ひよどり祥子「死人の声をきくがよいC」(2014年7月30日初版発行)

 岸田純は霊視能力を持つ、虚弱な高校生。(鼻血は怪異の予兆。)
 彼のそばには幼なじみで非業の死を遂げた早川涼子の霊が常に寄り添っていた。(意思疎通は常に身振り手振り。)
 二人(?)は様々な怪事件に巻き込まれるのだが…。

・「第21話 第1回オカルト体験発表会」(「チャンピオンRED」2014年1月号)
「岸田純は町中で奇妙な紋様の謎の生物(ウミウシっぽい?)を目にする。
 これは彼にしか視えておらず、早川涼子が怯えている様子からして、良い存在ではなさそうであった。
 その日以来、その生物は町のあちらこちらで見かけるようになり、純を含めた多くの人が体調不良に陥る。
 数日後、純が登校しようとすると、町のあちこちに段ボールが積み上げてある。
 宅配便の作業員がその箱をトラックに積み込んでいるが、その中身はあの生物であった。
 純は作業員たちに捕まり…」

・「第22話 マーダー・マンション」(「チャンピオンRED」2014年2月号)
「ダーク系アイドル、魔子があるマンションに引っ越した矢先に殺人事件が起きる。
 被害者の青年は後頭部をハンマーで殴られ、遺体からは眼球・舌・内臓の一部が抜き取られていた。
 純は魔子に頼まれ、犯人捜しに協力することとなる。
 マンションで殺人事件に一番関わりが深いのが魔子の上階に住む高山老人。
 彼はヨボヨボで車椅子の身であったが、八年前の殺人事件の被疑者で、その殺人事件でも被害者から眼球・舌が切り取られていた。
 魔子と会った後、純は帰ろうとするが、魔子の部屋に財布を忘れてきたことに気付く。
 彼が魔子の部屋に戻ると、早川が現れ、彼を手招きする。
 彼女が案内したのは高山の部屋で、その中では…」

・「第23話 ヘバロの戦士像」(「チャンピオンRED」2014年3月号)
「父親から純の誕生日祝いに奇妙な戦士像が届く。
 害はなさそうではあったが、知らぬ間に勝手に移動したり、家に忍び込んだ空き巣が刺されたりと奇妙な出来事が起きるようになる。
 ある夜、純の夢に「グーラ」が現れる。
 グーラはあの像は「ヘバロの戦士像」といい、独自の呪術体系を持つポリネシアの部族が作ったものだと話す。
 その像には持ち主を守護する戦士の魂が封じ込められているのだが、純とグーラの存在に共鳴して暴走しつつあり…」

・「第24話 おかえりさんの島」(「チャンピオンRED」2014年4月号)
「小学四年の夏休み、純は尾岐島に遊びに行く。
 尾岐島には早川涼子の親戚である大浦サキが住んでいた。
 大浦サキの両親は優しく、この島で遊ぶのは楽しかったが、ただ、ぼんやりした人がいるのが気になる。
 島ではこういう人を「おかえりさん」と呼び、海岸の神社は「おかえりさんの穴」と呼ばれていた。
 その日の夜、サキが溺死体で発見される。
 サキの両親は彼女の死体を「おかえりさんの穴」へと運び入れる。
 そして、明方、純が水音に目を覚ますと…」

・「第25話 死人の通る道」(「チャンピオンRED」2014年5月号)
「純は現・テニス部の江口に頼まれ、同じテニス部の宮下の家を訪れる。
 彼の家は幽霊が頻繁に目撃され、宮下の両親は家に決して寄り着こうとはしなかった。
 純も実際、幽霊が台所の壁に消えるところを視て、また、早川はその壁に吸い込まれそうになる。
 翌日、オカルト研究会のメンバーにその話をしたところ、日枝は家の中に霊道が通っているのではないかと推測する。
 後日、純はオカルト研究会を伴って、宮下の屋敷の調査をする。
 霊道はあるにはあるが、安定していないようで…」

・「第26話 インタビュー・ウィズ・霊道人間」(「チャンピオンRED」2014年6月号)
「宮下は『霊道人間』となり、心を病んで入院する。
 その一か月後、宮下は病院を脱走。
 純・日枝・式野の三人は宮下の屋敷を訪れ、彼の体験を記録しようとするのだが…」

・「第27話 頭の中の黄泉比良坂」(「チャンピオンRED」2014年7月号)
「純・日枝・式野は宮下により霊道の先の世界に飛ばされる。
 そこは白い霧の立ち込める薄暗闇で、餓鬼の群れが跋扈していた。
 純たちは死者たちの行列を見つけ、その逆を辿るのだが…。
 一方、宮下は江口を地下室に監禁し、自分の想いを伝えていた。
 そこに早川の霊が現われ…」

・「ユミちゃん奇譚」(「チャンピオンRED」2011年5月号)
「ノリ子の家族は父子家庭。
 姉のエツ子は結婚したものの、流産を機に引きこもりになり、夫は家を出ていってしまう。
 半年後、エツ子は突如外出し、ユミという女の子を連れて帰ってくる。
 ユミは彼女の友達の高木の娘で、急に預かることになったという。
 ユミが家に来てから、エツ子は笑顔を徐々に取り戻していく。
 しかし、同時に幼児化が進行し、それにリストラされた父親も加わる。
 ノリ子はユミに異常なものを感じ、高木の家がある西青葉町を訪れるのだが…」

 「霊界探訪」を描いた「死人が通る道」「インタビュー・ウィズ・霊道人間」「頭の中の黄泉比良坂」の三部作はズバリ、傑作だと思います。
 オカルトをベースにしつつも、頭の中を霊道が通る「霊道人間」という奇想を捻じ込み、霊界でのサバイバルに発展するこの作品…ほとほとヘンなんだけど、何度読んでも楽しい。
 日枝が良い味、出してるんだ!!

2025年8月14・15日 ページ作成・執筆

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