高橋葉介「学校怪談B」(1996年5月10日初版発行)
・「第37話 ごろんごろん」
「山岸はある女子生徒から、巨大な顔の妖怪「ごろんごろん」という妖怪の話を聞かされる。
放課後、仲の良いカップルが手をつないで廊下を歩いていると、ごろんごろんが現れ、追いかけられる。
彼女はごろんごろんに下半身を食べられ、男は彼女の手を放して、一人で逃げる。
校舎の外まで来て、もう大丈夫だと安心した時…」
・「第38話 影男さま」
「夜中の零時の学校。
月岡景子という女子生徒がロウソクに火を灯して、階段の踊り場へ行く。
ローソクを足元に置くと、踊り場の壁に彼女の影ができる。
その影に向かって、彼女はお祈りをする。
彼女の願いは、クラスの野島と両想いになることであった。
影男はどんな願いでも叶えてくれるが、その間、ロウソクの火は決して消してはならず…」
・「第39話 化けの皮」
「美術教師の及川と家庭科教師の佐藤は夫婦。(夫婦別姓)
体格は、及川がおデブで佐藤は小柄と対照的で、夫婦仲は険悪であった。
その佐藤先生が休んで一週間になる。
山岸は職員室の及川を訪ね、佐藤先生を殺したのではないかと疑問を突き付ける。
彼は美術室を掃除している時、石膏像の中から頭蓋骨を発見したが、いつの間にか石膏像も頭蓋骨も消えてしまったのであった。
及川は、妻は具合が悪くて休んでいると言って、山岸を自宅ヘ招く。
その言葉通りに、彼女はいたのだが…」
・「第40話 葬式団」
「山岸が、友人の女子生徒を歩いていると、葬儀の列が通りがかる。
女子生徒は、先頭を歩いていた女性の持っていた遺影が自分の写真だったと気味悪がる。
山岸は見間違いだと言って、彼女と別れる。
この後、彼女を待ち受ける運命とは…?」
・「第41話 むじな」
「学校の廊下の端で、しゃがみ込んでいる女生徒。
山岸が彼女に声をかけると、「ばあ」と上げた、その顔はモンスターであった。
山岸はその場から逃げ、他人にこのことを話そうとするが、小泉八雲の「むじな」の展開が思い浮かび、思い止まる。
だが、彼はこれを誰かに話したくてたまらなくなり…」
・「第42話 お守り袋」
「工事現場の前で、山岸は、前を行く女子生徒がお守りを落としたことに気付く。
彼女に声をかけると、彼女はお守りを落としたことに狼狽し、彼のもとに行こうとした直後、落下した鉄骨の下敷きとなる。
彼はお守りを返しそびれ、結局、それを家に持ち帰る。
中を覗くと、目玉に蜘蛛の足が生えたような生き物が入っていた。
驚く彼の背後に、女子生徒の幽霊が現れ、それを大事に身に付けておくよう警告する。
でないと、彼女のようになると言うのだが…」
・「第43話 口裂き女」
「人気のない夜道、山岸は口裂き女と出会う。
しかし、彼は大して驚かず、「それ程でもないな」とあっさり。
「もっと派手に避けてると思った」と言われ、口裂き女は意地を見せるのだが…」
・「第44話 マナコさん」
「学校に出ると言われる「マナコさん」。
急に目隠しをされ、「マナコさん」の名前を当てなかったら、両目を抉り取られる。
だが、もし「マナコさん」の名前を当てたなら…?」
・「第45話 溶怪」
「山岸が化学室の前の廊下を歩いていると、全裸の少女が目の前に立っていた。
少女に手招きされ、化学室に入ると、指さした先に、底が割れたガラス瓶があり、少女はドロドロに溶けてしまう。
気絶した彼が保健室で目覚めた後、化学教師に見たことを話すのだが…」
・「第46話 月の光」
「満月の夜。
山岸が夜道を歩いていると、奇妙な老人に声をかけられる。
老人は「月の光を遮って(人を)守る」という「月傘」を一本百円で売っていた。
山岸は傘はいらないと断るが、月光を浴びるうちに、山岸の身体に変化が…」
・「第47話 門番」
「山岸の通う学校の校門には「門番」が立っている。
門番は彼にしか視えず、これまた彼にしか視えない「変な物」が学校に入るのを阻止していた。
