沖田有美子「呪いの封印」(1987年4月20日初版発行)

 収録作品

・「呪いの封印」(「ひとみコミック・コレクション」1986年12月25日号掲載)
「二年前に母親を亡くし、建築技師の父親と二人暮らしの御堂空見子(高校一年生)。
 父親の仕事の都合で、二人は地方都市へ引っ越す。
 その町では同族企業の戸倉建設が権力を持っており、二人が越したのも、戸倉スカイマンションであった。
 そこで、空見子は、奇妙な青年を目にする。
 彼は、彼女と同じ高校の三年生、岸大樹で、七年前に行方不明になった妹を捜し続けていた。
 彼には、妹の声は聞こえても、その姿は見えない。
 マンションで、少女の霊を視た空見子は、彼への協力を決意する。
 二人は、妹の行方不明事件について調べるにつれ、妹だけでなく、他の行方不明事件に、戸倉建設が関わっていることに気付くのだが…」

・「還らない夢」(「ひとみコミック・コレクション」1986年8月25日号掲載)
「志田恵子は霊視能力を持つ、高校二年生。
 彼女は転校した高校で、小木政弘という青年と隣の机になる。
 彼はハンサムで勉強もでき、性格も明るく、女子生徒達に人気であった。
 だが、恵子の周囲で、奇妙な出来事が度々起こるようになる。
 それは、去年の夏休みに交通事故死した松崎美乃の霊の仕業であった。
 恵子は、彼女の霊が教室にとどまる理由を探っていくうちに、彼女の想いが明らかになる…」

・「おらんださんの涙」(「ひとみコミック・コレクション」1985年10月20日号掲載)
「戦国時代。長崎の松宇(どこか不明。海の近くらしい)。
 松宇藩主の長男、宗之は、人質として潮見に送られ、五年間、つらい日々を送る。
 父親の死後、藩主となるも、弟の高之に命を狙われ、海に身を投げる。
 気が付いた時、彼は、美しい娘に介抱されていた。
 娘の名は藍(あいな)で、それ以外のことは全くわからない。
 宗之は順調に回復し、あいなと愛し合うようになる。
 しかし、本能寺の変の後、潮見が松宇に攻め込んでくると知り、宗之は城へ戻る決心をする。
 彼はあいなに帰ってくると約束するのだが…」

 「還らない夢」はダークなオチで、地味に後味の悪い作品です。
 後味の悪い作品は多々ありますが、「地味に」というのは珍しいかも…。
 「おらんださんの涙」は内容云々よりも、男色描写やセックス描写があったことの方が印象的でした。
 「ひとみ」では許されていたんでしょうか?

2020年12月1日 ページ作成・執筆

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