高橋葉介「学校怪談N」(2000年8月20日初版発行)

・「第247話 餓鬼」
「双葉と八千華は、中華料理店での餃子の大食いに挑戦して失敗。
 代金一万円を払うこととなり、八千華は家に取りに行く。
 途中、八千華が膨満感に苦しんでいると、餓鬼が彼女にとり憑く。
 途端に猛烈な空腹に襲われ、八千華は山岸の家に押しかけ、食べ物を片端から食い尽くす。
 山岸が食料を買い出しに行き、家に戻ると…」

・「第248話 鍵」
「金属音がして、山岸が振り向くと、足元に鍵が落ちていた。
 その鍵を握ると、不思議なイメージが頭に浮かぶ。
 人のいない廃墟の団地。
 地下の暗い部屋。
 鉄の扉の向こうに、女の子が閉じ込められ、助けを求めている。
 しかし、双葉も九鬼子もその鍵からは何も感じないという。
 放課後、山岸は鍵が指し示す方向に向かい、その扉のある場所にやって来るのだが…」

・「第249話 蘇生」
「九段九鬼子、18歳、大学生。
 彼女は、民俗学専門の棟方征四郎助教授に惚れていた。
 彼の妻は一年前に病死しており、彼女は理由をつけて、彼の家を訪問する。
 彼女はある部屋に案内されるが、そこは布団が敷いてあり、布団の中には…」

・「第250話 鬼は外」
「節分の日。
 渋川先生が桜木神社の神主から「鬼の手首のミイラ」を借りてくる。
 それは昔、村井勢衛門という侍が鬼退治をした際に切り落としたと伝えられていた。
 箱の裏に護符が貼ってあった跡があり、どうやら護符が剥がれてしまったらしい。
 このままでは鬼が手首を取り返しに来ると、九鬼子と山岸は慌てて護符を捜す。
 そうする間にも、学校に鬼が来て…」

・「第251話 十年目の呪詛」
「九段九鬼子、18歳、大学生。
 彼女は恋人のタカオにあっさり別れを告げられる。
 引き留めようと彼の肩に手を当てた時、十年以内に彼が妻を殺すところが視える。
 このことを棟形助教授に相談すると、これは彼女の願望で、「無意識の呪詛」ではないかと指摘される。
 一度かけた呪詛は当人でも解除はできず、十年経たないと結果はわからない。
 そこで九鬼子は…」

・「第252話 魍魎の家」
「九段九鬼子、18歳、大学生。
 棟方助教授の遠縁の田舎家で、土蔵の中から大量の呪術に関する古文書が発見されたことから、彼女は助教授の調査に同行することとなる。
 だが、その家に着いてみると、家の人は皆、村にある別宅に「避難」していた。
 どうやら、その家の祖母が入院したのと関係があるらしい。
 九鬼子と棟方は二人だけで夜を迎えるのだが…」

・「第253話 洞窟の怪」
「九段九鬼子、18歳、大学生。
 彼女は棟方助教授と共に漁村を訪れる。
 ここでは最近、海岸で巨大な洞窟が発見され、その洞窟は人工的に作られたものであった。
 棟方の恩師である長浜教授が調査していたが、洞窟内で殺害される。
 その死体は体中に鉄の杭を打ったような傷跡があった。
 棟方は長浜の遺留品を読んでいて、この洞窟がこの近くにあった海神城城主、海神兵衛弓近が脱出口のために掘らせたものだと知る。
 しかも、弓近は「人外魔性ノ物」を使役していたというのだが…」

・「第254話 封印」
「山岸はタクシーに乗った棟方教授に中学校の場所を尋ねられる。
 タクシーが行った後、その場に着物姿の少女が残されていた。
 彼女は病気のようで、山岸は彼女を保護する。
 だが、彼女の周囲に次々と物の怪が現れ、退治してもきりがない。
 その時、山岸はあることに気づくのだが…。
 一方、中学校に行った棟方は九鬼子をホテルへと連れて行く。
 ホテルには着物姿の少女がベッドに寝ていた。
 少女の正体は…?」

