高階良子「モンスター殺人事件」(2015年1月25日初版発行)

 収録作品

・「誰も知らない殺人事件」(「ミステリーボニータ 2014年5月号」初出)
「岸本沙耶は、12年ぶりに訪れた、生まれ故郷の町で、幼なじみの西原康文と再会する。
 彼女はボランティアで着ぐるみ劇団に在籍していたが、劇団が解散することとなり、最後の公演をこの町でさせてもらったのであった。
 十二年前、この町では、彼女と仲良しだった唐沢将之が行方不明となり、山中の谷川で死体が発見される事件があった。
 彼女の一家はその事件の直後、町から引っ越すが、その後も、何人か神隠しに会い、谷川で死体が見つかる事件は起きていた。
 しかも、犠牲者の中には、西原康文の父親もいるという。
 沙耶は西原康文に近づき、結婚の約束をするが、その真意とは…?」

・「マドンナ殺人事件」(「ミステリーボニータ 2014年6月号」初出)
「シンガーソングライターのマドンナ耀子の殺人事件。
 嫌疑は、彼女のシャドウ・ライターであった鈴城藍人にかかる。
 藍人はマドンナ耀子を崇め、彼女に曲を幾つも提供していた。
 そして、殺人のあった日、彼女の部屋を慌ただしく去る彼の姿が目撃される。
 藍人は容疑を否認するが、部屋であったことは決して語ろうとしない。
 藍人の恋人の天野ひかる(注1)は、彼が彼女に送った新曲から事件の真相を見出し、ある作戦を思いつく…」

・「モンスター殺人事件 その一」(「ミステリーボニータ 2014年8月号」初出)
「沢村和基は、徹底してクールで孤高な舞梗子に一目惚れ。
 誰に対しても心を開かないような梗子であったが、「モンスター」の被害者にだけは異常な関心を寄せる。
 特に、彼女が心配したのは、リスト・カット癖のある戸川葉月であった。
 警察や法曹関係が血縁者に多い和基は、梗子に頼まれ、戸川葉月の母親について調査する。
 戸川葉月の母親は、葉月が子供の頃、家族を捨て、子供持ちの男と再婚。
 それは、二度目の夫を罠にはめ、多数の慰謝料を巻き上げるためであった。
 しかし、悪銭身に付かずで、最近は、父側の祖母と暮らしている戸川葉月にもとに現れ、金をせびっているらしい。
 その話を聞き、悪い予感に襲われた梗子は、葉月の家に向かう。
 中では、刺殺された母親の前で、葉月が茫然とリスト・カットをしていた…」

・「モンスター殺人事件 その二」(「ミステリーボニータ 2014年9月号」初出)
「梗子と和基が目にした、女子高生の二人組。
 彼女達の名は気弱な方が高幡ナツミ、活発な方が(名字不明)律子。
 和基は、高幡ナツミの兄、卓と親友であったが、卓は十年前、自宅の庭で、首を斧で殴打され、殺害されていた。
 死体の横には、意識を失ったナツミの姿もあったものの、彼女は記憶を喪失しており、事件は迷宮入りとなる。
 梗子はナツミと律子に「モンスター」の匂いを嗅ぎつける。
 ナツミが怯える「モンスター」の正体とは…?」

・「モンスター殺人事件 その三」(「ミステリーボニータ 2014年12月号」初出)
「和基からの破格な報酬のバイト話。
 和基は、伯父の孫にあたる沢村尭姫(あきひ)という、彼にぞっこんの「モンスター」に悩まされており、バイトとは、彼女の前で、彼の婚約者のふりをするというものであった。
 もちろん、その程度のことで「モンスター」があきらめるはずもなく、ある日、尭姫は和基と梗子を沢村家へ招く。
 そこで明かされる梗子の過去とは…?」

・注1
 「ひかる」は、左が「玉偏」で、右が「星」。
 環境依存の漢字なので、ひらがなとしました。

2019年3月4・5日 ページ作成・執筆

秋田書店・リストに戻る

メインページに戻る