戸部けいこ「ミステリー劇場B 鏡の迷宮」(1990年6月25日初版発行)

 収録作品

・「鏡よ鏡…完結編 鏡の迷宮」
「麗子は、優にデパートのパリ祭フェアに案内され、特別展示の「嘆きのディアヌ」という絵を目にする。
 その絵は16世紀後半に描かれたもので、あの「魔鏡」の前に、顔を隠した娘が立っていた。
 麗子と優がその絵について問い合わせると、旅行代理店の西島という男性が麗子の家を訪ねて来る。
 彼は、絵の持ち主であるナヴァール家の主人から、鏡とその被害者が現れたら、パリのナヴァール館に案内するよう言われていた。
 魔鏡についての手がかりを得るため、麗子は母と共にパリへ飛ぶ。
 ナヴァール館の主人は麗子を見ると、非常に驚き、彼女を「ディアヌの生まれかわり」と呼び、ある絵を見せる。
 その絵は16世紀の姫、ディアヌ・ド・ナヴァールの肖像画で、麗子とそっくりであった。
 しかも、母方の曾祖父はフランス人の宣教師で、ナヴァールの血をひいていることが明らかになる。
 ディアヌ・ド・ナヴァールは宗教戦争の最中、新教徒のアンリという青年と許されぬ恋に落ちる。
 父親は有力貴族のシャルル卿との結婚を強引に決めるが、ディアヌはそれを拒み、西の塔にこもって泣き暮らす。
 腹を立てたシャルル卿はアンリを殺害し、西の塔に吊るし、ディアヌは自害。
 更に、シャルル卿は新教徒への憎しみのあまり、新教徒を殺戮する。
 ディアヌの父親は、シャルル卿の狂気を封じ込めるため、ある雪の日、彼を西の塔へと招く。
 父親は、ナヴァール家に伝わる大小の「聖なる鏡」を対にして、その間にシャルル卿をおびき寄せ、西の塔もろとも封印したのであった。
 だが、小さな方の鏡が盗難にあい、封印が解かれてしまう。
 魔鏡は不幸をまき散らしながら、欧州を転々とした後、日本に持ち込まれ、ナヴァールの末裔である麗子のもとへとやって来る。
 その話をしている時、麗子の母親が大鏡の中に引きずり込まれてしまう。
 母親を助け、シャルル卿と対決するために、麗子はディアヌと同じ格好をして、鏡の世界へと入り込む。
 一方、日本では、優と昇が鏡張りの大迷路へと入る。
 昇はここで、魔鏡によく似た鏡のペンダントをした女性を見かけていた。
 優は鏡の中に麗子の姿を見つけ、入り口を探すのだが…」

・「見知らぬ街から」
「高校生の翼はツッパリたいお年頃。
 両親が仕事で忙しく、幼い頃から、祖母が彼女の面倒を看ていたが、このところ、祖母がうるさくて仕方がない。
 ある日、翼は、友人のトモと原チャで買い物に出かける。
 目当てのものは売り切れで、翼は少し離れた店に買いに出かける。
 だが、海沿いのカーブで大型トレーラーをよけきれず、正面衝突する。
 気が付くと、彼女は見知らぬ山の中ににいた。
 とりあえず、町まで降りるが、話しかけても、住人達は異様な反応をするばかり。
 トラックの荷台に忍び込んで、どうにか家に帰りつくことができたのだが、祖母も近所の少年もおかしな行動をとる。
 翼の身に起こったこととは…?」

・「ある日曜日の朝に」
「ある日曜日の朝。
 楠木ノコは朝練に遅刻しそうで大慌て。
 しかも、途中の道に、昨日の雨のせいか、大きな水たまりができていた。
 回り道している時間はなく、水たまりの横の狭い足場を伝っていくが、バランスを崩し、水たまりに落ちてしまう。
 気が付くと、彼女は全く濡れてなく、水たまりの向こう側にいた。
 朝練では、コーチが遅れてきたので、遅刻を怒られることなく、更に、部活の後で焼き肉をおごってもらう。
 そのため、弁当を食べずにいたが、母親は怒らず、いつもは生意気な妹の舞もやけに素直であった。
 そのうちに、ノコは、水たまりに落ちたことがきっかけで、「なんでも思いどおりになる世界」に入ったことを知る。
 この世界では望んだことが次から次へと叶っていくのだが…」

・「エイプリル・フール」
「森下未央は有名女優の娘で、姉の麻穂も母と同じ女優で成功していた。
 彼女は、母が姉を愛していると常々感じていたが、火事にあった時、母親が姉だけを連れて病院に行ったことにショックを受ける。
 そして、母への憎しみから未央は「不思議な力」を日増しに増大させていく。
 母から離れるため、彼女は全寮制の私立英亜学園高等部に転入する。
 彼女は、4月1日が誕生日であったが、春休みは帰省せず、寮で過ごす。
 居残り追試組の鈴木と佐藤は、未央に反感を持っており、いじめられっ子の中田友子を巻き込んで、未央への嫌がらせを計画する。
 彼女達は未央の誕生日にパーティを開くが、彼女を部屋に閉じ込め、火事だと脅し、バケツの水をかけようとする。(「キャリー」みたいだな…)
 しかし、本当の火事が起こり…」

2021年12月3日 ページ作成・執筆

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