高橋葉介「学校怪談I」(1998年11月1日初版発行)

・「第159話 いつか海へ還る」
「立石双葉は奇妙な夢を見る。
 商店街を歩いていたら、魚屋があった。
 その店頭にたくさんの魚が並べられていたが、その魚は皆、クラスメートの頭をしていた。
 彼女が魚を見つめていると、魚屋の主人が話しかけてくる。
 主人の顔は魚で、「人は皆 昔 魚」で、「あんただっていつかはお魚になるのさ」と話す。
 この夢は、双葉が海へ旅行に行ったことと関係しているらしいが…」

・「第160話 ピエロ溝呂木のタイム・トンネル・ショー」
「八千華は学校に行くつもりが、見知らぬ場所に来てしまう。
 目の前にはトンネルがあり、中にはピエロ姿の溝呂木の姿がいた。
 巨大なライオンの顔に迫られ、八千華がトンネルを進むと、どんどん若返り、赤ん坊になってしまう。
 溝呂木は九鬼子に、八千華を取り戻しに来るよう誘う。
 九鬼子は彼の待つトンネルを訪れるが、そこには罠があった…」

・「第161話 おめでとう 当選です」
「休日の前の晩、山岸に電話がかかってくる。
 電話は当選通知で、午前十時に黒い服を着て、指定の場所に来るよう告げる。
 とりあえず、山岸が言われた通りにすると、指定場所の近くで九鬼子と出会う。
 九鬼子はそれは悪徳商法だと言い、一緒にその場から離れようとする。
 だが、いつの間にか、山岸は老人達と共にマイクロバスに乗りこんでいた。
 九鬼子はタクシーでそのバスを追うのだが…」

・「第162話 こんにちは 赤ちゃん」
「日野出先生の奥さんが出産するというので、九鬼子はトモ子を預かる。
 だが、子供のパワーについていけず、山岸を呼び出すが、ふと目を離した間に、トモ子がいなくなる。
 山岸は日野出先生のマンション、九鬼子は産院と手分けしてトモ子を捜す。
 マンションで、山岸は「あたしの赤ちゃんを返して」と、頭から下がモンスターの女性に追われる。
 一方、九鬼子はトモ子を見つけるが、トモ子の抱いてる赤ん坊は…」

・「第163話 春の怪談」
(一)通学路
 八千華は横断歩道の前で、新一年生の男の子を見かける。
 彼は明らかに学校に遅刻しており、横断歩道が渡れないと話す。
 八千華が彼の手を引いて、横断歩道を渡るが、途中で、彼の姿は消えてしまう。
 そこで、八千華が考え出した手は…?
(二)桜
 川土手の桜が満開で、双葉はその美しさに見とれる。
 すると、桜の幹から女の子が顔をのぞかせ、手を振る。
 女の子はどんどんと成長していくのだが…。
(三)蝶
 九鬼子が職員室で仕事をしていると、一匹の蝶が寄ってくる。
 彼女が蝶に怒鳴りつけると…。

・「第164話 獲物の匂い」
「母親が海外に単身赴任中の父親のもとに行っているため、山岸はコインランドリーに行く。
 そこで九鬼子と会うが、銭湯に行っている間に、彼女の下着を誰かが持って行っていた。
 一つパンティーがあったものの、自分のものかどうかはっきりせず、とりあえず、その場で履く。
 だが、帰宅途中、九鬼子は奇妙な化け物に追われ、山岸の家に逃げ込む。
 化け物の正体は…?」

・「第165話 ドールハウスで目が覚めて」
「八千華は中年のオヤジから「簡単なアルバイト」をしないかと誘われる。
 「立派なお屋敷に住んで きれいな服を着て ごちそうを食べるだけでいい」らしい。
 八千華は適当に相手をして、逃げ出すつもりであったが、気が付くと、見知らぬ部屋にいて、全裸でベッドに寝ていた。
 ベッドの横には服があり、隣の部屋に行くと、巨大な人形が幾つもある。
 しかも、階段の下には、番犬代わりのネズミがいて、逃げ出せない。
 八千華が戸惑っていると、窓の外からオヤジが中を覗き込み…」

・「第166話 河童の花嫁」
「渋川先生は休日に沢登りに行き、河童に水中へ引きずり込まれる。
 溺れさせた後、食べられそうになるが、娘を嫁にやると約束して、命が助かる。
 しかし、渋川先生は独り者で、娘などいない。
 彼は幻覚だと思って、深く考えなかったが、それを知った河童が彼を殺そうとする。
 九鬼子は自分が嫁になると言い、次の満月まで待つよう言うのだが…」

