御茶漬海苔「クルクル」
(1990年1月20日初版・3月10日3版発行)

 収録作品

・「クルクル」(「月刊ハロウィン」1988年9月号〜1989年1月号)
「美花は、小説家のパパと二人暮らし。
 夏休みのある日、彼女は、車に轢かれた動物を家に持ち帰り、手当てをする。
 それは、犬に似た、変わった生物で、どんどん回復。
 美花は泣き声から「クルクル」と名付け、家で飼うことにする。
 だが、クルクルには秘密があった。
 美花に危機(女子中学生を襲う殺人鬼や、美花の心臓を狙う、謎の少女)が迫った時、クルクルはその正体を明かす…」

・「クルクルの一日」(描き下ろし)
 御茶漬海苔先生が紹介する、クルクルの一日。
 クルクルはなかなか気がききます。

・「八本の指」(1988年「月刊ハロウィン」増刊)
「予備校に通う、五人の子供達が、下校途中の女子生徒を襲う。
 彼らは少女の両手両足をガムテープで締め、両手を親指をカッターで切断。
 だが、少女の抵抗にあい、リーダー格の少年の顔を見られてしまう。
 リーダー格の少年は少女を殺そうとするが、少女に逃げられてしまう。
 彼らは彼女の部屋に侵入するのだが…」

 「クルクル」は面白いのに、気になるところが幾つかあって、残念に思います。
 個人的に、気になって仕方がないのは「クルクルが殺人犯に吠えているのに、その殺人犯がいつの間にか美花の背後にいるシーン」(pp36・37)。これは何回、チェックしても、意味がわかりません。
 また、「ゆかり編」のラストにも、ズッコケちゃうシーンがあります。
 この作品の連載時には、御茶漬海苔先生に余裕がなかったのでは?という印象を受けました。(実際のところは、わかりません。)
 併録作品の「八本の指」は問題のある内容です。
 暴力そのもののみが描かれ、殺伐とした余韻しか残しません。
 徹底して「理由」が明かされないのも、ドライです。
 雑誌版に加筆されたもので、ラストが異なりますが、単行本版の方がより余韻が残ると思います。
 「クルクル」は、併録作品を「コメット」に替えて、ぶんか社からも単行本が出されております。

・備考
 背表紙色褪せ。

2020年3月13日 ページ作成・執筆
2020年5月13日 加筆訂正

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