高橋葉介「学校怪談J」(1999年3月5日初版発行)

・「第177話 熱いコンクリート屋根の上の猫」
「夏休み。
 プールの補修に来た八千華は黒猫を見かける。
 追って、図書室にやって来た図書室で双葉と合流し、屋上に行く。
 すると、ドアに鍵がかかり、二人は屋上に取り残されてしまう。
 誰にも気付いてもらえず、とりあえず、日陰に行くと、死んで数日たつ猫の死骸があり…」

・「第178話 コンビニの怪」
「夜、山岸はコンビニで買い物をする。
 コンビニの中では女の子が走り回っていたが、レジに立つ店長によると、女の子は幽霊らしい。
 女の子の母親は勤めで帰りが遅く、コンビニを待ち合わせ場所にしていた。
 店長としては迷惑で、女の子を店から追い出したところ、前の道路で車に轢かれて死んでしまったという。
 その話をしている時、少女の母親が現れ、一緒に出ていく。
 山岸は冗談を言われたと怒るが、店長の顔色は変わっていて…。
 このコンビニに出るものとは…?」

・「第179話 九段先生を捜せ」
「夏の臨海学校。
 九鬼子は、浮き輪の八千華を追って、沖の小島まで行く。
 そこで浮き輪が破れてしまい、九鬼子は助けを呼ぶため、陸に向かう途中、行方不明になる。
 捜索にもかかわらず、九鬼子は発見されず、山岸達は東京に戻る。  その夜、山岸と双葉、夢を見る。
 海辺に峠美勒が現れ、九鬼子が乗っ取られたこと、そして、強力な助っ人を呼ぶ必要があると告げる。
 二人は夜の学校に玉川三樹夫を連れて行き、教室で「強力な助っ人」を呼ぶ。
 すると、黒づくめの服装をした「素敵なお兄様」がやって来るのだが…。
 九鬼子にとり憑いているものとは…?」

・「第180話 ホラー・ムービー」
「見知らぬ男性から映画のタダ券をもらい、山岸と双葉はホラー映画を観に行く。
 人気がないのか、観客席には誰もいない。
 山岸がロビーに飲み物を買いに行くと、そこに八千華がいた。
 彼女も道を歩いていた時、同じ男性からタダ券をもらったと話す。
 その男性は館主らしいが、どうやらこの世のものではない。
 山岸は慌てて座席に戻るが、双葉の姿がなかった。
 八千華に言われて、スクリーンを見ると…」

・「第181話 呪いのウェディング・ドレス」
「九鬼子は、日野出先生の娘、トモ子を預かり、デパートに行く。
 そこでウェディング・ドレスの試着を勧められ、気が付くと、屋上のベンチにウェディング・ドレス姿で座っていた。
 金網の向こうには、九鬼子に試着を勧めた中年女性がおり、九鬼子にそのウェディング・ドレスの話をする。
 それは一人娘のために用意したものであった。
 だが、花婿が現れず、娘は式場の屋上から飛び降り自殺をする。
 そのウェディング・ドレスをもう一度誰かに来てもらうのが夢で、もう思い残すことはないと、彼女は淵の外に足を踏み出す。
 九鬼子は女性を助けようと、フェンスを乗り越えるのだが…。
 その頃、トモ子はウェディング・ドレス姿の女性と屋上へ向かっていた…」

・「第182話 眼喰い鳥」
「双葉は外出の帰り道、公園の雑木林を通る。
 鳥の巣箱があったので覗いてみると、中には眼球がゴロゴロしていた。
 片目の老人は、これは「眼喰い鳥」の巣で、うかつに覗くと、目玉をくり抜かれると話す。
 眼喰い鳥はかなり執念深いようで…」

・「第183話 黒小僧」
「夏休みが過ぎても、渋川先生が出勤してこない。
 夜、九鬼子は渋川先生を学校で見る。
 渋川先生の様子はどこかおかしく、私の生徒が待っているので帰らないといけないと話す。
 九鬼子が彼を追うと、いつの間にか木造校舎の中にいた。
 ここは、渋川先生が夏休み、散策の途中で見つけた、昔の木造校舎であった。
 そこには…」

・「第184話 お化け屋敷の百匹目」
「八千華はお化け屋敷でアルバイトをしていたが、ずっと家に帰らず、学校にも出てこない。
 九鬼子と山岸がそのお化け屋敷を訪ねると、シーズンが終わり、閉めたところであった。
 二人は係の老人にお化け屋敷の中を案内してもらう。
 九鬼子がお化けはハリボテかと聞くと、今年の夏、新しいお化けが入って、百体になったと答える。
 お化けの数が百匹になると、作り物が本物になってしまうという話なのだが…」

