高階良子
「悪魔たちの巣@」(1990年9月5日初版発行)
「悪魔たちの巣A」(1991年1月5日初版発行)
「悪魔たちの巣B」(1991年6月25日初版発行)


単行本@
・「第一話」
「アマゾン川上流の町、テフェ。
 町から離れ、密林を背にした家で、ピラーニャは育てられる。
 彼女の母親、マリコは日系人で、マナウスの有力者の夫人であった。
 以前、マリコは密林の奥に姿を消し、数か月後に発見されるが、その時にはピラーニャを身籠っていた。
 彼女を産んだ時、マリコは「悪魔」が生ませたと叫び、以後、赤ん坊とは決して会おうとせず、テルサという中年女性に世話をさせる。
 ピラーニャは不思議な子であった。
 一日中、密林で遊びまわっても、虫にも刺されず、動物に襲われたこともない。
 また、彼女は母親に似ず、緑色を帯びたブロンド、緑色の目、そして、陽に焼けることのない透き通るような肌をしていた。
 ある日、彼女は密林でジャラキーと名乗る青年と出会う。
 彼は、彼女が生まれた時からずっと彼女を知っていると話し、ひどい苦しみに襲われた時には彼の名前を呼ぶよう教える。
 ピラーニャが16歳になった頃、彼女は、母親の使いであるドミンゴに頼み込んで、母親のいるマナウスに連れて行ってもらう。
 母親の邸には、マリア・ブランカというジャーナリストが訪問していた。
 彼女は、ジャングルの奥地にあると噂される「悪魔の巣」を調査しており、「悪魔の巣」からの唯一の生還者であるマリコに話を聞こうとしていた。
 そこに、ピラーニャが姿を現し、マリコは「悪魔の子」と取り乱し、ピラーニャを邸から連れ出す。
 後に、マリコがマリアに、「悪魔の巣」では、得体の知れない「この世のものではない命」が創り出されており、その一つを身体に植え付けられたと話す。
 母親に会った後、ピラーニャは食事がとれなくなり、衰弱していく。
 飢えと渇きに耐えかね、彼女はジャングルでジャラキーの名を呼ぶ。
 彼は彼女の前に再び現れ、彼女の苦しみを癒すのだが…。
 彼らの正体は…?」
・「第二話 天使たちの渚」
「パラダイス島。
 ドクター・イワオの死から一年、片桐敏郎とヒツジたち(島の少年少女)は自給自足の生活を営む。
 ある日、マリア・ブランカという米国籍のジャーナリストが島に置き去りにされる。
 彼女は「悪魔の巣」について調べており、その情報を求めて、船越栄造に近づいたものの、島流しにされたのであった。
 彼女は敏郎からことの経緯を聞くが、一つ腑に落ちない点がある。
 彼女は、「悪魔の巣」に中心に「ドクター・イワオ」がいるという情報を得ていた。
 彼はドクターの死を目の当たりにしており、信じようとしなかったが、マリアが医療施設の廃墟で見つけた研究資料でその確信が揺らぐ。
 そんな時、少年少女達が相次いで高熱を発する。
 それは、島の住民を全滅させようとして、船越がマリアに持ち込ませて細菌のせいであった。
 少年少女達の半数は重体となり、敏郎も倒れる。
 彼らが危機に瀕している時、島にヘリコプターがやって来るのだが…」

単行本A
・「地獄の回廊」
「敏郎はパラダイス島を脱出するも、瀕死の重傷を負い、漂流する。
 船に発見された彼は、サラマンダー島へ連れていかれ、東城ナオという娘から甲斐甲斐しく看病を受ける。
 「サラマンダー」は「傭兵を世界中に派遣する組織」で、この島はその訓練センターであった。
 東城ナオの父親はこの島の所有者で、この島にいる限り、敏郎の身は安全を保障される。
 だが、彼は「悪魔」を倒すために、この島を出なければならない。
 ナオの父親の秘書、マニドウは、傭兵になれば、一年の訓練期間の後、出られるチャンスがあると彼に話し、契約を交わす。
 敏郎は訓練に励み、めきめきと腕を上げていくも、その間も、ヒツジ達のことが心配でたまらない。
 ある日、ヒサオという訓練生が彼に「地獄穴」を覗いてみないかと声をかける。
 「地獄穴」は島をぐるりと回る大洞窟で、中には恐ろしい仕掛けに満ちていた。
 この回廊を通り抜けたものは極わずかで、生還者は皆、掌に火竜の焼き印の痕があった。
 そして、その印を持つ者はサラマンダー最高のコマンド―として認められ、あらゆる特権が認められる。
 興味を持った敏郎が中を覗いた時、ヒサオは彼を「地獄穴」に突き落とす。
 彼はナオに惚れていて、ナオのお気に入りの敏郎に嫉妬の炎を燃やしていたのであった。
 だが、その現場をマニドウに目撃され、ヒサオは彼女を襲うも、一緒に「地獄穴」へと引き込まれる。
 三人は「地獄の回廊」を通り抜けることができるのであろうか…?」
・「火竜の戦士」
「敏郎は「火竜の戦士」として自由を手に入れるも、サラマンダーとの五年契約を果たさねばならない。
 最初の仕事場は南米のペルーで、麻薬を資金源とするテロ組織の壊滅であった。
 クスコ郊外のサラマンダー本部で、敏郎は作戦会議を耳にして、参加することを決意する。
 コカインは「アマゾン・ルート」を運ばれていたが、それは「悪魔の巣」があると言われる場所を通っていた。
 アマゾンの奥地に、敏郎は二人の部下と共に潜入する。
 そこで、ゲリラの部隊を発見し、野営を急襲するが、作戦は失敗する。
 どうにかリーダーは捕らえたものの、残りのゲリラに追われていた時、上空をヘリコプターが飛ぶ。
 ゲリラ達はヘリコプターを銃撃し、ヘリコプターは墜落。
 その機会をいかして、敏郎はゲリラ達を一掃することができたが、ゲリラのリーダーを殺してしまい、手掛かりを失ってしまう。
 彼が慣れない殺人で消耗していると、ヘリコプターの墜落場所である人物を出会う。
 それは彼が追い求め続けた「悪魔」であった…」

単行本B
・「密林からの呼び声」
「休暇の間、敏郎は、アマゾンの上流にあると言われる「悪魔の巣」を発見すべく、ジャングルを探索する。
 だが、ブーツに潜んでいた毒蜘蛛に足を噛まれ、彼は生死の境を彷徨う。
 彼が意識を失いつつある時、死んだはずのルナが現われ、目覚めた時には傷の手当てがされていた。
 休暇の後、敏郎達は麻薬の精製工場を破壊する任務に就く。
 任務は成功するも、迫撃砲に退路を断たれ、敏郎は捕虜となる。
 彼は麻薬王、センゲル・ミゲルと会い、仲間になるよう勧められるが、拒否。
 処刑されそうになったところを、マリア・ブランカに助けられる。
 ミゲルはマリアから敏郎の正体を聞くと、態度を豹変し、敏郎はVIP待遇される。
 彼はドクター・イワオと深い関係があった。
 そして、マリア・ブランカはドクター・イワオに興味を持ち、彼のそばに居続けるために、彼のために働いていた。
 マリアから敏郎はルナがまだ生きていることを聞かされ…」
・「ラスト・バタリオン@」
「ドクター・イワオによって再びこの世に生まれ出たルナ。
 しかし、彼女は、ドクターのパトロン、アニタ・ロンギヌスに依頼され、創りだされた「最後の超人戦士(ラスト・バタリオン)」であった。
 その力とは…?」

2022年6月9・10・13日

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