田中雅紀「魔女たちの夜」(1986年11月25日初版発行)

「秋本加奈子(13歳)は自分を魔女かもしれないと考えていた。
 過去、彼女が呪った相手は度々不幸にあっており、父親の事故死も自分のせいではないかと悩む。
 すっかりやさぐれた加奈子は、魔女に興味を持ち始め、姉に友人の冴子を紹介してもらい、魔女クラブに入会。
 そんな時、いじめっ子グループの一人、三田幸子が自殺未遂を起こす。
 三田幸子は加奈子と友達になろうとしていたが、ささいな誤解から、加奈子は彼女を激しく憎み、冷たく接した。
 この事件をきっかけに加奈子は、自分には人を不幸にする力があると確信を深める。
 本当の魔女に会いたいと願い、彼女は、町で見かけた「すなっくインプ」を訪れる。
 加奈子がそのマスターに魔女についての話を聞いていると、突如、店の奥から男が逃げ出してきて、マスターはナイフで刺殺。
 加奈子はマスターと別の男に拉致され、山にある別荘へと運ばれる。
 そこでは、本物の悪魔崇拝者の集まる場所であった…」

 キクタヒロシ氏「昭和の怖い漫画」にて、ちょこっと紹介された作品です。
 氏によると、田中雅紀先生は「正統派」の漫画家さんで、「怪奇向きとは言い難い」絵柄とのことですが、的確な指摘だと思います。
 どんな緊迫した場面でも、登場人物達の表情は虚ろで、感情というものがあまり感じられず、逆にこちらが不安になることもあります。
 また、個人的には、ストーリーも衝撃的でした。
 ヒロインが自分を魔女だと思ってる少女なので、「自分をいじめた人間にどんどん不幸が起こり、苦悩する」内容なのかと思いきや、悪魔崇拝者の集団に拉致監禁されるという予想外の展開を見せ、のけぞりました。
 13歳の少女が悪魔教団で受ける、あの手この手のショック描写が、朴訥とした絵柄と相まって、味わい深過ぎです。

2019年7月1日 ページ作成・執筆

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