ひよどり祥子「死人の声をきくがよいA」(2013年7月20日初版発行)

 岸田純は霊視能力を持つ、虚弱な高校生。(鼻血は怪異の予兆。)
 彼のそばには幼なじみで非業の死を遂げた早川涼子の霊が常に寄り添っていた。(意思疎通は常に身振り手振り。)
 二人(?)は様々な怪事件に巻き込まれるのだが…。

・「第7話 無邪気の幽霊」(「チャンピオンRED」2012年9月号)
「純と小泉は同級生の江口という女子生徒から相談を受ける。
 彼女の一家が格安の一戸建てに引っ越してから、おかしなことばかりが起きるという。
 純は彼女の家で外国人とのハーフらしい少年の霊を目にする。
 また、早川の霊に教えられるまま、屋根裏に登ると、そこには内側に十字架がたくさん書かれた長持があった。
 後日、霊能者が江口の家を訪ね、純と同様、外国人らしい少年がいると指摘するが、屋根裏を覗いた途端、腰を抜かし、すぐ家を出るよう警告して逃げ帰る。
 一方、純は江口の家の近くで三人の児童が行方不明になっていると小泉に調べてもらう。
 もっと詳しいことを知るため、江口は純を誘い、家の前の持ち主を訪ねる。
 前の持ち主の男性によると、何年も音信不通だった彼の娘が子連れで急に戻ってきて、その子の名は忠之といった。
 彼の娘は忠之を悪魔の子と言い、長持の中に閉じ込めていたが、その後、忠之は姿を消す。
 江口の家に出没するハーフの少年の正体は…?」

・「第8話 降神山にツチノコを追え!」(「チャンピオンRED」2012年10月号)
「オカルト研究会に二名の新入部員(前話の江口と稗田礼二郎っぽい日枝)が加わり、降神(うらかみ)山に一泊二日のキャンプに出かける。(ちなみに、純は補欠部員。)
 降神山は「ツチコノの里」として知られ、キャンプした翌朝、彼らは大猿岩までツチノコを探しながらハイキングする。
 ルートは二つあり、純は式野との同行を強要させられ、小泉・日枝・江口は別ルートをとる。
 途中、純はツチノコを見つけ、式野は捕獲に成功。
 だが、すぐそばでは大猿の化け物が登山客の死体を引きずっていた。
 意識を取り戻すと、純と式野は真っ暗な洞窟に運び込まれていた。
 中は人間の頭蓋骨で溢れかえっており、瀕死の老人の姿もあった。
 老人によると、猿神祭を怠り、中参(猿の姿をした神)を祀らなかったのがいけなかったらしい。
 ひとまず、純と式野は洞窟から脱出しようとするが…」

・「第9話 人形遣い」(「チャンピオンRED」2012年11月号)
「純は体育の授業で骨折し、入院する。
 ある日、小泉が彼の見舞いに来る。
 同じ病院に小泉の妹も盲腸で入院しており、そのついでで顔を出したのであった。
 その頃、その病院の霊安室に看護士二人が忍び込む。
 昨夜、女性連続殺人事件の犯人が瀕死の状態でこの病院に運び込まれ、手術の甲斐なく、死んでいたのであった。
 看護婦が犯人の持っていた手作りの人形を手にすると…」

・「第10話 女優の秘密」(「チャンピオンRED」2012年12月号)
「魔子は「第六話」の事件以降、ダーク系アイドルの箔が付き過ぎて仕事が来なくなる。
 事務所は彼女に昭和の名女優として知られる原田節子の付き人の仕事を与える。
 付き人と言っても、役目は話し相手をするぐらいであった。
 また、原田節子は年の割りに非常に美しく、性格もとても穏やかで、魔子は仕事に全く不満はない。
 ただ、魔子は原田節子の家が邪悪な闇に包まれているように感じ、純に助けを求める。
 純は彼女の兄として原田邸に潜り込むが、その夜、純は魔子と同じ寝室で休んでいると、魔子が彼の首に噛みつこうとする。
 慌てて灯りをつけると、魔子は両目を手で押さえてひっくり返る。
 彼女は何かに憑依されていたらしく、しきりに気持ち悪がり、純が彼女を介抱していると、早川が彼を招く。
 案内された場所は地下室で、そこは砂がたくさん貯蔵されており、砂に純が鼻血を垂らすと、化学反応のような音を立てる。
 この砂の正体は…?」

・「第11話 グーラの函」(「チャンピオンRED」2013年2月号)
「海外在住の純の父親から純に誕生日プレゼントが贈られてくる。
 それはエキゾチックな模様の刻まれた小箱であった。
 早川は手に触れないよう警告するが、純はうっかり箱に鼻血を垂らしてしまう。
 その夜、彼の夢に早川が現れ、奇妙な文字の書かれた書類にサインするよう促す。
 契約が成立すれば、彼女は彼の力になると言い、彼はサインしようとするも、早川が話すことを訝り、その瞬間、目を覚ます。
 以来、彼は無意識のうちに奇怪な行動をするようになる。
 体育の柔道で相手に噛みついたり、見知らぬ人の葬式で老人の死体の前でよだれを垂らしたり、夜には気が付くと、めった刺しにされた女性のそばに血まみれで立っていた。
 彼は箱が元凶と感じ、海外の父親と連絡を取ろうとするのだが…。
 この箱の秘密とは…?」

・「第12話 白い手」(「チャンピオンRED」2013年3月号)
「ある日、純はファミリーレストランに呼び出され、担任の門倉先生から相談を受ける。
 まず、門倉は婚約者とのツーショット写真を純に見せるが、門倉の方に何者かの右手が乗っていた。
 その写真を撮って以来、門倉の周囲では異変が相次ぐが、そのどれも謎の右手が関係している。
 話の最中、離れた席にいた女性が二人のもとにやって来る。
 女性の名は永子で、門倉の元・恋人で、彼と別れた後、事故で右手を失っていた。
 しかし、彼女は右手は彼女のもとに戻って来たと話す。
 しかも、右手は彼のことを諦めきれてないというのだが…」

・「第13話 雪の日の記憶」(「チャンピオンRED」2013年7月号)
「約一年前、西沢という男子生徒が焼身自殺を図る。
 その近くには早川涼子へ宛てた手紙があり、彼の自殺はストーキングの果ての当てつけ自殺であった。
 そのニュースを知った日の下校途中、早川は奇妙な男につきまとわれる。
 逃げた先で彼女は純と出会うが、二人は先ほどの男が歩道橋から転落死するのを目にする。
 純が彼女を家に送ると、早川の母親が家に乱入してきた男に刺されたと大騒ぎになっていた。
 二人は病院に向かうが、その病院には早川を呼ぶ者がおり…」

 個人的には、「病院内大虐殺」な「人形遣い」が好みです。(注1)
 「病院」ときたら「注射」、「注射」ときたら「眼球」…という「ゾンゲリアの法則」に則っていてくれて嬉しく思います。

・注1
 この単行本の「雪の日の記憶」でも病院で人が死ぬし、「闇夜に遊ぶな子供たち」でも病院で人が死にまくるし、ひよどり祥子先生はどうやら病院がお好きな様子。

2025年8月8・9日 ページ作成・執筆

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