木々津克久「フランケン・ふらんB」(2009年3月5日初版・2010年6月20日3版発行)
斑木ふらんは生命工学の天才、斑木直光博士の最高傑作。
斑木直光は「生物学の悪魔」と呼ばれるほどの外科医技術を持っていた。
博士が不在の間、研究所はふらんとその仲間が管理する。
さて、今回の患者は…?
・「Ep.15:ETERNAL BEAUTY」
「紫堂都は財界の女帝と呼ばれる大金持ち。
ふらんは彼女から若返りの依頼を受け、「成長ホルモンの充填療法」と彼女のクローンを用いた「細胞再生治療」に取り掛かる。
だが、紫堂都は裏でいろいろと手を出しているようで、再生医学に関するトップクラスの研究者が何人も姿を消していた。
ある日、ふらんが紫堂邸から帰ろうとした時、紫堂都の雇った殺し屋が彼女の首を掻き切り、研究を奪う。
ふらんの研究は「死者の再生」にまで及ぶもので、紫堂都は早速、自分で試してみるのだが…」
・「Ep.16:ADOREA」
「手術からの帰り、ふらん達の乗ったブラックコフィン号が山道のトンネルにさしかかると、爆発が起こる。
これは医者に対して批判的な意見を持つ自然環境地球愛護団体「ジャッジメントデイ」の仕業であった。
しかし、落盤により、トンネルの両側の出入り口がふさがれ、「ジャッジメントデイ」の連中もトンネル内に閉じ込められてしまう。
ふらん達六人は無事だったものの、「ジャッジメントデイ」のメンバーには重傷を負う者がいた。
そんな時に役に立ったのはアドレア。
彼女の身体は臓器倉庫で、手術の際に必要な臓器だけでなく、食料となる筋肉まで提供。
しかし、なかなか救助は来ず…」
・「Ep.17:SEA MONSTER」
「天使博士からふらんに巨大怪獣出現のニュースが伝えられる。
ふらんは斑木博士の代理として国の対策本部に参加。
巨大怪獣は平均5ノットの速度で日本に接近し、途中、環境保護団体の船を沈めていた。
更に、無人探査艇での調査により、巨大怪獣が人型であることが判明する。
まずは、怪物の行く手にある島の全住民を津波と称して全員避難させ、自衛隊が怪獣を待ち受ける。
怪獣は上陸するが、巨大生物が陸上での生存は本来はありえない現象であった。
怪獣の正体とは…?」
・「Ep.18:TRIVIAL LOVE」
「殺し屋のアギト。
彼はヴェロニカ抹殺を請け負い、度々斑木研究所を襲撃する。
彼は金を積んで、ふらんに自分の身体を無限再生できるよう改造してもらい、何度倒れても復活する。
ある時、彼は火だるまで崖から転落するが、目覚めると山奥の民家で介抱されていた。
そこは廃村で、若い女性が一人で自給自足生活を営んでおり、彼は彼女と共に暮らすこととなる。
一方、ヴェロニカは最近、斑木研究所が襲撃されないことにやきもきしていた…」
・「Ep.19:LUST」
「学校でふらんは女子生徒たちから相談を受ける。
それはいやらしい男子生徒をどうにかしてほしいというものであった。
ふらんのお陰で男子生徒たちからはギラギラした「性欲」が感じられなくなり、皆、とっても爽やかになる。
女子生徒たちは最初は喜んでいたものの、男子生徒はどんどん無気力になっていき…。
ふらんの発案したものとは…?」
・「Ep.20:THE FINAL MOVIE」
「ナターシャ・A・ラザロは超一流のハリウッド女優。
彼女は全身が腐る「溶解型変異性環形球菌」に侵され、ふらんのもとで治療を受けていた。
彼女は名監督のシュバルとの初めての映画に命を賭け、ふらんの勧めにもかかわらず、入院はしない。
だが、無理を続けていたために、ある時、症状が急激に悪化し、彼女は亡くなる。
ふらんは彼女の想いを汲み、彼女がスクリーンの中でも生きれるようにする。
そして、撮影日…」
・「Ep.21:ATTEMPTED SUICIDE」
「ある若い男性が山中で薬物自殺をする。
その死体を見つけたのが斑木ふらんの一行で、彼女は「捨てた命を拾うぶんには問題ない」と、研究所に持ち帰って、部品取りのためにバラバラにしてしまう。
男性は脳と眼球だけの状態で意識を回復し、ふらんに抗議。
仕方なくふらんは依頼を受けて作っていた身体に男性の脳を移植するが、その身体はどう見ても動物園の着ぐるみであった。
男性は研究室を脱け出し、家に帰ろうとする。
都会の無関心のため、怪しまれずにすんだが、途中、彼の後を一人の少女がついてくる。
少女の家族写真から彼は別の似た着ぐるみと間違えられていることを知る。
仕方なく、彼は少女を家に送るが、彼女の家庭はDV野郎の義父のせいで、めちゃくちゃになっていた。
成り行きで男性は少女をつれて逃げるが…」
・「Ep.22:PROTOZOAN」
「辻みさえ(25歳)は十代の頃からモデルとして活躍し、23歳に幼なじみの実業家と結婚する。
その後、妊娠したかと思われたが、腹に「メデューサの首」(腹腔内水腫症)が現れる。
彼女の「メデューサの首」は彼女の親友、森谷岬と同じ顔であった。
森谷岬とは男を巡ってトラブルがあり、みさえの前で自分の首を切って自殺していた。
ふらんは二人の関係について調査を進め、一方で彼女の身体を検査する。
ある時、ふらんはみさえの血に奇妙な点を認め…」
・「EXTRA EPISODE:MEMENTO」
「たくましい男性と美しい女性がおり、二人は結婚の約束をしていた。
二人は死病に侵されており、死んだら必要な臓器を相手にあげると約束をする。
先に亡くなったのは男性の方で、女性に内臓を移植するが、ある名医の手によって男性は内臓がない状態で目覚める。
彼は約束が違うと女性から内臓を返してもらい、ついでに自分に必要な臓器までも奪う。
女性は死んでしまうのだが…」
(「チャンピオンRED」2008年7〜12月号、2009年1,2月号)
今回もハズレはなしですが、個人的にはブラック・ユーモアとグロ炸裂の「アドレア」と「ラスト」がお気に入り。
特に、「ラスト」は見た目は超グロだけど、あれさえあれば、少年犯罪も激減するはず。(星新一の「セキストラ」と同じ原理。)
ちなみに、どう見ても「吸血鬼エリート」な殺し屋のアギトには平穏な生活に満足せず、血と殺戮の世界に舞い戻って欲しい。
2024年1月18・19・22日/7月1・2日 ページ作成・執筆