古賀新一「殺し屋カプセル」(1979年10月25日初版発行)
・「殺し屋カプセル」
「殺し屋カプセル 1号」
入社試験に失敗し、自殺を考えながらも、踏ん切りのつかない青年。
彼が、あるレストランに入ると、そこのウェイターから「安楽死できるクスリ」を勧められる。
それは二つのカプセルで、彼の死後、死体は店側が料理用に引き取ることと引き換えに渡される。
青年はカプセルを飲み、店を出るが、彼の皮膚の下を何者かが這いずりまわるのに気づく。
それは水中服のようなものを着こんだ、数センチの小人二人で、彼の心臓を破壊しようとしていた。
青年は小人達を殺そうとし、小人達もその仕返しとして体内で大暴れする。
レストランに戻った青年は、ウェイターに助けを求める。
ウェイターは先程の薬を出し、体内の殺し屋を、別の殺し屋で殺すよう言うのだが…。
「殺し屋カプセル 2号」
サラリーマンの男性は銭湯で、世界征服を目論む、奇妙な中年男性と出会う。
この中年男性は行方不明になった弟の健一を居場所を知っているらしく、彼はこの中年男性についていく。
中年男性の向かった所は、製薬会社大手の司製薬であった。
そこの工場では、風邪薬パンタのカプセル内に、ミクロ化した殺し屋を詰め、どんどん出荷する。
その目的は、IQ150未満の人間は皆殺しにして、知能の高い人間だけで新しい世界を造ることであった。
男性の弟はその組織のメンバーで、ミクロの殺し屋となり、男性も強制的に組織のメンバーにさせられる。
彼はどうにかして、この組織のことを世間に知らせようとするのだが…。
「殺し屋カプセル 3号」
政一という少年は、踏み潰した風邪薬のカプセルから、ミクロ化した人間を発見し、治療する。
カプセルの秘密を知ったため、政一に他の殺し屋が差し向けられるが、治療された殺し屋がそれを制止する。
彼は、第三部隊の隊長であった。
政一は隊長からカプセルの秘密を聞かされるが、その際、黒沼病院が話題に挙がり、顔色を変える。
そこの病院では彼の父親が亡くなっていたが、黒沼病院はカプセルの殺し屋を病院側にとって都合の悪い患者の始末に使っているという。
おじも病院で急死し、怒り心頭の政一は、隊長と協力して、悪徳医者に天誅を下そうとするのだが…。
・「赤ん坊王国」
「東西銀行への大胆不敵な強盗予告。
犯行時間は正午きっかり。
いたずらとは思いながらも、銀行では警察を呼んで、待機する。
昼近く、子供連れのご婦人方がぞろぞろと銀行に入ってくる。
ヤジ馬ではないらしいが、どうも様子がおかしい。
正午、彼女達は懐から拳銃を行員や警官達に突き付ける。
だが、強盗の正体は、彼女達が背中にかるっていた赤ん坊達であった。
赤ん坊の強盗集団「リトル・ジャック」は金庫から金を奪い、予想外の方法で逃走する。
逃げ遅れた一人を追い、警官達は彼らの本拠地に辿り着くのだが、そこは…」
「殺し屋カプセル」「赤ん坊王国」共に、1970年頃に「少年キング」で連載された作品です。
単行本の袖にて、「殺し屋カプセル」はSF映画の名作「ミクロの決死圏」からインスパイアされたと古賀先生が述べております。
続けて、「このカプセルのアイディアは、ぼくの無数の作品の中の最高のもの」と信じているとのことですが、正直、かなりムチャクチャな内容です。
でも、確かに「漫画以外に描きようがない」作品で、こういう作品の中には多くのアイデアが埋もれているのではないでしょうか?
2021年5月21・23日 ページ作成・執筆