細川智栄子「まぼろしの花嫁」(1987年4月20日初版発行)

 収録作品

・「まぼろしの花嫁」
「吉沢千世(高校一年生)は連休に、岩手県の祖父を友人達と訪れる。
 祖父の家は山奥にある古い屋敷で、立派な蔵があった。
 蔵の中を見せてもらっている時、二階から千世を呼ぶ声がする。
 二階には女性用の文机があり、千世がそれを見ていると、背後の白壁の中にあった隠し扉から、美しい花嫁衣裳の着物が出てくる。
 千世はその着物の美しさに見とれるが、着物には赤黒いシミがついていた。
 食事に呼ばれたので、千夜は着物を打掛に掛けて、倉を出る。
 翌朝、番犬が首を切られて殺され、倉の戸が開いていた。
 中を調べても、盗られたものはなかったが、祖父は例の着物を見て、驚く。
 どうやら先祖の誰かが隠し戸の中に隠しておいたものらしい。
 千世がその着物を着てみると、時間が止まり、どこからか着物姿の女性達が現れる。
 千世は新之助の乳母という藤江に強制的に連れて行かれるが、そこは四百年前の戦国時代であった。
 その時代では、千世はさくら城の千代姫で、白鷺城の新之助と結婚することになっていた。
 千世がいくら自分は千代姫でないと口を酸っぱくして言っても、誰も信じてはくれない。
 だが、新之助の熱い抱擁を受けた時、千世は胸が苦しくなり、仕方なく、しばらくの間、千代姫でいようと考える。
 一方、彼女の存在を喜ばぬ者達もいた。
 家老の本田、その娘の多重、多恵の乳母は、多重と新之助を結婚させるため、花嫁行列を襲わせ、山中で千代姫を殺害していたのである。
 新之助と祝言をあげた千世は、新之助の愛を信じ、千代姫として生きることを決意。
 だが、多重とその乳母は虎視眈々と千代姫の命を狙う。
 また、家老の本田の裏切により、隣国の山部城の鉄太郎が白鷺城を攻めようとしていた。
 新之助と千世の運命は…?」

・「ゆれる青春」
「新米婦人警官の章子。
 初出勤の日、彼女は不良グループが恐喝しているのを見つけて、逮捕しようとする。
 だが、リーダー格の黒い革ジャンの少年に軽くあしらわれ、大いに落胆。
 その後も犯行現場も遭遇するも、からかわれた挙句、逃げられてしまう。
 その時、革ジャンの少年は章子に、小田切悟という名前を明かす。
 章子が調べたところ、彼は十七歳で保護観察期間中であり、今度、罪を犯せば少年院入りであった。
 しかし、彼の父親は国会議員で、彼の犯す犯罪は全て、金でもみ消していた。
 章子はある機会に悟の悲しみを知り、「彼の真の理解者」になろうとするのだが…」

 ドラマチックです。
 残酷描写でさえ、ドラマチックです!!
 私は少女漫画に関しては門外漢なので、よくわかりませんが、細川智栄子先生の作品って、こんな感じなのでしょうか?

2021年3月7日 ページ作成・執筆

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