高階良子「魔獣封印」(2001年11月10日初版発行)

 収録作品

・「魔獣封印」
「失恋を機に、四国の旧家、鷹司家に帰ってきた奈々。
 鷹司家を継いでいた叔父が子供がないまま、若くして亡くなった為、奈々に白羽の矢が立ったのだった。
 邸の裏山を奈々が散歩していると、奈々の恋人だった元樹が彼女を訪ねてくる。
 復縁を求める元樹から逃げ出す奈々は、祖父から入らないよう言われていた場所に足を踏み入れてしまう。
 その場所には、千年以上も前に、鷹司家の先祖が魔獣を封じ込めたと伝わる、奇妙な石があった。
 そこへ、元樹が二股をかけていた恵美が現れる。
 嫉妬に狂う恵美はナイフをかざして奈々に襲い掛かり、よけようとしてバランスを崩した奈々は封印の石を倒してしまう。
 意識を失った奈々が目を覚ました時、親族と元樹に見守られ、邸へと運ばれて寝ていた。
 奈々が石を崩したことを話すと、蒼褪める祖父。
 祖父は鷹司家の血を引く者以外、あの石に近づくことはならぬと言い、奈々は夜遅くに石を直すために再びその場所に向かう。
 が、倒れた石から靄のような闇が立ち上ると、獣のようになり、奈々を襲う。
 負傷した奈々が助けを求めると、黒衣の男が彼女の前に現れる。
 彼は奈々に「俺を覚えていないのか?」と問いかける。
 牙皇と名乗る男と奈々との関係は…? そして、奈々は自分に流れる血の秘密を知ることとなる…」

・「深淵の蒼い溜り」
「北欧人を母に持つ春香は、母亡き後、家族に疎外感を抱くようになった。
 耐え難い孤独を胸に秘める春香は、ある日、町中で一人の男性と出会う。
 彼に手首を掴まれた時、電流のような衝撃を春香は感じる。
 翌日、その男性と再会、彼は瑞貴と名乗る。
 会って間もないのに、瑞貴と一緒にいる間、春香は深い充実感に包まれる。
 瑞貴は春香のことを「この世で二人きりの同族」と言い、春香の心も深く共感する。
 二人が結ばれる夜、二人は互いの胸の中央にある、うろこのようなアザを確認し合う。
 しかし、瑞貴は忽然と姿を消してしまう。
「霞野村にいる」という瑞貴の言葉を頼りに、春香は、元・恋人だった長谷部杜夫を頼る。
 春香は長谷部杜夫と霞野村に向かうが、長谷部杜夫には霞野村をレジャー開発する目的があった。
 閉鎖的という噂とは裏腹に、霞野村の村長は快く一行を迎え入れてくれる。
 春香は瑞貴の行方を捜すが、村人の様子はよそよそしく、行方は杳としてわからない。
 どうやら村人の崇拝するホコラ様と瑞貴がつながりがあるようだが…」

平成27年5月20・21日 ページ作成・執筆

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