亜月亮「モニタリング闇サイト」(2011年7月30日初版発行)

 収録作品

・「モニタリング闇サイト Vol.1」(「ミステリーボニータ」2011年1月号)
「木下愛来(あいら)は16歳の高校二年生。
 彼女が今まで付き合ってきた相手はダメ男ばかりで、次こそはイケメンをゲットすると燃えていた。
 ある晩、彼女が携帯電話でネットをしていると、偶然にあるサイトにたどり着く。
 そこではイケメンにもてもてになるという「ラブリー・ペンダント」のモニターを募集しており、二週間、モニターすると無料になると書かれてあった。
 どの道、ただなので、モニターに応募すると、翌朝、見知らぬ少女が彼女にペンダントを届けに来る。
 ペンダントの使い方は簡単で単に身に付けるだけで、効果を発揮。
 ただし、「二股」等、「恋愛のルールに反する行いをするとペンダントは真逆の効果を現」わすと注意される。
 愛来がペンダントを付けて登校すると、早速、イケメンの生徒会長、池谷に付き合ってくれるよう頼まれる。
 彼女はペンダントの効果に舞い上がるのだが…」

・「モニタリング闇サイト Vol.2」(「ミステリーボニータ」2011年4月号)
「大野理々花は可愛い動物が大好き。
 ネットショップで日本犬を買うも、現実は自分の自由になるわけがなく、ストレスが溜まりまくり。
 そんな時、彼女は「新種の愛玩動物」のモニターを募集しているサイトを目にする。
 そのモフモフな外見に彼女は一目でハートを掴まれる。
 小型犬並の大きさで食べ物もドッグフードでOK、そして、性格は「おとなしい。さびしがりや」。
 彼女はモニターに応募すると、翌朝、見知らぬ少女がペットを届けに来る。
 少女は、この動物は「とても賢くてデリケートな生き物」なので、「愛情をたっぷり注いであげ」る必要があると注意する。
 でないと、命にかかわると言うのだが…」

・「モニタリング闇サイト Vol.3」(「ミステリーボニータ」2011年6月号)
「高橋一夢(19歳)は不甲斐ないダメ男。
 大学を中退し、無職の身で恋人のヒモ状態になるも、恋人の部屋に別の女を連れ込んで、追い出されてしまう。
 途方に暮れていたところ、「シェアハウス入居者モニター」のサイトを発見。
 「保証人・身分証不要」「敷金・礼金なし」「マンションの1フロア 5LDKの一室」「渋谷駅から十分以内で家具付き」「モニタリング期間(一か月)は無料。そのまま住み続ける場合は月四万円」と嘘みたいな条件で、彼は速攻、モニター応募すると、地図にある場所に来るよう返信が来る。
 そのマンションは実に高級な感じで、案内係の少女にこれから住むフロアに行くと、居間に彼と同じモニター参加者が四人、集まっていた。
(四人は以下の通り。
 仮谷〜病院で深夜バイトをしながら、医大に通う。神経質。あだ名は「ドクター」。
 ケン〜20歳。ミュージシャン志望のフリーター。居酒屋でバイト。
 ランボ〜黒人男性。母国の家族に仕送りをするために、日本で働いている。
 立原満〜シェアメイトの中で唯一の女性。バイトをしながら絵の専門学校に通う。)
 案内役の少女は五人そろったところで改めてこのマンションでの注意事項を告げる。
 それは、共同生活をするにあたり、くれぐれも部屋を汚さないこと…ただそれだけであった。
 一夢はここで快適な生活を送るが、他の四人のように夢がないことにコンプレックスを覚える。
 ある晩、マンションで立花満と二人きりになり、彼は彼女の絵を見せてもらう。
 彼は彼女の絵に感銘を受け、彼女に恋心を抱くのだが…」

・「殺したがりの姫」(「ミステリーボニータ」2010年8月号)
「高校一年生の清水明華には「いつか誰か一人殺してみたい」という『殺人願望』をずっと持っていた。
 彼女の住む町の周辺で連続殺人事件が起こっており、彼女はその犯人について想像を巡らす。
 ある日、そんな密かな願望を学校一の優等生である黒沢静希に知られてしまう。
 彼も彼女と同じように猟奇殺人や快楽殺人に興味があった。(ついでに同じく夢野久作のファン。)
 放課後、彼女が彼を尾行すると、彼はまずレンタルDVD屋に寄る。(マイナーなホラー映画のDVDがいっぱい。)
 次に、彼は人通りの少ない路地裏を通り、廃ビルに入る。
 彼女も続いて入ると、彼の姿はなく、女子高校生の刺殺体があった。
 そのそばには先程のビデオレンタルの会員証が落ちていた。
 無記名ではあったが、持ち主は静希に違いない。
 彼女は匿名で通報し、翌日、彼女は静希と会う。
 彼女は彼にこの会員証を見せ、一週間後にこれを持って警察に行くと話す。
 その間、静希が会員証を取り戻そうと彼女を襲ったなら、彼女は彼を正当防衛で殺して、自分の殺人願望を満たすことができると彼女は考える。
 このゲームの行方は…?」

 亜月亮先生の「ミステリーボニータ」での初単行本です。
 毎度のことながらどの作品も良い出来でありますが、個人的な一押しは「殺したがりの姫」。
 ヒロインが夢野久作やB級ホラー好きというところに作者の嗜好がもろに出ているようです。
 レンタルDVD店でマイナーなホラー映画がいっぱいあるのにヒロインが狂喜するシーンは非常に共感いたしました。
 あと、亜月先生、レクター博士、大好きみたいですね。

2024年12月10・11日 ページ作成・執筆

秋田書店・リストに戻る

メインページに戻る