高階良子「紅蓮転生」(1993年10月10日初版発行)
収録作品
・「緋の紋章」(1993年「ミステリーボニータNo.33」掲載)
「明日子は高校一年生。
母親は産まれた時に亡くなり、三歳の時、父親が事故死する。
彼女は奇跡的に助かるが、胸にはひどい火傷の痕が残っていた。
その後、彼女は、父親の親友の坂本夫婦に引き取られ、兄の雅也と共に成長する。
ある日、坂本家に、信代という女性が訪れる。
母方の曾祖父が危篤で、緋家の邸に来なければならないと言う。
実は、明日子の母親は緋家の直系で、緋家を嫌って、父親と駆け落ちした後、姿を隠していたらしい。
明日子は気は進まなかったものの、曾祖父に一目だけ会おうと考える。
彼女は信代の案内で緋家に向かうが、途中の駅で信代が彼女を線路に突き飛ばす。
だが、明日子は何者かに救われ、轢死したのは信代であった。
ホームには、夢で見たことのある男性と、黒づくめの女性が話をしており、黒づくめの女性が明日子の案内を継ぐ。
その女性は娑羅(しゃら)という名で、彼女の曾祖父に仕えていた。
緋家の邸は、日本とは思えない程、広大な敷地の中にある、豪華な西洋館であった。
ここに、緋家の血をひく者が集まる。
信代の長女、史奈子と長男、広司。
緋家当主の妹にあたる人の血筋の知晴。
緋家当主の弟にあたる人の血筋のむつ子と息子の丈二。
だが、彼らは信代の死を悲しむことなく、後継者候補が一人減ったことを、喜んでいた。
どうやら、「緋の紋章」を持つ者が、緋家の莫大な財産と秘密を継ぐことができるらしい。
そして、明日子も命を狙われるのだが…」
・「紅蓮転生」(1992年「ミステリーボニータNo.26」掲載)
「野々宮美緒は、母はとうに亡く、父も病死し、19歳を前に天涯孤独の身となる。
それでも、プティックのマヌカンとして働き、まあまあの一人暮らしを送っていた。
しかし、通勤の途中、近くの大学に通う留学生、デュラン(愛称はデュー)を目にしてから、全てが一変する。
その時、彼女は彼が「運命の相手」で、お互いが相手に会うために生まれてきたと直感する。
また、彼女は度々白昼夢に襲われるようになるが、夢では太平洋戦争中の日本で、彼女は外国人の彼と何故か一緒にいた。
だが、彼は彼女に対して全く関心を示さず、更に、彼女はプティックを首になってしまう。
これから先のことを悩んでいた時、母方の祖母、桜川理砂からの弁護士が訪ねて来る。
美緒は、自分に祖母がいることは初耳であった。
祖母は美緒に全財産を相続する手続きを取っており、また、「オシリスのラピス」のペンダントを彼女に贈る。
このペンダントは、夢の中の花園で、デューが彼女にプレゼントしたものであった。
美緒はこのペンダントを付けて、デューの前に姿を現し、声をかける。
しかし、取り巻きの娘に突き飛ばされ、失意のうち、その場を立ち去る。
その後、彼女は桜川家を訪れ、祖母と出会う。
そこで明らかになる真相とは…?」
2021年11月27・28日 ページ作成・執筆