻に収録。
 「デビルゾーン」は柿崎・印のSF作品、「夢想樹」「過去からのねがい」は怪奇短編です。

2021年4月2・6日 ページ作成・執筆

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