山岸凉子「甕のぞきの色」(1993年8月30日初版発行)
収録作品
・「甕のぞきの色」(「別冊プリンセス」1992年11月25日号〜1993年2月25日号)
「雑誌の出版社に勤める横田郁夫(26歳)は、自分が末期の胃癌であることを知る。
絶望に打ちのめされた彼は、編集部で「泉深館(いずみかん)」の話を聞く。
そこで提供される、奇跡の「水」を飲めば、難病でも治癒するらしい。
彼は出版社を辞め、婚約者の美奈子とも別れ、泉深館を訪れる。
泉深館のシンボルは、鈴木比売子(ひめこ)という18歳の少女であったが、外見は中学生ぐらいの少年にしか見えない。
また、奇跡の「水」は、彼女が五歳の時に発見した霊泉から取ったもので、一日三度、飲むだけでいいという。
郁夫は、泉深館の敷地内のプレハブ住宅に入居し、様々な人々を目にすることとなる。
一方、彼の婚約者の美奈子は、彼をここから連れ出そうと、「水」の分析を主張するのだが…」
・「蓮の糸」(「別冊プリンセス」1993年5月25日号)
実話系怪談漫画の嚆矢かつ名作「ゆうれい談」の後日談(になるのかな?)。
早世された花郁悠紀子(かい・ゆきこ)先生にまつわる話や、山岸先生と同じく、霊感体質のお兄さんの話、飼い猫の幽霊の話等、盛りだくさんの内容です。
ちなみに、一番怖いのは、タイトル表紙の絵。不気味過ぎです。
・「二口女」(「YOUALL」1992年No.12号)
「イラストレーターの山内由良子は、三十半ばの独身だが、気持ちだけは異常に若い。
自由奔放(悪く言うと、落ち着きがなく、気まま)な彼女は、正月に、今年こそ結婚すると宣言する。
男は顔でなく「中身」だと、彼女は「中身の濃い人」と見合いをしていくのだが…」
ラストのコマのセリフがなかなか含蓄深いなあ…。
2020年5月26日 ページ作成・執筆