高橋葉介「学校怪談M」(2000年4月15日初版発行)

・「第229話 イケニエ」
「祖父の家に行く途中、山岸は山中で迷う。
 日も暮れた頃、彼は家の灯りを見つける。
 そこには着物姿の女児が一人で住んでいた。
 女児は立ち去れと言うが、山岸に頼み込まれ、しぶしぶ了承する。
 ただし、山岸に部屋から絶対に出ないよう警告する。
 その夜、暑さのため、山岸が隣室の戸を開ける。
 向こうにはモンスターがおり、女児をばらばらにして食べていた…」

・「第230話 禁じられた遊び」
「夏。
 双葉と八千華は下校途中、アイスを買い食いする。
 そこに、女の子が現れ、アイスの棒をくれるよう頼む。
 彼女はそれでペットのお墓を作っていた。
 双葉が女の子の墓場を見に行くと、空き地に多くの「お墓」が作られていた。
 気が付くと、双葉の身体は小さくなっていて…。
 一方、アイスで当たり棒の出た八千華は、店の老夫婦から女の子の話を聞くのだが…」

・「第231話 ゴースト・フライト」
「飛行中の軽飛行機のパイロットが心臓麻痺を起こす。
 このままだと軽飛行機は山岸達の中学校へ突っ込む。
 異変を察した九鬼子は運動場へ出て、意識を失う直前のパイロットに念を送ると…」

・「第232話 ゴキブリ・マスター」
「九鬼子はゴキブリが大の苦手。
 彼女は雑貨屋でゴキブリ用の殺虫剤を購入する。
 だが、雑貨屋の主人は溝呂木で、殺虫剤には罠が仕掛けられていた…」

・「第233話 FLY ME TO THE MOON」
「九段九鬼子が学生だった頃の話。
 彼女にはボーイフレンドがおり、若い二人は無軌道であった。
 ノーヘルでバイクを飛ばしていたところ、事故を起こし、彼氏は瀕死の重傷を負う。
 最後にいい夢を見させたいと九鬼子は念じ、二人で星空を舞う夢を見させる。
 彼氏は夢中になり、月まで飛んで行ったところで、息絶える。
 しかし、彼氏は自分が死んだことに気づかず…」

・「第234話 禁じられた言葉」
「八千華は歯医者で虫歯を抜くこととなる。
 歯医者は凄く痛いのと、全然痛くないのと治療方法を尋ねられ、八千華は全然痛くない方を選ぶ。
 そのためには、歯を抜いてから、24時間、絶対に喋ってはならず、コミュニケーションはスケッチブックに書いた文字で伝えるしかない。
 帰り道、奇妙な男が独り言を言っている。
 このあたりには「歯をくれオバケ」が出るらしく、このオバケが現われたら、「歯をくれオバケさん あなたにあげる歯をありません」と叫べば、助かるという。
 男は歯が全くなく、八千華が驚いて、その場から逃げ出すと、まさしく「歯をくれオバケ」と鉢合わせ。
 彼女は山岸の家に逃げ込むのだが…」

・「第235話 殺意の弾道」
「山岸は駅前の広場で女性が射殺されるシーンを予知する。 
 九鬼子に電話で連絡した後、彼はそのシーンをもっと詳しく視る。
 女性は最初に額を撃たれており、その弾道をたどると犯人のストーカー男がわかる。
 山岸は彼の額に手を当て、行動を制止させるのだが…」

・「第236話 奥様は魔女」
「双葉と八千華は緑川小夜子の邸を訪れる。
 緑川小夜子は少女小説の大御所で、双葉は大ファンであった。
 犬の鳴き声が聞こえ、八千華がその方に向かうと、襖の隙間から男性に呼び止められる。
 彼は小夜子の夫で、病気なのか、布団に臥せっていた。
 彼は八千華に早く逃げるよう勧める。
 彼は妻は魔女で、彼女の小説は皆、彼が書いていた。
 彼女に気に入られるとペットにされるらしいのだが…」

・「第237話 魔少年」
「夜。駅のホーム。
 山岸は魔少年(名前なし)と出会う。
 魔少年は、その能力を使って、面白半分に人を死に導いていた。
 山岸は彼と超能力対決をするのだが…」