・「第255話 時穴伝説」
「再会した九鬼子と棟方教授。
 早速、九鬼子に押し付けられたのは膨大な心霊写真の鑑定であった。
 その最中、九鬼子は大学時代の写真を発見する。
 これは、九鬼子が棟方と山の中で遭難しかけた時に撮った写真であった。
 棟形は「時穴」(自分の未来が視える穴)を探しに来ていたが、山の中で迷った上に、雷雨となる。
 二人は偶然見つけた横穴に避難するのだが…」

・「第256話 化物屋敷で誘われて」
「棟方教授と山岸はある屋敷を訪れる。
 この屋敷は、棟方教授の遠縁の一族が東京に新しく買い求めた別宅であった。
 二束三文の値段だったというが、ものの見事に化物屋敷。
 早く帰ろうと山岸は棟方教授に声をかけるが、教授は眠り込んでいた。
 実は、これにはある人物の思惑が…」

・「第257話 劇場の怪」 「九段九鬼子、18歳。
 彼女は棟方助教授に芝居に連れて行ってもらえると喜んだのも束の間、実際は、劇場の霊視が目的であった。
 棟方にいいように使われていると、傷心の九鬼子は通路で一人、涙を流す。
 すると、一人の女優が声をかけ、九鬼子を楽屋へと招く。
 彼女は九鬼子に同情し、自分が演出家に恋をした話をするのだが…」

・「第258話 プロポーズは唐突に」
「棟方教授からの突然のプロポーズ。
 彼はアメリカのミスカトニック大学の超常現象研究チームに招かれており、一週間後の出発までに返事を聞かせてほしいと告げる。
 九鬼子の心乱れる隙につけ込み、ミゾロギは彼女の心に入り込み、記憶を修正しようとするのだが…」

・「第259話 父と娘」
「棟方教授を空港で見送った後、九鬼子は病院へ向かう。
 そこには、彼女の父親が意識不明のまま、寝たきりになっていた。
 そして、父親の周りには…」

・「第260話 最強の姑」
「双葉と八千華は、九鬼子について、棟方教授の家を訪ねる。
 そこには、教授の母、棟方さゆりが待ち構えていた。
 圧倒的な威圧感で、九鬼子達は彼女にこき使われる。
 双葉と八千華が掃除をさせられていると、廊下に大きなつづらがあり、中は地下に続くはしごがあった。
 そこに閉じ込められていたものとは…?」

・「第261話 ラスト・バトル」
「山岸の前に、あの魔少年が再び現れる。
 彼は精神を破壊されたはずであったが、その直前に身体から逃げ出し、様々な人物の身体を渡り歩いて、力をためてきた。
 山岸と魔少年との最後の戦いが始まる…」

・「第262話 206便消滅す(前篇)」
「棟方教授の乗った飛行機が消息を絶つ。
 ショックで呆然自失の九鬼子のところに、彼の母親が訪ねてくる。
 彼女は息子はまだ生きていると言い、九鬼子を「256話」の別宅へと連れて行く。
 棟方教授はミゾロギにより飛行機ごと誘拐され、今、異次元空間にいるらしい。
 屋敷の地下には「魂の井戸」があり、異次元空間に(たぶん)通じているのだが…」

・「第263話 206便消滅す(後篇)」
「九鬼子、山岸、棟方さゆり、彼女と遠縁の夢幻那由子の四人は異次元空間に到着する。
 化物退治は山岸達に任せて、九鬼子は教授を捜しに向かう。
 すると、庭付き一戸建てがあった。
 その中では…」

・「最終話+1」
「九鬼子は将来の教え子達や同僚の姿を目にする。
 ふと、自分の未来について考えた時、彼女はお花畑に座っていた。
 そして、彼女と背中合わせに「素敵なお兄さま」が…」

 「学校怪談」の最終巻です。
 この単行本では、九鬼子の恩師である棟方征四郎と九鬼子の関係が主に描かれております。
 そして、迎える大団円。
 もう「学校怪談」の面々と会えなくなるのは寂しい限りですが、皆の面影は私の脳裏にしっかりと焼き付いております。
 いつかまた会えたら、嬉しいね。

2022年4月28日・12月31日 ページ作成・執筆

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