田中雅子「呪われた彫像」(1987年12月20日初版発行)

 収録作品

・「呪われた彫像」(池田悦子・原作/「ひとみコミックコレクション」1987年8月30日号掲載)
「大学の建築科二年生の西条理恵。
 彼女は、ボーイフレンドの鎌田文也と共に、田舎へ古民家の調査にやってくる。
 二手に分かれて調査していたが、待ち合わせ当日、文也が現れない。
 理恵は、文也が入ったらしい山へ向かうと、彼の双眼鏡を発見する。
 彼を呼んでいるうちに、彼女は狩猟用の罠にかかってしまい、気絶する。
 目を覚ますと、理恵は、山に一軒ある別荘に運び込まれていた。
 別荘には、瑛子という娘と、別荘番の槇夫が二人だけが暮らしており、文也については何も知らないと言う。
 理恵は夜を別荘で過ごすが、屋敷では奇妙なことばかり。
 黒髪に異様に怯える瑛子。
 風呂場から見えた、黒髪の女性。
 そして、屋敷にある鏡は全て割られていた。
 理恵は、槇夫は、新進彫刻家として華々しくデビューした千谷槇夫であることに気付く。
 槇夫は彫刻のために、この屋敷に別荘番として住み込んだが、やがて、主人の瑛子と恋に落ちる。
 槇夫の妹、麻夜は瑛子に嫉妬の炎を燃やし、結婚直前、彼女を射殺しようとする。
 しかし、銃の暴発により、麻夜は亡くなり、以来、麻夜の怨念は二人の仲を裂くために、瑛子にまとわりついているという。
 翌朝、理恵は、槇夫によって車で麓の町に送られることになるのだが…」

・「THE OTHER ONE ―もうひとつの…―」(「ひとみコミックコレクション」1986年12月25日号掲載)
「高校最後の冬休み。
 仲良しグループの男女六人は、雪山の別荘に滞在する。
 この別荘は、グループの男子、司のおじの所有するものであった。
 沙未はこの屋敷に入ったとたん、気分が悪くなり、気絶。
 以来、彼女は、人が心に抱いた悪意が頻繁に耳に入るようになる。
 同時に、心の底にあった欲望、嫉妬、殺意が徐々にあらわになり、人間関係がギクシャクしていく。
 遂には、病人や死人まで出るのだが、この屋敷の秘密とは…?」

・「人形が見ている」(「サスペリア」1987年8月1日号掲載)
「誕生日に、奈緒は、親友の佐夜から、アンティークな少年の人形をもらう。
 この人形は、佐夜の父親が中近東かタイで買って来たものらしく、少女の人形とペアになっているという。
 奈緒はこのプレゼントに大喜びするが、以来、彼女の身辺ではおかしなことが続発。
 そのせいで、想いを寄せる沢田と距離ができてしまう。
 奈緒の母親は、少年の人形のせいではないかと疑うが、奈緒は信じられない。
 信じられないが、常に人形に見つめられている印象はぬぐえない…」

 「人形が見ている」は「人形もの」の隠れた佳作ではないでしょうか。
 気持ちの悪い話です。

2019年11月10日 ページ作成・執筆

秋田書店・リストに戻る

メインページに戻る