国東利夢「霊撃!超BOYS」(1996年3月20日第1刷発行)

 粋神(とどめ)孝明は、県立陵山高校に通う、病院長の息子。
 彼には相手に抱き着き、憑依霊を浄霊する(成仏させる)という霊能力があった。
 一方、寿柳太は、市立蓮池学園高等部に通う、葬儀社の息子。
 彼には除霊能力(強制的にあの世送り)があり、葬儀屋と共に、拝み屋もやっていた。
 この凸凹コンビに持ち込まれる相談事とは…。

・「驚異の御霊前」(「ハロウィン」1994年12月号)
「寿柳太のもとに「最終葬儀」の依頼が舞い込む。
 依頼は相生学園高等部二年の河崎さよりという少女からで、三年前に亡くなった弟の大介を成仏させてほしいという。
 河崎大介は、中学一年生の時にクラスメート達からいじめを受け、教室で首を切って自殺していた。
 確認のため、その中学校の教室を訪れると、彼の席だったところに、彼の霊がたたずんでいる。
 さよりの希望もあり、最終葬儀の場所はこの教室にして、いじめの主犯格だった五人を呼び出す。
 さよりは彼らに謝罪するよう頼むのだが…」

・「驚異の二重葬」(「ハロウィン」1995年5月号)
「寿柳太に、温木(あつぎ)杏子という少女から電話がかかってくる。
 彼女の相談は霊障に関するものであった。
 祖父の四十九日の後、一家は街外れの住宅地の一軒家に引っ越す。
 だが、引っ越した当日から彼女の部屋に祖父の霊が現れ、両親や姉は自堕落になり、いがみ合うようになる。
 そして、両親と姉は次々と倒れ、昏睡状態となっていたのであった。
 実際、一家は祟られても仕方がなく、祖父が生きていた頃、母親と姉は祖父を邪魔者扱いし、父親はそれを無視、おじいちゃんっ子だった彼女も受験を理由に病気の祖父の見舞いに行くことはなかった。
 彼女の話を聞いた後、三人は彼女の家を訪れる。
 家は殺風景な住宅地の真ん中に建っていて、その土地は霊が全くおらず、異質な空間であった。
 彼女の部屋に上がると、祖父の霊がいるが、微弱で、話しかけても、何かに全集中しており、耳を貸す気配がない。
 仕方なく、柳太は祖父の霊を自縛地点から除霊し、位牌に閉じ込める。
 だが、祖父の霊を除霊した所から…」

・「極限デッドナイト」(「ハロウィン」1995年6月号)
「今回の依頼人は一条悠里(16歳/♂のヤンキー)。
 彼が慕っている、近所の女子大生、藤代あすかが交通事故にあう。
 どうにか峠を越え、普通病室に移るが、一ヶ月経っても、寝たきりで、口もきけないまま、憔悴していく。
 また、彼が喧嘩の怪我で入院した夜、彼女の病室で、見知らぬ女が彼女に馬乗りになっているのを目にする。
 その時、あすかが助けを求めているのを彼は感じ、霊能者に相談したのであった。
 彼の話を聞いた後、三人は霊安室に身を潜め、夜中に、彼女の病室を訪れる。
 悠里の話通り、そこには女の霊がいて、あすかの身体を奪おうとしていた。
 柳太は女の霊を除霊するのだが、何故かすぐに再生してしまい…」

・「驚愕の素人呪法」(「ハロウィン」1995年7月号)
「寿柳太が修学旅行先のハワイから帰ってくると、家に少女の霊が連日、現れていた。
 少女は、彼が修学旅行中に葬儀をしており、お葬式の日以来、夕方になるとやって来るという。
 柳太は、少女の霊をミカちゃん人形に入れ、孝明に見せる。
 少女の霊は片岡真美子と名乗り、このままでは取り込まれてしまう、と何度も言って、消えてしまう。
 霊の背後には、黒い影があり、どうもそれに引っ張られたらしい。
 詳しいことを探るため、二人は片岡真美子の家を訪問し、仏壇を調べる。
 仏壇の周囲には誰かが念を込めたあとがあり、特に、骨壺あたりが強かった。
 その念は、あの黒い影と似ており、柳太はその影と似た気配を持つ人物を思い出す。
 片岡真美子の霊に起こったこととは…?」

 知名度は全くないようですが、なかなか楽しく読めました。
 粋神孝明と寿柳太のやり取りが愉快で、特に、「極限デッドナイト」のヤンキー少年、一条悠里との三人の絡みは面白いです。
 二人の過去や、孝明が想いを寄せる流山あかりとの関係等、いろいろと気になりますが、「ハロウィン」のゴタゴタ(1996年に休刊)のため、四話で終わってしまった模様です。
 う〜ん、残念…。

2021年11月22日 ページ作成・執筆

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