広永マキ「ミイラ伝説 死霊の村」(1987年9月15日初版発行)
「三日月町は、即身仏の伝説があった。
昔、山びこ村と呼ばれていた頃、村が旱魃に襲われる。
農民のために、蓮行上人という坊様が即身仏となり、絶命してほどなくして、雨が降り始めたと言う。
だが、その時には村人の半数以上は死に絶え、村を救うに至らず、山びこ村は壊滅してしまったのであった。
そして、現代、三日月中学の野鳥研究会は、レジャーランド予定地を開発から守るために、蓮行上人の即身仏を探す。
野鳥研究会の中で一人、柊まどかは、形見の狭い思いをする。
何故なら、彼女の父親、柊松造は町の開発を推し進める市長で、次の市長選では公約としてレジャーランドの建設を強く訴えていた。
今の柊市長に反対して、自然保護を訴える候補もいたが、まどかにとっては、どちらも自分の主張を押し付けているだけでしかない。
怨念のこもる土地であれば、浄化しなければ、町の人のためにならないと、彼女は、野鳥研究会が即身仏探しをやめた後も、探索を続ける。
ある日、急な雷雨に襲われ、退避した洞窟の奥で何者かに襲われる。
後、彼女を探しに来た人々によって、気絶したまどかと蓮行上人の即身仏が発見される。
即身仏の発見と、柊家が過去、山びこ村の庄屋だったことを関連付けて、柊松造は市長選に勝利。
その一方で、まどかは原因不明の病気にかかる。
彼女は、絶えず水と食料を欲しがり、尋常でない食欲を見せるが、徐々に痩せ衰えていく。
即身仏の怨霊に憑りつかれた、まどかの運命は…?
そして、柊家の子孫と蓮行上人の関係とは…?」
エジプトのミイラと較べると、日本の即身仏はやっぱ、地味です。
ぶっちゃけ、骨と皮ばかりですから、見た目から脆そうです。
んで、この作品の即身仏ですが、見た目も地味なら、崇り方も地味です。
そういうところ「地味」なところばかり気になってしまう作品です。
ちなみに、最初に出てくる「即身仏のなり方」(pp12〜15)は非常に勉強になります。
・備考
カバーに痛みあり。
2018年10月9日 ページ作成・執筆