楳図かずお「ミイラ先生」(1968年10月5日初版・1981年7月20日57版発行)

 収録作品

・「ミイラ先生」(1967年)
「聖白バラ女学院の地下室に安置されている、シスター・アンヌのミイラ。
 ある雨の夜、雨漏りの水を得て、ミイラが復活、祈りに来ていた葉山先生を襲い、入れ替わる。
 ミイラは、美しさを取り戻すために、水だけに飽き足らず、美しい女子生徒達の血を望むようになる。
 その中で、特に目を付けたのが、葉山先生を慕う絵美子であった。
 度重なるミイラの襲撃から、絵美子はかろうじて助かる。
 葉山先生は、ミイラから身を隠すために、彼女の別荘に友人達と行くことを絵美子に提案。
 だが、別荘に向かう途中の電車で、絵美子は葉山先生がミイラであることに気付く。
 雪山の別荘から絵美子は脱出を図るのだが…」

・「ねこ目の少女」(1965年)
「加賀のある殿様は猫が嫌いで、見つけ次第、皆殺しにしていた。
 殿様は花姫、雪姫の双子の姉妹に恵まれるが、雪姫の顔かたちは猫そっくりであった。
 雪姫を忌み嫌った殿様はこっそり食事に毒を盛り、雪姫は衰弱していく。
 雪姫は突如、猫の像を彫り始めるが、完成を待たずして、この世を去る。
 そして、時は流れ、現代。
 殿様の血をひく加賀家には、ひとみと木の実という双子の姉妹がいた。
 二人は仲の良い姉妹であったが、ある日、ひとみが庭で彫りかけの猫の像を拾った時から、奇怪なことが起こるようになる。
 ひとみの顔は猫のように変わり、彫りかけの猫の像を完成させようとする。
 だが、その現場を目撃した木の実を襲った、ひとみは過って死んでしまう…」

 荒唐無稽な「ミイラ先生」は「ゲテモノ・怪奇マンガ」の逸品だと私は考えております。
 雨漏りで生き返ったのは、この御方ぐらいのものでしょう。(注1)
 一応の設定はあることはありますが、ミイラ女が暴れまわることに主眼を置いており、勢いだけでガンガン読ませます。
 存在数の少ない「ミイラ」を題材にしたマンガで、興味深く思います。(注2)

・注1
 普通の雨とは違いますが、「バタリアン」も雨漏りで生き返ったと言っていいのかな?

・注2
 他には、浜慎二先生の「ミイラ少女」(雑誌掲載で全部読めてない)なんかがありますが、上野の国立博物館のツタンカーメン展(詳細は不明)にインスパイアされて、ミイラを題材にしたマンガが描かれるようになったのでありましょうか?
 詳しい事情を御存知の方がおられましたら、御教示いただけたら、幸いです。

2017年11月20日 ページ作成・執筆

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