きさらぎ綾「死人が招く病棟」(1987年1月15日初版・1988年10月25日再版発行)

「准看護学院に通う山岸渚。
 彼女が看護婦を目指す理由は、五年前、父親が容体の急な悪化により亡くなったことにあった。
 そのトラウマのせいか、彼女はいまだに、父親が手術中に医師達に惨殺されるという悪夢に悩まされる。
 ある日、彼女は、友人の松本春子と、小児看護学の実習をすることとなる。
 その実習先は、渚の父親が亡くなった第五病院であった。
 第五病院は死亡率が他の病院と較べて、非常に高く、また、敷地内の特別病棟に入った患者は生きて出られないという噂もあり、評判は恐ろしく悪い。
 渚は、不安を感じながらも、第五病院を訪れる。
 実際、病院の雰囲気は暗く、院長も威張りくさっていて、他の病院とは違う。
 ただ、渚は、心臓病の手術を終え、退院を待つ山本理沙という少女と知り合う。
 実習早々、二人は深夜勤をすることとなり、渚は看護婦長から理沙に薬を投薬するよう指示される。
 だが、その薬を飲んだ理沙は猛烈に苦しみ出し、強制的に特別病棟へと送られる。
 渚は特別病棟へ様子を見に行くが、鍵がかかっていて中に入れない。
 すると、父親の霊が現れ、彼女に木に登るよう促す。
 渚が天窓から中を覗くと、院長、外科医の山崎、看護婦長の三人が理沙の手術をしていた。
 後日、理沙の死亡診断書が母親に送られ、死体は研究に使われたと返ってこなかった。
 一年後、准看護婦となった渚は、父親と理沙の死の理由を突き止めるため、第五病院に就職する。
 そこで、渚は数々の奇怪な出来事に直面することとなるのだが…。
 深夜の病院を徘徊するものの正体とは…?」

 「マッド・サイエンティスト」ものなのですが、モンスターの説明がほとんどないのが痛いです。
 特別病棟での描写を頑張ったら、佳作になったと思うのですが…。(推測ですが、きさらぎ綾先生はラスト付近、力尽きていたのかもしれません。)
 個人的には、メスで開腹する描写が肌にもろ、きました。(「プッ ツツ―ッ」という擬態語がイヤ過ぎる!!)

2021年2月2日 ページ作成・執筆

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