ある晩、山岸は参考書を取りに学校に向かう。
すると、パジャマ姿の少女が門番に止められて、学校に入れないでいた。
彼女は「大事な物」を学校に忘れたと言うのだが…」
・「第48話 サンタが街にやってくる」
「クリスマスを間近に控えた頃。
山岸はサンタクロースの扮装をしている人を見ると、その袋の中が気になって仕方がない。
十年前、彼が幼稚園に上がるか上がらないかの年の頃、みっちゃんという女友達がいた。
クリスマスも近い年の瀬、みっちゃんはサンタクロースの格好をしている男性をサンタと思い、その袋にしがみつく。
山岸が本物でないと指摘すると、サンタは「正真正銘サンタクロース」だと言って、みっちゃんに袋の中を見せようとする。
ところが、サンタはみっちゃんを袋の中に押し込み、そのまま、空に消えて行ってしまったのであった。
その話をした後、山岸はサンタに袋の中を見せてもらうのだが…」
・「第49話 白と黒」
「学校の下駄箱前のホールには一面、白いタイルが貼られてあった。
しかし、一枚だけ黒いタイルがあり、そこは生徒が変死した後、血の痕が消えないので、タイルを張り替えたと言われていた。
このタイルはまた「地獄穴」とも呼ばれており、踏むと、悪魔に引きずり込まれるという噂もあった。
ある日の放課後、山岸が下校しようとすると、女子生徒に声をかけられる。
彼女は黒いタイルの上に片足で立って、ドヤ顔をしていた。
すると、地獄穴から悪魔が現れ、彼女を地獄に連れ去ろうとする。
悪魔はタイルをチェス盤のような市松模様に変え、白い部分だけを歩いて、彼女と手をつないだら、彼女を解放すると山岸に言うのだが…」
・「第50話 かくれんぼ」
「山岸が男子トイレで用を足してると、かくれんぼをする時の声が聞こえ、女子生徒が男子トイレに入ってくる。
女子生徒が個室に隠れた後、ナマハゲが彼女を捜して現れるが、山岸にいないと言われて、引き返す。
山岸があっけに取られていると、彼女は「ありがと」と彼の頬にキスをして、どこかに立ち去る。
山岸は教室に戻り、帰り支度をしていると、先程の女子生徒がとび込んできて、掃除のロッカーに隠れるのだが…」
・第51話 ゆきおんな」
「山岸は、いとこの大学生と共に雪山登山に行く。
だが、二人は吹雪の中、雪崩にあってしまう。
山岸が雪に埋もれて、朦朧としている時、雪女が現れる。
助ける代わりに、このことは誰にも言わないよう、お決まりの約束をするのだが…」
・「第52話 かまくら」
「大雪の日。
子供達が雪合戦をしている横を山岸が通りがかると、後頭部に石の入った雪玉がぶつかる。
気を失った彼が目覚めると、周囲には誰もいない。
彼の横には「かまくら」があり、中で鍋が煮えていたが、その具は、彼の頭部であった。
向こうから、蓑笠の小男達の集団が「肉が喰える」「鍋が喰える」と近付いてくる。
山岸は食べられないよう、かまくらの出入り口を中から塞ぐのだが…」
・「第53話 猫坂」
「ある女子生徒の学校の帰り道には「止まらん坂」と呼ばれる急傾斜の下り坂があった。
雪が深く積もっており、彼女は足元を注意しながら降りて行くが、下の方で誰かが手招きしているのに気づく。
それに気を取られた途端、足を滑らせ、彼女は坂を滑り落ちる。
手招きするものの正体は…?」
・「第54話 隠しごと」
「ツルピーこと鶴田光(30歳)はB組の担任教師。
彼はA組担任の姫野琴子に惚れていたが、ある秘密が原因で、積極的になれずにいた。
B組の生徒達はそれを知り、彼の秘密を学校中に広める。
それが功を奏したのか、琴子が彼に話しかけてくるのだが…」
「ごろんごろん」「むじな」「白と黒」が、オチが効いていて、好きな作品です。
また、「かまくら」「猫坂」の奇妙な味わいも、高橋葉介先生らしくて良いと思います。
2022年3月18・26日 ページ作成・執筆