田中雅子・絵/大川美千子・作「死霊のカラス」(1986年10月20日初版発行)

「弘田水樹は、同級生の前田しのぶが大量のカラスに襲われている場面に遭遇する。
 彼女はマンションの十階から落とされそうになるが、水樹に間一髪のところを助けられる。
 その時、水樹は、一匹のオウムがカラスの群れの中心にいるのを目にする。
 しのぶは病院に搬送される際、水樹に「雪乃ちゃんがそこに…」と告げる。
 森本雪乃は二か月前、謎の跳び下り自殺をしており、しのぶが襲われたのも、彼女の自殺した場所であった。
 その夜、水樹は就寝中に金縛りにあい、枕元に、血を流した、着物姿の少女の幽霊を見る。
 翌日、水樹は、曾祖父が霊能力者だったという慎太郎にこれまでのことを相談する。
 まず、二人は、雪乃の祖母に会いに行く。
 祖母によると、雪乃の自殺の原因はわからないが、自殺する三日前、大切にしていたオウムを人にあげてしまったという。
 その翌日、今度は、クラスメートの高木美里がカラスに襲われる。
 美里は、沼に追い詰められ、溺れかけたところを、通りがかった水樹と慎太郎により救出される。
 その沼で、そして、家の浴室で雪乃の幽霊を目撃し、水樹は、雪乃がオウムを返して欲しがっていることを知る。
 学校で、タカビーなお嬢様の間宮亜砂子がオウムを飼い始めたという話を聞き、水樹と慎太郎は亜砂子の屋敷を訪れるのだが…。
 雪乃のオウムの行方は…?」

 前の袖に作者の心霊体験が載っているせいか、幽霊や金縛りの描写はなかなか雰囲気があると思います。
 カーテンを開けたら、霊の大きな顔…というのは心臓に悪いなあ。
 また、想像以上に、グロ描写に力が入っている点も好感度高めです。
 個人的に最も印象的だったのは、カラスの暴れっぷりでした。
 六、七匹で女の子を吊り上げたり、車のフロントガラスを突き破ったりと、なかなかのものです。

2019年7月3日 ページ作成・執筆

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