高橋葉介「学校怪談K」(1999年7月20日初版発行)

・「第194話 お化け料亭」
「九鬼子は忘年会の会場の下見に、「あやかし亭」という料亭を訪れる。
 そこには八千華がバイトで働いていた。
 料亭の主人に言われ、八千華は九鬼子をいろいろな部屋に案内する。
 客はいないはずなのに、部屋や風呂に人がいるが、どうも様子がおかしい…」

・「第195話 星に願いを」
「満点の星空。
 空に流れ星が流れた時、山岸は道路で見知らぬ男性に声をかけられる。
 男性は山岸にここに来て、あっちの空を見るよう促す。
 すると、男性の言う通り、もう一つ、流れ星が流れる。
 彼は山岸に願い事をするよう言うのだが…。
 一方、九鬼子は空き地で夜空を見上げている女の子を目にする。
 話を聞くと、女の子は流れ星が流れた時に、母親が死ぬよう願ったという。
 彼女はその願い事を取り消すために、もう一度、流れ星が流れるのを待っていると話すのだが…」

・「第196話 工事現場怪談」
「八千華と双葉が登校する時、いつもの道が「工事中」と通行止めにされていた。
 八千華は無理に行こうとして、双葉が止めようとした時、何故か二人は工事現場にいた。
 工事現場では三人のオヤジが酒盛りをしている。
 オヤジ達は十年前のこの日、ガス管工事の事故で亡くなった幽霊であった。
 酒に酔った八千華はノリにノッてて、オヤジ幽霊達は大喜び。
 普通の世界に戻った双葉は、二日酔いの頭を抱える九鬼子に助けを求めるのだが…」

・「第197話 血まみれ酒場」
「九鬼子はある酒場で新年を迎える。
 酒場には彼女とバーテンダーだけ。
 二人は深夜のデートに出かける。
 バーテンが歩道橋の下、歩道橋の階段、駅のホームで彼女に見せたものは…?」

・「第198話 凍結病院」
「新年早々、八千華は駅の階段から転落して、入院する。
 九鬼子、山岸、双葉の三人がお見舞いに行くと、病院の中は恐ろしく寒く、看護婦も患者も皆、凍えている。
 しかも、病院の周囲だけ雪が降っていた。
 これは、八千華にとり憑いた雪女の仕業であった。
 雪女は、意識を失った人間にとり憑くらしいのだが…」

・「第199話 マン・イーター」
「満月の夜。
 山岸は、腹部に巨大な口があるバケモノ女を目撃する。
 彼が逃げると、女の首が伸び、どこまでも追ってくる。
 追われるうちに、彼はバケモノの身体に向かっていくのだが…」

・「第200話 ウサギのパーティー」
「九鬼子、山岸、双葉は、八千華の退院祝いとして、パーティーに招待される。
 会場は八千華がアルバイトしているレストランであった。
 名物はウサギのシチューで、八千華は味見のつもりがあらかた食べてしまう。
 だが、このレストランのシェフは溝呂木で、シチューを食べた八千華は…」

・「第201話 雪国心中」
「双葉が通学途中、予報とは違って、雪が降り始める。
 すると、後ろから見知らぬ青年が彼女を抱きしめ、「雪空を見上げてはいけない」と警告する。
 双葉が彼から逃げると、彼は双葉が「昔 雪の原で一緒に死のうと約束して僕を残して一人で逝ってしまった女性」に似ているといって謝る。
 登校して、九鬼子と言葉を交わしていると、いつの間にか、双葉は雪原に立っていた。
 どうやら熱があるので、早退させてもらったらしい。
 気が付くと、隣にあの青年がいて、この雪の中に彼の「彼女達」が眠っていると話すのだが…」

・「第202話 霊感熱」
「風邪をひいた山岸のもとに、八千華がお見舞いに訪れる。
 山岸は熱のせいで霊感が強力になっているらしく、彼の家に来る前の八千華の行動を当てていく。
 八千華は、靴屋で客の忘れ物のブーツを強引に持ち帰っていたのだが、その後…」

・「第203話 案内人」
「仮面をつけた、黒い帽子の男。
 彼が持っているバッグのチャックを開くと、霊達が中に吸い込まれていく。
 男は職員室の九鬼子に会いに来るのだが…」

・「第204話 おんぶおばけ」
「日野出先生が、実家に帰った奥さんと話し合いをするため、九鬼子はトモ子を預かることとなる。
 夜遅く、九鬼子はトモ子を幼稚園に迎えに行き、おんぶして帰る。
 トモ子に話をせがまれ、九鬼子は怖い話をするのだが…」

・「第205話 殺人連想」
「山岸は青年とぶつかった際、彼が女性を殺し、バラバラにする様子が頭に浮かぶ。
 翌日、山岸が下校しようとした時、その青年が校門のところで彼を待っていた。
 青年も山岸と同じく霊感を持ち、触れることで、相手の心を読むことができた。
 青年は山岸に、他に何を知っているか尋ねるのだが…」

・「第206話 人形使い」
「九鬼子のもとに送られてきたミゾロギ人形。
 当然、ゴミ箱行きだが、ミゾロギ人形はこっそり九鬼子の灰皿を持ち帰る。
 溝呂木が九鬼子の人形にタバコの吸い殻を詰めると、操り人形の出来上がり。
 操られるまま、九鬼子は溝呂木の待つラブホテルの部屋に来て、服を脱がされるのだが…」

・「第207話 モガンバ」
「夜の学校。
 モガンバという食用ナメクジが巨大化して、九鬼子達を襲う。
 モガンバは、八千華が通信販売で買って、生物室の水槽でこっそり飼っていたのであった。
 ナメクジなら塩に弱いだろうと、九鬼子、山岸、八千華は家庭科室に行くのだが…」

・「第208話 狼が来た」
「八千華が体育倉庫の奥で見つけた狼の着ぐるみ。
 それは過去にあった演劇部のもので、満月の夜に校内を動き回るという怪談があった。
 放課後の午後七時、双葉が下校しようとすると、狼の着ぐるみが廊下に現れ、お前を喰うと話す。
 双葉が教室に逃げ込むと、ドアの向こうから山岸の声がする。
 彼女が信用して、ドアを開けると…」

・「第209話 マスク」
「夜、帰宅途中の山岸の前に、スーパーヒーローが現れる。
 彼は山岸にマスクをかぶせ、公園の公衆トイレへと駆け込む。
 いつの間にか現れた改造人間達がマスクの山岸を襲うが、スーパーパワーでことごとく撃破。
 コウモリ男(?)は少女を人質にして、空へと飛び立つ。
 山岸はコウモリ男を追い…」

・「第210話 殺してやる」
「川土手で手紙を燃やしている男性。
 九鬼子は、川の中に、全身焼け焦げた女性を視る。
 男性は、いつの間にかポケットや身の回りに手紙があると話す。
 手紙の内容は決まって「殺してやる」であった。
 どうやら最近、起こった火事と関係があるようなのだが…」

・「第211話 案山子」
「四丁目の小さな畑。
 老婆がいつも耕していたが、彼女の死後、案山子が畑を耕していると噂が立つ。
 ある夜、双葉は下校途中に、その畑に寄ってみる。
 すると、八千華が畑を耕していた。
 アルバイトで、適当に畑を耕せばいいらしい。
 依頼主は、麦わら帽子をかぶった、顔がゆがんだオヤジで、片足であった。
 そこに、老婆の孫が現れるのだが…」

 個人的には、「霊感熱」が凝った展開で特に面白く思いました。
 「マスク」も異色かつ皮肉な一編で、お勧めです。

2022年4月4・5・8日 ページ作成・執筆

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