小室しげ子「守護霊はエイリアン」(1991年5月15日初版発行)
・「第1話/守護霊はエイリアン」
「ロックコンサートから帰って来た安西美咲は、兎のぬいぐるみのビビにそのことを話す。
その時、停電が起こり、テレビの画面に「ビビは今からエイリアンになった!」との表示が出る。
実際、宇宙人のビビが、ぬいぐるみのビビにのり移ったのであった。
ビビは様々な能力を持ち、近未来をも透視できる。
美咲はビビに、憧れの西岡遼へ自分の想いを伝えるよう頼むが、ビビは断る。
ビビによると、彼は優等生ぶっているが、裏ではワルらしい。
美咲はヒステリーを起こして、ビビから電池を抜く。
翌日、彼女はビビの言う通りか確かめようとするのだが…」
・「第2話/ふりむけば守護霊」
「西名ゆかりは心臓病で、もう二か月も入院の身。
考えることはただ一つ、高校で倒れた時に彼女を受け止めた青年のこと。
ある日、彼女は幽体離脱をしたら、どこにでも行けることを知る。
彼女は幽体になって、彼について回り、青年の名が四条靫彦(ゆきひこ)であると知る。
だが、彼には恋人らしき娘がいて、彼女だけはゆかりの姿を視ることができた。
彼に恋人がいたことにショックを受けていると、彼女の病室に彼が間違って入ってくる。
彼は、新しい自転車のブレーキがきかず、頭の打撲で入院したところであった。
また、彼の恋人らしき女性も現れ、朝倉麻紀という名で、祖父同士が親友だったための腐れ縁だと知らされる。
しばらくして彼は退院するも、今度は階段を降りている時、停電になり、腕を骨折していた。
何かおかしいと思い、ゆかりは幽体離脱して、彼の邸を訪ねるのだが…」
・「第3話/さよなら守護霊」
「(第2話の続き)
朝倉麻紀はイライラしっぱなし。
というのも、四条靫彦に守護霊として西名ゆかりがべったりついているからであった。
ある日、麻紀が四条邸を訪れた時、鷹沢亜弓という女性を紹介される。
彼女は、祖父の取引先のお嬢さんで、とても綺麗。
お茶の場に靫彦の祖父も現れるが、立ち去ろうとした時、倒れてしまう。
医者に死因は心不全とされるが、麻紀は、ゆかりがその場にいなかったせいと、彼女を責める。
実は、ゆかりはこの世にいる期限が近付いてきているため、体が消えることが多くなりつつあった。
祖父の死後、靫彦は四条財閥を若くして継がねばならなくなるが、四条財閥はとても大変な時期を迎えていた。
更に、靫彦には、資金援助と引き換えに、亜弓との婚約話が出る。
そんな時、麻紀は、祖父の死因を視た医者に出会う。
彼は酔っ払っていて、かなり様子が荒んでいた。
「重大な秘密」を知っていると話す彼と、亜弓は何らかの関係があるようなのだが…」
・「第4話/帰って来た守護霊」
「転校生、倉橋涼子は、森沢茜の隣席になる。
涼子は不愛想で暗い娘で、茜に陰で陰湿な嫌がらせをする。
ある時、茜の恋人、藤原友樹が彼女の仕業だと見抜き、とっちめようとする。
涼子がナイフを出して、反撃した時、友樹の背後から何かが伸びて、彼女の手からナイフを叩き落とす。
ダウンした彼女が目を覚ますと、今までの不良少女とは一変、素直な娘になっていた。
以来、彼女は友樹にべったり。
だが、茜は涼子の態度に妙な違和感を感じる。
それをはっきりさせようと、彼女を見張っていると…」
・「第5話/悪霊のささやき」
「敷島駿と澪(みお)は血のつながらない兄妹(九年前に、子持ちの男女が結婚したため)。
転校初日、駿は、はみ出た桜の枝を手掛かりに、塀を乗り越えようとして、枝を折ってしまう。
先生にはどうにか怒られずに済んで、学校に向かおうとした時、澪は「見つけた…やっと見つけた…」という声を桜の木の方から聞く。
以来、駿は澪をかまわなくなる。
また、澪は帰宅後、兄の部屋から、小夜子という女性と会話する声を聞く。
兄に恋人ができたと思い、澪はショックを受け、翌日、兄が学校を休むと聞いても、知らんぷりして家を出る。
彼女が登校すると、六年の間、咲かなかった桜につぼみがついていた。
この桜にまつわる奇怪な噂を聞き、彼女は慌てて帰宅する。
彼女が兄の部屋で視たものとは…?」
「守護霊はエイリアン」とは、トバしたタイトルですが、小室しげ子先生ですので、キテレツというよりも「ほんわか」した手触りの作品です。
守護霊をテーマにした連作集で、第2・3話以外は、話につながりはありません。
かなりご都合主義(言い換えると安直)な設定で、ヘキエキする人もいるかもしれませんが、私はこのぬるま湯加減にとても癒されます。
2021年4月20日 ページ作成・執筆