高階良子「月下の赤い溜の中で」(1995年5月15日初版発行)
収録作品
・「月下の赤い溜の中で」
「翠は、婚約者の康紀が重傷を負ったと連絡を受ける。
病院に駆けつけるも、全身に包帯が巻かれ、意識がなく、瀕死の状態であった。
更に、彼のアパートでは住人が皆殺しにされた上に、放火で全焼し、彼が唯一の生き残りであった。
翠と彼は今年の春、専門学校で知り合い、翠はすぐに運命を感じる。
程なく、彼は彼女に告白し、彼の一族に古くから伝わる指輪をエンゲージ・リングとしてプレゼントする。
彼は、大きな中庭を持つ屋敷を改造したアパートに住んでいた。
そこは住人が一つの家族のようになっており、翠は訪ねてみたいと思うが、彼はあまり気が進まない様子であった。
ある時、彼女がその屋敷に立ち寄ると、住人達は皆、出てきて、彼女を大歓迎する。
彼女がハーブ茶をご馳走になろうとした時、康紀が現れ、彼女をムリヤリ中庭に引っ張っていく。
そして、彼は彼女に、ここの飲食物はとらないよう、また、二度とここに来ないよう警告し、彼女を屋敷から追い出す。
このことが彼女の心に引っかかったままだが、康紀は一月経っても目覚める気配がない。
ある日、翠は祖母からイシス(エジプトの女神)のアミュレットを譲られる。
これは祖母の父親がどこかで入手したもので、これを持つ者は愛する者を守ることができると言う。
翌日、翠は病院に行き、康紀の手にイシスのアミュレットを握らせる。
だが、その夜、病院から彼の容態が悪化したと連絡が来る。
翠は慌てて病院に向かうが、いつの間にか、病院でなく、康紀の住んでいた屋敷に着く。
彼女は、死んだはずの住人達に襲われ、逃げる途中、屋敷で何が起こったのか幻視する。
屋敷の住人達の正体は…?
そして、満月の下、儀式が行われるが…」
・「魔性の胎内」
「和歌森医院の一人息子、貴史は幼い頃から常軌を逸した天才であった。
医学部に進み、医師となるが、ある時から、彼の様子がおかしくなる。
彼は自分が15〜16世紀の天才医師&魔道士であるパラケルススの生まれ変わりであることに気づいたのであった。
父親の死後、彼はある資産家の老婦人のもとで主治医として働く。
老夫婦の息子夫婦は結婚した直後、交通事故で急死するが、彼は二人の受精卵があると老婆を安心させる。
彼は山奥の洋館でその受精卵を孵すが、これにはある企みがあった。
四百年前、パラケルススだった彼は日本にやって来て、ある娘の魂を井戸に閉じ込める。
この娘は魔界の扉を開く鍵となる魂を持つ娘であった。
そして、今、受精卵を使い、その娘をホムンクルスとして復活させることに成功する。
人里離れた洋館で、貴史はホムンクルスにこの娘の魂を宿らせることを成功する。
彼女の名は亜矢で、受精卵から瞬く間に15歳ぐらいの少女に成長する。
だが、彼女は創造主の命令に従うだけの人形でしかなかった。
そんな時、貴史の幼馴染で弟分の稲垣圭が洋館を訪れる。
圭は亜矢の貴史への想いに気づき、貴史に彼女を自由にするよう言うのだが…。
貴史の究極の目的とは…?」
どちらの作品も、専門用語(?)が多いのと、明らかに説明不足で、理解しづらい内容です。
「魔性の胎内」は高階良子先生お得意の「マッド・ドクター」ものなのに、残念…。
2022年7月20日 ページ作成・執筆