風間宏子
「銀のアミュレット@」(1994年7月10日初版発行)
「銀のアミュレットA」(1995年3月15日初版発行)
・「Warning 1 変身」(単行本@)
「瑞木優美は東京に住む女子高生。
母親を物心がつく前に亡くし、考古学者の父親は不在がち。
その代わり、隣に住む、6歳年上の堂本健太が彼女の兄代わりをしてくれた。
彼を慕う想いはいつしか恋心に変わり、16歳の誕生日に、彼女は彼に告白しようと決める。
しかも、彼女の誕生日の前日から、彼は彼女の通う高校に教育実習に来ることになっていた。
登校する前に、彼女は父親の書斎を訪れ、朝の挨拶をする。
父親はタクラマカン砂漠の調査から帰国して以来、ずっと調べものにかかりっきりであった。
それは、古代の遺跡から発見された腕輪のようなもの。
優美がそれを手に取り、見つめると、中央の宝石から気体のようなものが彼女の口に入る。
以来、彼女の身に奇怪な出来事が次々と降りかかる。
父親が惨殺され、父親の助手の木島にはこの地球で子孫を残そうと迫られる。
そして、彼女が「銀のライオン」に変身する夢…。
彼女の身に何が起きているのだろうか…?」
・「Warning 2 運命」(単行本@)
「優美は『融合失敗』した『不完全体』故に、同族から命を狙われるようになる。
幸い、健太は彼女の境遇を理解し、いろいろと心配してくれる。
ある日の授業中、彼女はどこからか「殺意」のこもった視線を感じる。
しかし、周りにはクラスメートたちしかおらず、「殺意」は誰のものかはわからない。
週末の夜、試験勉強を理由に、友人の河島則子と杉沢早紀子が優美の家に泊りに来る。
友人たちと過ごすのは楽しいものの、彼女は変身しないようコントロールし続けなければならず、気が気でない。
午前三時頃、健太が急に彼女の家を訪れる。
彼が悲鳴を聞いたと言うので、則子と早紀子が寝ている部屋を訪れると、早紀子はケガをして倒れ、則子は切り裂かれ、蛍光灯に縛り付けられていた。
生き残った早紀子は「今まで見たことのない生き物」の仕業と話す。
優美を狙っているのは…?」
・「Warning 3 決意」(単行本@)
「ある日、優美が学校から帰ると、家の前に妊婦さんがうずくまっていた。
家で休ませていると、破水したため、近所の産婦人科医に来てもらい、女児を出産。
だが、母親は赤ん坊を二、三日預かってほしいと置手紙をして、行方をくらます。
優美は赤ん坊にすっかりメロメロで、こまめに世話をしながら、母親の帰りを待つ。
だが、彼女の周囲では奇怪な出来事が続発。
健太は赤ん坊が怪しいと睨むのだが…」
・「Warning 4 仲間」(単行本@)
「行方不明になった健太を捜すため、彼女は、彼の友人の橋本洋平を訪ねることにする。
彼は筑波のT大研究所で、未知の生命体の研究をしていた。
研究所に向かう途中のバスで、彼女は、小さな女の子がバスの運転手に襲われるところを助ける。
その女の子は優美と同じ『融合失敗』種で、正体は家猫の「チャイ」であった。
「チャイ」はT大研究所には嫌な予感がすると、優美を止めるが、ここに行かないと、健太の足取りがつかめない。
橋本洋平は健太を匿っていると話し、地下に案内する。
そこは戦時中、旧日本軍が実験場として使っていた所で…」
・「Warning 5 発見」(単行本A)
優美は奇怪な夢を見る。
荒野で彼女は怪物になっており、逃げようとしたところを、同じ種の仲間に食べられる夢であった。
チャイも同じような夢を見ていて、それには既視感がある。
優美は父親の書斎でアミュレットの資料を探すが見つからず、父親の弟子の木島の部屋を訪れる。
そこでフロッピーディスクを見つけ、図書館のパソコンで見ようとするも、プロテクトを解除するのにパスワードが必要であった。
仕方なく変える途中、町の通りで健太の姿を目にする。
彼の後をつけていくと、無人のオフィス街の真ん中で彼の姿を見失う。
上を見上げると、夢と同じ感覚が甦り、彼女とチャイは夢の中の怪物と同じ姿となる。
何かに導かれるようにして、彼女とチャイは地下鉄の奥にある部屋に向かい、階段を降りる。
そこにあったのは…?」
・「Warning 6 チャイ」(単行本A)
このところ、チャイの様子がおかしい。
あれだけ食欲旺盛だったのに、ろくに食べず、衰弱しているようであった。
その頃、世界中で、樹々の立ち枯れや湖の枯渇といった、原因不明の自然現象が多発。
また、人類にも原因不明の突然死や自殺が増えていく。
ある夜、優美は一人、この前、訪れた地下鉄の奥の部屋に行こうとする。
だが、地下鉄の駅が見つからず、戸惑っていると、通りすがりの女性に人間でない気配を感じる。
彼女を公園までつけていくと、そこで目にしたものとは…?
そして、チャイの衰弱の理由とは…?」
・「Warning 7 仲間」(単行本A)
一人になった優美も、チャイと同じような衰弱が起きる。
手掛かりは木島のフロッピーディスクのみであったが、今度はデータの意味するところが分からない。
そんな時、健太が優美の前に再び現れる。
彼は気が付いたら、彼女の家の前にいたと言い、記憶を失っていた。
健太は彼女の家に泊るが、朝、目覚めると、彼女の服に血がつき、健太の両親は惨殺されていた。
しかも、次の夜には、健太のおじが殺され、彼女の部屋には、おじの眼球が落ちていた。
彼女は就寝中の自分が無意識にしたのかもと考えるのだが…」
・「Warning 8 永遠への出発」(単行本A)
優美は、父親がアミュレットを発掘したロブノールに旅立つ。
ロブノールの遺跡巡りツアーは大人気で、多くの人が参加していたが、実は参加者はアミュレットで人間に変身した者ばかりであった。
彼らは「出発」のために、神殿を目指す。
そこには健太がいるはずであった。
そして、優美はアミュレットを統べる「マザー」と対峙する…」
・「影が囁く」(単行本A)
「美和子は鏡を見ると、自分の顔が別人のように思えることがある。
また、別の「私」の声が聞こえ、自分の知らない間に、別人のような行動を取ることがあった。
ある夜、美和子は奇妙な夢を見る。
もう一人の自分を追って、家のドアを開けると、そこは断崖絶壁であった。
彼女が崖っぷちに掴まっていると、もう一人の自分が現れ、彼女の指を踏み、海へと突き落とす。
由利子と名乗る、もう一人の自分の正体とは…?」
ベテランの風間宏子先生による異色の「SFホラー」です。(「プリンセスGOLD掲載)
単行本Aの前袖には「クーンツに凝っています」と書かれてあるように、D・R・クーンツの作品の影響があるのかもしれませんが、特定はできませんでした。
また、クーンツの他に、「地獄先生ぬ〜べ〜」や「闇のパープル・アイ」等、様々な作品の影響があるような気がしております。
それでも、様々な作品からどんどん影響を受けながら、スケールの大きいストーリーを独自に作り上げている点は評価すべきだと思います。
ただ、やはり、「プリンセス」の読者には受けなかったのか、ラスト付近は駆け足でストーリーが進んでしまい、二巻のみで終わったことが惜しまれます。
2022年12月19日/2023年1月4日/2024年7月12・14日 ページ作成・執筆