サイキ敬子「封魔の血族」(1992年4月5日初版発行)

・「第1話 封魔の娘」
「神代臨(かみしろ・のぞみ)は考古学者の娘。(母親はおらず)
 隣に住む坂野一樹は考古学者志望の青年で、彼女の想い人であった。
 ある時、出張中の父親からの小包を開けると、中に石板が入っていた。
 一樹は石板に興味を示し、家に持ち帰って解読しようとする。
 すると、黒猫が現れ、「我らの王を解き放て」と話しかける。
 一樹の手は勝手に動いて、石板を壊し、「大魔霊」が復活。
 「大魔霊」は一樹の身体を奪い、殺戮を繰り返す。
 臨も一樹に襲われるが、その時、太古の光の封魔師「神陵(みささぎ)」の霊体が現れる。
 臨は、「神陵(みささぎ)」の血をひく者であった。
 神陵は大魔霊を封じようとするが…」

・「第2話 北の御玉」
「一樹を救うために、封魔球「光の御玉」が必要となる。
 「光の御玉」は四つに割られ、日本の四カ所に、魔物を封印するための結界として使われていた。
 まず、臨は、北海道北部の小さな島に向かう。
 光の御玉の一部が祀られた社を老婆が大切に守っていた。
 しかし、先回りした大魔霊は老婆を八つ裂きにする。
 そして、老婆が育ててきた娘、知有紀に、老婆を生き返らせたければ、御玉を動かすよう言うのだが…」

・「第3話 東の御玉」
「臨は東の聖地、江の島を訪れる。
 社を守っている神影家の屋敷を訪れるも、一家は大魔霊に虐殺されていた。
 しかも、唯一の生き残り、烈は、臨達の仕業と思い込む。
 臨達は誤解を解こうとするも、大魔霊の使者、闇猫が、烈の恋人、玖美子に化けたため、うまくいかず…」

・「第4話 西の御玉」
「京都の西の外れの小さな町に、西の御玉を守る神使(みつかい)家の邸がある。
 臨達が来る前に、主人は大魔霊によりゾンビにされ、家族を殺害。
 一人娘の紫野は父親に襲われるが、そこに臨達が駆け付ける。
 しかし、人間の血肉を喰らった「百眼邪鬼」が御玉の結界を破り、現れ出てくる…」

・「第5話 南の御玉」
「南の御玉は、九州の中心にある、山のふもとの村にあった。
 臨がその村を訪れると、村の男達に、御玉を渡すよう詰め寄られる。
 彼女の危機を救ったのは、南の御玉を守る神守家の最後の生き残り、神守力であった。
 彼によると、村の女子供は大魔霊に人質に取られていると言う。
 彼は臨を社に案内し、封魔球が完成するのだが…」

 サイキ敬子先生の作品は割と好きなのですが、この作品に関しては、すんません、「駄作」と断言します。
 以下、理由と述べます。(ネタばれ注意です。)
 このヒロイン、好きな男を救うために、日本各地に祀られている「光の御玉」の断片を集めて行くのですが、行く先々で人が殺されまくってます。
 第5話では村人ほぼ全滅(とりあえず、女子供は全員死亡)という有様で、結局、ヒロインは、好きな男を殺して、大魔霊を封印するのです。
 え〜っ、ダメじゃん…。
 一番最初に大魔霊を封印するチャンスがあったのに、男に未練があって、そのチャンスをわざわざ逃し、そのせいで、罪のない人々(下手すれば百人以上。女子供も多数)が無駄に殺された挙句、男も救えませんでした…って、ヒロインはクソ過ぎ。
 人生には「回り道」が付きものですが、いくらなんでもこれはないんじゃないでしょうか…。 

2021年10月14日 ページ作成・執筆

秋田書店・リストに戻る

メインページに戻る