・「第185話 赤い風船」
「転んで、赤い風船を手放してしまった女の子。
 山岸はその風船を取り戻そうとする。
 行く先々で、様々な危険に襲われるも、瀬戸際でかわす。
 女の子はどうも彼の不幸を待ち望んでいるようなのだが…」

・「第186話 蝙蝠ダンス」
「放課後の体育館。
 八千華だけが、体育祭で踊る創作ダンスの振り付けをちっても覚えられない。
 双葉もあきれて先に帰ってしまい、八千華は、こんな子供っぽいことやってられないと一人でふてくされる。
 ふと見ると、魔女が着ているような衣装が落ちている。
 着てみたところ、手足がスムーズに動き、しかも、宙に浮き上がる。
 この衣装の持ち主は…?」

・「第187話 暗示」
「立石双葉は体育祭の校外マラソンを完走したことがないことにコンプレックスを感じる。
 彼女は図書館で「催眠術と自己暗示入門」という本を借りて、「とても気味の悪い怪物が後ろから追いかけて」くると自分に暗示をかける。
 その夜、彼女は発作を起こし、病院に運ばれるが、病室から彼女の姿が消え…」

・「第188話 一心同体」
「山岸は気が付くと、公園でリボンを持って立っていた。
 そこに、九鬼子が現れ、職員参加の二人三脚の練習をしようと言い出す。
 彼女がそのリボンを山岸の足と結びつけると、二人は勝手に走り出す。
 山岸が意識を取り戻すと、公園は既に日が暮れていた。
 彼は帰宅して、シャワーを浴びようとすると、彼の身体は九鬼子と入れ替わっていて…」

・「第189話 一人ぼっちの運動会」
「体育祭は雨で中止。
 心待ちにしていた九鬼子はガッカリする。
 授業に出ようとした時、職員室のロッカーの中から声がする。
 ロッカーを開けると、そこには小学校時代の彼女がいた。
 当時の彼女は運動会を楽しみにしていたのだが、実際は…」

・「第190話 食べちゃうぞ」
「八千華のアルバイト先は、客がほとんど来ないハンバーガー・ショップ。
 あまりの暇さに八千華は適当に電話して、「食べ放題」だから食べに来るよう告げる。
 仕事が終わり、八千華は、山岸と、売れ残りのハンバーガーを持って、帰路に就く。
 すると、食いしん坊のモンスターが彼らの前に現れる。
 どうやら八千華が電話したのは、こいつであった。
 モンスターは店のハンバーガーだけでなく、店長まで食べて、更に、八千華と山岸に襲いかかる…」

・「第191話 ミイラ館」
「九鬼子のクラスは博物館に見学授業に出かける。
 双葉だけが集合場所に来ないので、九鬼子が捜しに行くと、ミイラを納めた棺の前に立っていた。
 以来、双葉は、自分の身体がミイラのように視えたり、感じたりする。
 彼女はどこか帰らなければならない場所があるように思うのだが…」

・「第192話 モグラ和尚」
「九鬼子のクラスは、座禅の体験授業のため、寺を訪れる。
 八千華と双葉が行方不明となり、寺の和尚は「モグラ和尚」が出たと話す。
 江戸時代、裏山にあった寺に若くて美形の和尚がいたが、彼はモグラの化身で、屍肉を喰らっていた。
 九鬼子は、モグラ和尚を退治した霊刀を持って、モグラ和尚のもとに殴り込みをかけるのだが…」

・「第193話 迷宮の森」
「山岸が夜の森を歩いていると、女性の悲鳴が聞こえる。
 駆けつけると、男が若い娘を刺殺したところで、男は山岸を刺した瞬間、消える。
 気が付くと、通りがかったお巡りさんが、数日前、ストーカーが少女を刺殺し、自分の喉を掻き切って自殺したと教える。
 その後も、同じ場面が何度も繰り返され、山岸は少女を救おうとするのだが…」

 「お化け屋敷の百匹目」がいい塩梅にバカバカしくて、好きです。
 こういう話の八千華は実に生き生きしていて、魅力的です。

2022年3月30日/4月2・5日 ページ作成・執筆

秋田書店・リストに戻る

メインページに戻る