・「第238話 鳥」
「帰宅途中の双葉の肩に小鳥が止まる。
 小鳥の足には手紙が結わえられていて、「病気で寝ています 誰か遊びに来て下さい」と書かれていた。
 鳥の後を追い、双葉はある屋敷で同じ年頃の少女と出会う。
 数日後の休日、双葉はまた少女の家に向かうが、彼女の葬式が行われていた。
 翌日の放課後、双葉の肩に少女の小鳥が止まる。
 小鳥が運んできた手紙には…」

・「第239話 ストーカーズ」
「八千華は、商店街の客寄せのアルバイトでコスプレをして、某アイドルの追っかけだった霊達に憑依される。
 だが、霊達は八千華があまりにがさつで、不満を抱いていた。
 とりあえず、九鬼子は、生身の身体を与えるから、八千華とデートして、成仏するよう提案する。
 霊達は山岸に憑依して、八千華とデートをするのだが…」

・「第240話 妖魔対決」
「山岸はふとしたことで、妖魔対決に立ち会うこととなる。
 この妖魔は壺に封印されており、ツヨシとタケシは小さい頃から一年に一度、自分の育てた妖魔を対決させてきた。
 だが、タケシが亡くなり、ツヨシは彼の壺を渡される。
 夜の中学校の校庭で、ツヨシがタケシの形見の壺を開けると、中から出てきたのは…」

・「第241話 黒衣」
「八千華は町中で、黒衣を背後に付けている男性を目にする。
 彼の館で、八千華は黒衣の話について聞く。
 黒衣は彼が子供の頃にやってきて、今までずっと役に立つアドバイスをしてくれたおかげで、男性の人生は順風満帆、今では大金持ちであった。
 男性は八千華に黒衣を譲ろうかと言い、八千華は譲渡契約書を交わす。
 しかし、九鬼子に黒衣を見つかられ、男性に返しに行かされるのだが…」

・「第242話 君の夢を聞かせて」
「夜の職員室。
 九鬼子は生徒達の書いた「将来の夢」の作文に目を通す。
 その中に名前のないものがあり、山岸への憎悪と殺意に満ち溢れていた。
 一方、帰宅途中の山岸は、双葉が歩道橋の手すりに立っているのを目にする。
 山岸が駆けつけると、双葉にとり憑いていたものが正体を明らかにする。
 それはあの魔少年(第237話参照)であった…」

・「第243話 キラー・サンタ」
「双葉と八千華はトナカイのかぶりものをして、クリスマス・プレゼントを配るバイトをする。
 何故サンタの恰好ではないかと言うと、「キラー・サンタ」が噂になっているからであった。
 公園で一休みをしている時、サンタの恰好をした、貧相な老人が自分が「キラー・サンタ」だと名乗り出てくる。
 そういうふうにはとても見えず、双葉と八千華が笑うと、老人は殺人鬼の正体を明かすのだが…」

・「第244話 竜の通る道」
「九鬼子は出勤途中、大学時代の友人の百合子と出会う。
 彼女は夫の転勤で最近、こちらに引っ越してきたという。
 しかも、妊娠しているようで、産婦人科に行く途中であった。
 一緒に並んで歩いていると、四つ辻で突風に襲われる。
 九鬼子は突風の中に竜の姿を視る。
 その後、九鬼子は妊娠が判明するのだが…」

・「第245話 まぼろしの雪山」
「九鬼子は商店街のくじ引きで温泉旅行が当たる。
 と言っても、山奥のひなびた旅館で、ようやくたどり着いたと思ったら、ミゾロギがいた。
 夜も更け、仕方なく一晩泊ることとなるが、入浴中、「雪オヤジ」が現われ…」

・「第246話 雪の女神(雪の女王″より)」
「雪の降る夜道を、山岸と双葉が歩いている。
 いい雰囲気であったが、山岸は「雪の女神」の姿を視る。
 「雪の女神」はいろんな場所に現れ、遂には彼は虜となる。
 双葉は彼を取り戻そうと…」

 「ストーカーズ」が最強にバカバカしくて、大好きです。
 「イケニエ」「鳥」も幻想的な好短編です。

2022年4月14・28日 ページ作成・執筆

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