古賀新一「エコエコアザラクM」
(1978年11月5日初版・1980年12月20日6版発行)
・「すばらしき贋作」
「ミサはスケートボードの練習中、あやまって女の子の人形を壊してしまう。
その人形はとても大切なもので、ミサが弱っていると、クラスメートが彼のおじの店を紹介する。
それは「贋作店」という店で、どんなものでも精巧なレプリカを作ってくれるのであった。
店の主人にとって人形なんて朝飯前で、ミサが代金を払おうとすると、彼はミサに力を貸してくれるよう頼む。
彼が学生の頃、荒井という男に、絵を模写とバカにされただけでなく、絵を切り刻まれたことがあり、荒井に復讐の念を抱いていた。
ミサは了承するが、復讐の方法とは…?」
・「正明の船出」
「正明は、漁師の仕事に見切りを付け、都会に出ようと考えていた。
ある日、寺の境内で、子供達と遊んでいると、五人のはずなのに、六人いる。
しかも、同じような出来事が一年前から度々起こっていた。
訝りながら帰ろうとした時、顔色の悪い少年が彼を呼び止める。
少年は美紀夫といい、正明にもっと遊んでくれるようせがむ。
正明は美紀夫を自分の部屋に招き、船の模型を眺めながら、船乗りになった空想に耽る。
日が暮れ、正明は少年を家に帰そうとすると、少年は忽然と姿を消してしまう。
美紀夫の正体は…?」
・「隣は何をする人ぞ」
「ミサの隣の空き家に引っ越してきた一家。
家の主人と、直次という男の子の二人暮らしだが、直次は、ミサが夢で見た男児とそっくりであった。
直次は非常に人見知りをするが、家の主人によると、交通事故で記憶を失っているらしい。
以前にも、見知らぬ人に付いて行きそうになったことがあり、主人は、用事で出かける前に、家を厳重に戸締りする。
一人家で過ごしていると、直次はとても心細くなる。
巡回中のお巡りさんが、泣いている彼に気付くのだが…」
・「ミサ対猛犬」
「狩田はいじめられっ子。
執拗ないじめに堪忍袋の緒が切れ、飼い犬のゴンを、いじめっ子達に襲わせようと考える。
ミサは止めに入るが、逆上した狩田はゴンをミサにけしかけて、怪我をさせる。
狩田は、放課後の学校へ向かうが、何故か、いじめっ子達は皆、ひっくり返っていた。
狩田が訝っているところに、狼が現れる…」
・「暗やみのボーリング」
「一家五人の強盗殺人に憤ったミサは、犯人を追って、ある温泉地にやって来る。
犯人がいるホテルに宿を取り、犯人を捜そうと考えていたところ、犯人の男がミサに目を付け、女湯に押し入る。
しばらくして、蝋燭を手にした男が浴場から出て来る。
彼は、ボーリング場で延々とボールを投げ続け、弟分の男は段々と違和感を強めていくのだが…」
・「婚約した黒井ミサ」
「新任の数学教師の南は明るくハンサムで、全校の人気者。
だが、彼は、ある男に命を狙われていた。
その男は以前、警察から追われている時、南のポケットに麻薬の袋を隠したが、南がそれを警察に持って行ったのを根に持っていたのである。
ミサは、南の運命を変えるため、彼女をフィアンセにするよう提案。
ミサは彼とデートを重ね、ある夜、ホテルへと入る。
南の命を狙う男は、彼らの部屋に忍び込むのだが…」
・「身投げした男」
「松田一成は、三年の浪人の末、またもや試験に滑ったことで、人生に絶望、自殺するため、裏日本の港町を訪れる。
ある旅館に宿をとると、彼と同姓同名の人物が泊まっていた。
その人物は彼が行く所に先回りするように現れ、ある時は、彼の部屋の寝床にいた。
その男の正体は…?」
・「一攫千金を夢見る男」
「中小企業の平社員の片岡は、大富豪のお嬢様、ひろ子と婚約し、将来は財閥の令息の身。
ある日、彼は、ひろ子の父親に、隠し子の息子がいることを知る。
実は、ひろ子の本当の父親は、彼女が幼い頃に亡くなり、ひろ子の母親は、秘書だった男と再婚したのであった。
この息子がヤクザ者で、父親が財産を自由にできないからと、ひろ子の母親を殺害。
このままでは、ひろ子にも魔手が伸びると、片岡は先手を打つことにするのだが…」
・「なまけ者の過去」
「古ぼけた家に、美人の女性と共に住む、怠け者の男。
彼が少年の頃、近所の赤ん坊の女の子、利香を預かることとなった。
彼はしばしば利香の子守をしていたが、ある時、喧嘩をしてできた傷を利香の口元に当てると、利香は喜んで血を吸う。
以来、赤ん坊には傷口から血を吸う習慣がついてしまう。
それから数十年後、彼はうだつのあがらないサラリーマンとなっていた。
ある時、酔い潰れた彼は、いつの間にか見知らぬ家に連れ込まれていた。
そこで、美しい娘から至れり尽くせりの世話を受けるのだが…」
・「時計台の謎」
「刑務所を出所した敏行。
家族と共に故郷に帰る途中、ある駅で時計台を見るなり、途中下車して、行方不明となる。
家族から相談されたミサは、その時計台がある町を訪れる。
町の人によると、この止まった時計台では人がもう三人も死んでいた。
ミサが時計台のある家に行くと、そこには老婆が一人で住んでいた。
老婆が言うには、五年前、一人息子の栄一郎が亡くなった時から、時計は止まったらしいのだが…」
ちょびっと考察。
・「時計台の謎」→ヘンリイ・スレッサー「気に入った売り家」が元ネタかも?
2021年5月12日 ページ作成・執筆