芝田英行「悪魔の霊感少女」(1987年4月20日初版発行)

「私立清白女子中学校。
 はるかは霊感を持つと公言し、人助けを自分の使命と考えていた。
 ある日、写真部の麻江、由季、今日子は、心霊写真について相談するために、理科室を訪れる。
 はるかは生物部に所属し、理科準備室が彼女のお気に入りの場所であった。
 彼女は心霊写真には地縛霊が写っていると話し、麻江に供養の方法を教える。
 ついでに、由季、今日子、はるかと同じ生物部の生徒、幸代は、はるかの霊視を受けることとなる。
 彼女の霊視によると、今日子は、彼女が旅先から連れ帰った悪霊のせいで、両親が霊障を受け、次には兄が事故死するとのこと。
 また、由季には、水子の霊が、そして、幸代には色情霊が憑りついていると話す。
 縁起でもないことや身に覚えのないことばかり言われ、彼女達はとても平静ではいられない。
 それだけにとどまらず、彼女達は、放課後の学校に閉じ込められ、悪霊に襲われ、逃げ惑うこととなる。
 そんな中、麻江は、善良な霊に助けられ、他の皆も探し出す。
 麻江達は保健室で護の池中先生に事の経緯を説明。
 にわかには信じられない話ではあれど、四人が同じことを話すため、池中先生も信じざるを得ない。
 そして、理科準備室に幽霊が出るという噂が過去にあったと話す。
 池中先生と麻江達は、真相を突き止めるために、はるかに会うのだが…」

 つのだじろう先生の系譜に連なる、「創作系オカルト・マンガ」の範疇に入る作品です。(私の勝手なジャンル分けですので、気にしないでください。)
 今は「実話系心霊マンガ」(注1)がすっかり幅をきかせて、この類のマンガは絶滅したようです。(注2)
 実際、今現在読むと、オーバーな心霊現象の描写等、垢抜けているとは言い難く、説得力は大してありません。
 でもね、こういうものは「HEART」なんですよ!!
 この作品、読めば読むほど、芝田英行先生って真面目な人だったんだろうな〜、というオーラをひしひし感じます。
 そういう体験って「実話系心霊マンガ」であるでしょうか?(あくまでも個人的の感想です。)

・注1
 霊能力者の体験を漫画化したものを指してます。
 様々な個性の霊能力者がいるみたいで、どれもそれなりに興味深いものの、読み続けていると、「上から目線」にウンザリしてくるのは私だけでしょうか?
 霊感皆無の私はこの手のマンガについて書けることはほとんどないので、紹介は他の方にお任せしたいと思います。

・注2
 一般的なホラー雑誌以外の児童向けマンガ(例、「ちゃお」等)ではいまだ描かれているかもしれません。(未確認)
 また、読者の心霊体験を漫画化したものも、漫画家さんが多分に脚色しているようなので、「創作系」に位置付けることができるかもしれません。
 まあ、それを言ったら、「実話系心霊マンガ」だって、霊能力者の言ってることを漫画家が脚色しているだけと言えなくもないかもね。

2017年8月9日 ページ作成・執筆

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