古賀新一「魔女の棺@」(1992年10月5日初版発行)
謎の美女、棺魔子。
彼女と関わりを持った男達の運命は…?
・「第1話 死人も髪がのびるから」
「政治家を志す黒部一沼は、ある夜、美女を轢いてしまう。
彼女は重傷であったが、死ぬ間際まで、彼に抱いてくれるよう懇願し続ける。
状況が状況なだけに、結局、ヤルことはできず、一沼は森の中に彼女の死体を埋める。
奇怪なことに、死体の背中には、バラをくわえたドクロの刺青がしてあった。
数か月後、黒部一沼は選挙活動に精を出していた。
甘いマスクで、女性の支持が絶大であったが、ある時から、人気が急落。
どうも、彼が、人を殺したという噂が流れているらしい。
彼は、その噂のもとらしい美容院へと向かうのだが…」
・「第2話 競艇場の女」
「競艇狂いで、会社の金にまで手を付けているサラリーマン。
今日も、競艇場で勝負に挑むが、手違いから、結局、オケラとなる。
そんな彼に、見知らぬ美女が彼に当たり券をくれる。
彼女はレースの結果をことごとく当て、彼も大金を手に入れることができる。
彼が彼女にお礼を言いに行くと、彼女は、死んだ婚約者のことを思って、涙を流していた。
彼女は彼に婚約者の写真を見せるが、そこには踏切りしか写っていない。
だが、彼女によると、そこには轢断された死体が写っていると言う。
彼女は婚約者を「いけにえ供養」したいようなのだが…」
・「第3話 人面犬」
「N市に単身赴任することになった中年サラリーマン。
女好きの彼は、これを機に、羽を伸ばしまくるつもりであった。
赴任して早々、彼は、犬を連れた美女と知り合いになる。
しかも、美女は彼と同じアパートの住人で、彼に同情し、部屋で夕食まで作ってくれる。
彼女の好意に甘え、サラリーマンは彼女の身体を獣のように求める。
ことの後、美女は、彼の奥さんの写真を借りて、立ち去る。
数日後、再び彼女が部屋に現れるのだが…」
・「第4話 青い炎」
「ガスレンジの担当者が、棺魔子の家を訪れる。
魔子によると、元栓を締めているのに、勝手に火が付くという。
新品のガスレンジに交換するが、相変わらずで、欠陥商品と魔子は担当者に詰め寄る。
魔子の色気にやられた担当者は、それは魔子のノイローゼだと彼女を抱こうとする。
彼女は抱かれながら、以前の彼氏の話をするのだが…。
ガスレンジがひとりでに燃え上がる理由とは…?」
・「第5話 マイホームは幽霊屋敷」
「あるサラリーマンが郊外に庭付きの住宅を長期ローンで購入する。
だが、会社まで片道三時間で、毎日へとへと。
ある夜、終電を逃した彼は、路上で酔い潰れる。
朝、目覚めると、美女の住むマンションの一室であった。
彼女の手厚いもてなしを受けて、彼は感激。
更に、そのマンションは会社から十五分程度であった。
彼はつらい通勤がイヤで、彼女のマンションを再び訪れる。
そこで、彼女は、彼に自分を抱くよう提案。
そうすると、彼の魂だけが郊外の家に帰ることができる。
そして、一か月経ったのだが…」
・「第6話 死化粧」
「夫はハンサムだが、彼の妻は、打って変わって、器量の悪い女性であった。
彼女は肌が弱いせいで、化粧もできず、そのことを絶えず気に病む。
それでも、夫は妻を愛し、彼女のお腹には二人の子供が宿っていた。
ある日、妻は交通事故に遭い、流産、かつ、重体となる。
今わの際、彼女は夫に、すぐに再婚するよう頼み、亡くなる。
そして、死化粧を施された彼女は驚くほど、美しかった。
夫は、早速、ホステスの魔子に手を出し、彼の家に連れて行くのだが…」
・「第7話 最高の贈り物」
「蛭田は、愛しの由紀子のために、工事現場で必死に働く。
肉体労働もきついが、この現場は元・処刑場だったらしく、事故が絶えない。
溜めたお金で彼女へのプレゼントを買いに出た時、彼に美女が声をかけてくる。
この美女は、工事現場が祟られているといつも訴えている女性であった。
彼女は彼が単なるミツグ君でしかないことを教え、彼の本命になると言ってくる。
彼女の真の目的とは…?」
・「第8話 動く手」
「棺魔子は、ロビーで、豪田雄之介という代議士からセクハラを受ける。
彼女から訴えられた豪田は魔子に単独で会う。
魔子は豪田の魂胆を見抜き、二人でホテルに入る。
魔子は激しいSMプレイで豪田を責め、彼はあっさり昇天。
セクハラされた復讐に、魔子は彼の死体にある魔術をかけるのだが…」
・「第9話 裸人形」
「人形店を営む男。
彼は、人形のように美しかった妻の理沙子が男をつくって、家を出たことを嘆き悲しむ。
ある夜、棺魔子が、人形を買ってほしいと店を訪れる。
その人形は、彼の妻であった。
だが、その場で、魔子は妻が整形していることを暴く。
開き直った妻は夫を罵倒し、彼は気絶。
妻はその場を立ち去ろうとするが…」
(「プレイコミック」連載)
「魔女の棺」はぶっちゃけ、アダルト版「エコエコアザラク」です。
ヒロインは黒井ミサ嬢をケバくさせた、ボディコンの棺魔子で、ヌードや濡れ場のシーンがてんこ盛りです。
また、古賀新一流奇想は健在で、誰も思いつきそうにない、妙チクリンな話ばかりで、個人的にはかなり面白かったです。
にしても、成人した黒井ミサの後日譚ではダメだったんでしょうか?
まあ、作者としては、黒井ミサを淫乱に描くことに抵抗があったのかもしれません。
でも、回を追うごとに、棺魔子は「黒井ミサ」化しております…。(特に、2巻に顕著。)
2020年11月2日 ページ作成・執筆