古賀新一「エコエコアザラクL」
(1978年9月5日初版・1981年7月20日10版発行)

・「望遠鏡に映った女」
「重太郎は三年も入院の身。
 ある日、彼は病院を脱け出し、デパートを訪れる。
 その屋上に設置してある望遠鏡で覗いていた時、雑踏の中に、清純で美しい女性を目にする。
 一瞬だけ見た彼女に彼は一目惚れし、以来、必死に捜索。
 ようやくのことで彼女がいた場所は特定できたが、そこで彼は病気が悪化し、倒れてしまう。
 その後、入院中の彼に、魔子と名乗る女性から手紙が届く。
 魔子こそ彼が捜し求めていた女性らしい。
 手紙には、彼のため、自分の住所は明かさず、身体を療養するよう書かれていたが、彼はどうしても彼女に会いたい。
 彼の両親は、魔子の行方をミサに占ってもらうのだが…」

・「虫の音式カンニング法」
「新幹線でミサ達の隣に座った老人の話。
 彼が15歳ぐらいの頃、試験勉強に疲れて、うたた寝をした時、虫の音が耳につく。
 表に出てみると、冬だというのに、秋の虫達が集まっていた。
 彼は、不思議に思いながら、虫を虫カゴに採集する。
 数日後、彼が問題に頭を悩ましていると、虫の鳴き声が一塊になって、解けなかった問題の答えに聞こえる。
 翌日、学校でも同様のことが起こり、以来、彼は「虫の音式カンニング法」で成績は急上昇。
 そのために、不良達にカンニング法を教えるよう脅迫されるのだが…」

・「恋がたき」
「ミサは、一週間も無断欠席している安藤阿也を心配して、彼女の邸を訪問する。
 その邸は、様々な人形で溢れ返っていた。
 阿也とようやく出会えたものの、彼女は悲嘆に暮れていた。
 そこに強盗が現れるが、彼女の父親は倒産し、この邸も抵当に入っていた。
 にもかかわらず、阿也は強盗に大金を渡し、その引き換えに、彼女が最も大切にしてきた御所人形を殺すよう依頼する。
 彼女とその御所人形の関係とは…?」

・「恐怖の顔」
「音痴のくせに、歌手への夢があきらめられない青年、金山ひろし。
 ある日、彼はミサに死相が出ていると告げられる。
 インチキだと相手にしなかったが、その夜、有名なレコード会社の人が彼を訪ねてくる。
 彼は、ひろしの声に魅力を感じると話し、以来、とんとん拍子にスターの座に進む。
 ところが、彼のファンは皆、レコード会社の人と同じ顔で…」

・「芋虫無惨!」
「もと実業家で大金持ちの老人。
 彼は幼少期のトラウマで、芋虫が大の苦手であった。
 老人の甥は、遺産を狙っており、ミサに黒魔術を教えるよう頼む。
 ミサは彼に芋虫に変身する術を教えるのだが…」

・「幽霊城の秘密」
「ミサが三歳の頃。
 彼女は、イギリス郊外にある幽霊城に預けられる。
 そこは女の幽霊が出るという噂があった。
 そこには何でもそろっており、何不自由ない暮らしができるが、母親代わりの老婆との二人暮らしで、寂しくてたまらない。
 ある日、ミサが退屈しのぎに壁を叩くと、誰もいないはずの向こうから音が返ってくる。
 壁を叩くことでコミュニケーションを取るうちに、相手は、彼女と同じ三歳のローズという少女らしい。
 ミサは、ローズが、老婆が開けてはならないといった扉の向こうにいるのではと考えるのだが…」

・「キツネの棲む村」
「資産家の息子の英太は、少年を轢き逃げして、死なせ、次には、喧嘩相手を刺殺し、逃亡中というならず者。
 彼の居所を掴んだミサは、ある村へとやって来る。
 その村には魔性の九尾キツネの伝説があり、殺生石も存在していた。
 村人の話によると、数日前、工場の一人娘が九尾キツネに襲われたらしいのだが…」

・「リトロコグニション」
「昨晩、職員室に何者かが侵入したと騒ぎになる。
 だが、盗まれたもがわからず、先生達は頭を抱える。
 ミサはリトロコグニション(過去の認知)の魔術で、五人の男子生徒が試験の問題用紙を盗み出したことを明らかにする。
 その五人の中に、彼女が憧れる平間の姿もあった。
 テストの間、ミサは悩むのだが…」

・「整形志願」
「黒井医院を訪れた、資産家の息子とそのおじ。
 資産家の息子は、おじを、亡くなった父親そっくりに整形して欲しいと頼む。
 彼は、母親を早くに亡くし、父親にかわいがって育てられたため、父親がいないと全く意気地がない。
 そこで、おじが父親代わりになって、彼を叱咤激励しようというのであった。
 手術は無事、成功し、おじは父親そっくりになる。
 しかし、彼らの本当の狙いは、殺した父親とそっくり入れ替わって、財産を横取りしようというものであった。
 ところが、魔法手術があまりに完璧だったため…」

・「聖夜物語」
「クリスマス・イブの夜。
 不況で工場が倒産寸前の工場主。
 彼は借金返済のための金を持って帰る途中、レストランで無銭飲食をして、乱暴を受けてる若者を目にする。
 止めに入ったことから、彼は、若者の食事代を出してやる。
 若者の話によると、彼は浪人生で、田舎に帰る金をバイトで貯めたものの、すられて、ヤケになっていたらしい。
 気の毒に思った彼は、自分は金持ちの実業家と偽り、飲み屋で酒をおごった後、彼の旅費を出す。
 お礼に、若者の父親のカフスボタンをもらって、家へと帰るのだが…」

 ちょびっと考察。
・「望遠鏡に映った女」→江戸川乱歩「押絵と旅する男」を下敷きにした作品。ヘンリイ・スレッサー「ペンフレンド」の影響あり?
・「恋がたき」→ベン・ヘクトの名編「恋がたき」が下敷きだとは思うが、また別の作品かも…。
・「恐怖の顔」→古賀しんさく・名義「奇妙な犯罪」(「オール怪談・47」)のリメイク。
・「聖夜物語」→この手の話はどこかで読んだり、観たりした記憶はあるんだけど、今のところ、特定できず。もやもや…。(オー・ヘンリーとかにありそう。)

2021年4月14・15日 ページ作成・執筆

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