楳図かずお「おろちE」(1971年10月10日初版発行)

 時を超えて、さまよい続ける少女、おろち。
 彼女が目撃する、あまりに奇怪な人間ドラマの数々とは…

・「血」
「名門、門前家の姉妹、一草(かずさ)と理沙。
 三歳違いの理沙は、幼い頃から何をやっても、優秀な姉と比較され、陰気でひねくれた女性へと成長する。
 年頃になると、一草は、夫を迎えて、門前家を継ぎ、理沙は、門前家とは縁の遠い資産家のもとへ嫁ぐ。
 しかし、一草の夫は早くに病死し、一草は再婚を拒否。
 一方の理沙は、夫との仲がうまくいかず、酒を飲んで車を運転し、交通事故を起こす。
 おろちが理沙をかばったために、理沙は無事だったが、衝突された車の運転手は死亡。
 そして、おろちもそのショックで、百年に一度、迎える眠りが早まってしまう。
 急激な眠気に襲われた、おろちは山中の割れ目に墜落。
 彼女が目覚めた時、数十年の時が流れていた。
 更に、彼女の意識は、佳子という少女の中にあった。  佳子は、身寄りがなく、流しの夫婦に養われ、毎夜、飲み屋街で歌を歌っていた。
 そんな彼女を、門前家の遠い血筋の人間として捜し出し、門前家に迎え入れられたのは、初老の年頃になった理沙であった。
 門前家の屋敷で、佳子は一草と面会するが、その頃、一草は、心臓を患い、死を待つ身であった。
 佳子は一草を母親のように慕い、甲斐甲斐しく尽くす。
 しかし、一草を「おかあさん」と呼んだ時から、理沙は佳子をひどく虐待するようになる。
 そして、ある事故をきっかけに、虚飾が全て剥がれ落ちる時が来る…」

2019年11月17日 ページ作成・執筆

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