戸部けいこ「ミステリー劇場F 悪魔祓いの夜」(1992年9月20日初版発行)

 収録作品

・「黒い予言者」
「ミサとジュネは、分かれ道をどちらに行くか、コインで決める。
 勝ったミサは、ジュネの生まれ故郷に通じる、右の道を選ぶ。
 プロヴァンス地方にあるサボワ家の館で、ジュネは母親と会い、兄の死を告げる。
 嘆き悲しむ母親の姿を目にして、ミサは、ここでジュネと別れる決意をする。
 その夜、ミサは一人で立ち去ろうとするが、ジュネはミサの様子がおかしいにに勘付き、馬小屋にやって来る。
 彼はミサへの愛を告白し、彼女にキスした時、ミサの脳裏に、ジュネが死ぬシーンが浮かぶ。
 また、その場を目撃した、ジュネのいとこのマルグリットはミサが魔女であることを知る。
 マルグリットは父親と、ジュネの母親にこのことを話し、ミサだけを捕らえる方法を考える。
 一方、ミサは、ジュネの死の予言に苦悩するが、それは思わぬかたちでやってくる…」

・「時の免罪符」
「ジェノヴァに向かう街道近くで、ミサとジュネは、矢で射られ瀕死の男性を発見する。
 彼はある本を、パドア伯爵家に身を寄せているジョルダ・ミランドに渡すよう頼み、息を引き取る。
 ジョルダ・ミランドは「地動説」を説いたために迫害を受けている学者で、託された「天体回転論」は教会により禁書とされていた。
 二人は彼ジョルダもとに滞在し、彼の実験の手伝いをする。
 しかし、その間に、ジョルダの娘、マリアがミサに恋をしてしまう。(ミサは魔女であることを隠すため、ミシェルという名で、男装している。)
 ミサとジュネは館を去ろうとするも、マリアは二人の仲を知って衝撃を受ける。
 ミサはマリアに自分の素性を明かすが、それを、異端審問官のスパイに立ち聞きされる。
 ミサとジュネ、ジョルダとマリアは二手に分かれて、館を脱出。
 しかし、ジョルダとマリアは異端審問官に捕らえられ、ジョルダは、マリアを人質に、自説を曲げることを余儀なくされる。
 裁判の席で、彼は地動説が誤りだと認めようとするが、その時、マリアがとった行動は…?」

・「魔女祓いの夜」
「16世紀、ヴェネツィアへの国境近くで、ミサとジュネは魔女として追われる。
 ジュネは左肩付近に矢を受け、ミサはテレポートでその場から脱出。
 移動した先は、ヴェネツィア国カナーレ家の中庭であった。
 そこの礼拝堂では画家のジョパンニが壁画を描いており、二人を匿う。
 ミサは休んでいる間、夢で過去の出来事を見て、ルシフェールとの「血の契約」を思い出す。
 ジョパンニは、嘆く彼女のために、知り合いの悪魔祓い師を呼ぶ。
 悪魔祓い師はミサの身体から悪魔を追い出そうとするのだが…。
 一方、20世紀の東京では、美沙が行方不明になってから二年の歳月が経っていた。
 母親は、美沙の幼い頃の出来事から、ミサにとり憑いた悪魔について、ある考えに思い至る。
 美沙を苦しめる悪魔の正体は…?
 彼女は現代に戻ることができるのであろうか…?」

・「星まつり物語」
「大正七年七月。
 織江は小さな港町の網元の娘。
 彼女は、夏、高台の別荘に内山家がやって来るのを心待ちにしていた。
 と言うのも、内山家の一人息子、正彦は彼女にとっての「彦星」だったのである。
 ある夏、いつもより早く、星まつりの前に、内山家がやって来る。
 織江がお手伝いに行くと、憧れの正彦と一年ぶりに再会する。
 彼女は初めて、内山家のパーティーに誘われるのだが…」

 「魔女シリーズ」の完結編です。
 あまりスッキリしないラストかも…。
 読者から意見があったのか、巻末の「おまけ劇場」で、ジュネ・ファンの方のために「もう1つのラストシーン」が描かれております。

2021年12月8・10日 ページ作成・執筆

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