・「第167話 夢殺し」
「双葉は、電車の中でモンスターが乗客を食べている夢を見る。
 モンスターは「寝ている間におまえを喰ってしまうぞ」と告げ、以後、双葉は眠らないよう努める。
 九鬼子に相談するも、職員会議が長引くため、八千華を双葉のもとに寄こす。
 だが、八千華は速攻で寝てしまい、双葉も睡魔に負ける。
 気が付くと、二人は夢の中で、目の前にモンスターが…」

・「第168話 首盗り鬼」
「山岸は山中で猛烈な睡魔に襲われる。
 お地蔵さんの前で横になるが、そこに鎌を持った鬼が現れる。
 鬼は彼の首を切ろうとするが、何故か切れない。
 山岸が都会に戻ってからも、鬼は母親や九鬼子に化けて、首を切ろうとするのだが…」

・「第169話 地下鉄でGO!」
「酔っ払って、地下鉄の最終電車で帰宅の九鬼子。
 彼女が電車を降り、家に戻ると、溝呂木とのハッピー・ホーム(子供つき)が待ち構えていた。
 地下鉄に乗って、パラレルワールドに迷い込んだと知り、九鬼子は地下鉄の駅に戻る。
 彼女が次に向かう世界は…?」

・「第170話 みぞろぎ湯」
「九鬼子は銭湯に行く。
 だが、そこには溝呂木の罠が仕掛けられていた。
 湯船に浸かっていると、何故か、彼女は溝呂木と漂流していたり、無人島にいたり、恐竜時代にいたりとてんやわんや。
 溝呂木の目的とは…?」

・「第171話 F式ミゾロギ」
「九鬼子は人の顔が皆、溝呂木に見えるため、精神科を訪れる。
 精神科医の顔も溝呂木に見えるが、実は本人であった。
 このチャンスに、溝呂木は九鬼子の心にダイブするのだが…」

・「第172話 霧の国から」
「ひどい霧の日。
 双葉は山岸と手をつないでいたはずなのに、いつの間にか見知らぬ男性の手を握っていた。
 男性は手を放さず、奇怪な場所を進んでいく。
 彼は、自分の娘の桐子を呼ぶが、彼女の身体は…。
 霧の国に連れて来られた双葉の運命は…?」

・「第173話 怖い家」
「九鬼子は、風呂なし1DKから、庭付き一戸建てに引っ越す。
 一月三万円で、しかも、前の借家人が慌てて引っ越したため、取りに来るまで家具付きであった。
 普通なら絶体何かあると思うが、九鬼子はすっかり舞い上がっている。
 山岸と八千華は遊びに来て、大雨で足止めを喰らうのだが…。
 この家に人が居つかない理由とは…?」

・「第174話 蟹」
「帰宅途中、山岸は、若い男が袋詰めにした猫を川に投げ入れるところを目にする。
 すると、巨大な蟹のハサミが水中から現れ、袋を鋏んで、水中へと没する。
 山岸は男の部屋で、蟹についての話を聞くこととなる。
 去年の夏、彼にエサをもらった蟹が川を遡ってくる。
 最初は、肉を買って与えていたが、金がかかるため、最近は野良猫を捕まえては餌にしていた。
 そして、そろそろ人間の肉を食わせようと男は考える。
 睡眠薬入りのコーヒーを飲んだ山岸は、見知らぬ女性に起こされるのだが…」

・「第175話 水の中の世界」
「午後のプールの授業。
 カナヅチの八千華は溺れ、プールの底に沈んでいく。
 底まで行くと、反対側のプールに突き抜け、以来、ずっと空を飛んでいる。
 八千華は開放感に酔いしれていると、「ようこそ水の中の世界へ」と日焼けした青年が話しかけてくるのだが…」

・「第176話 公園警察」
「日野出先生の娘、トモ子がいなくなった。
 皆で捜していると、公園で山岸が九鬼子を呼ぶ。
 二人が行くと、半球体の遊具の上に、帽子を前後逆にかぶった男の子が立っていた。
 彼は「公園警察の保安官」と名乗り、丸・三角・四角の部下を持つ。
 部下の働きで、トモ子は見つけ出されるが、男の子の正体は…?」

 I巻では、「恋の挑戦者」、溝呂木某が九段九鬼子にアタックしまくる話が増えてます。
 最初はカッコよくきめていたのに、すっかり、お笑いキャラが定着してしまい、シリーズをよりコメディ路線にしております。
 好き嫌いが分かれるキャラだとは思いますが、ぶっちゃけ「ストーカー」なので、ギャグにして正解だったように思っております。(この手のものはシリアスにすると、生臭くなりますので…。)

2022年3月29・30日/4月4日 ページ作成・執筆

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