三原千恵利「魔の刻通り」(1991年9月20日初版発行)

 収録作品

・「魔の刻通り」(1988年「ハロウィン」別冊「殺人事件」)
「女子高生の天野弥生(16歳)はクラブで帰宅が遅くなる。
 弥生の家は新興住宅地にあり、駅からニ十分かかるだけでなく、人家もまばらであった。
 しかも、一か月前には帰宅途中の女子高生が惨殺されて、空き地に死体が捨てられる事件が起きていた。
 彼女の家に泊まるはずだった友人がドタキャンし、両親は仕事で家を空け、こんなところにはタクシーも通りかからない。
 弥生は同じく帰宅途中の女性に付いていくものの、途中から別の方向になり、結局、夜道を一人で行くこととなる。
 少女の殺害現場の空き地を通り過ぎたあたりで、彼女のそばを車が通りがかり、運転手の男性が駅への道を尋ねる。
 男は駅まで案内してくれるよう頼み、弥生は断るも、彼は執拗で…」

・「午後の殺人者」(1989年「ハロウィン」別冊「殺人事件」)
「市川秀美は友人宅からの帰りにバスを利用する。
 駅前で降りるよう釘を刺されていたにもかかわらず、バス内で彼女は居眠りしてしまい、気が付くと、場所がどこだかさっぱりわからない。
 車内は乗客は若い男性一人だけで、秀美は彼に駅前について聞くと、とっくに通り過ぎていた。
 すると、男は彼女のすぐ後ろの席に移動し、彼女のことをあれこれ尋ねてくる。
 無視していると、彼はこの町内に住んでいる中野美子という少女を彼に冷たくしたという理由で殺したと話し始める。
 秀美はバスを止め、降りるが、土地勘がないため、どこに行ったらいいのかわからない。
 しかも、バスの若い男も降りて、彼女の後をつけてくる…」

・「映画館にて」(1989年「ハロウィン」増刊「ミステリーハロウィン」)
「清美は地下鉄の駅でトイレに行く。
 だが、妙に人気がない上に、トイレの先客がさっと姿を隠したことから、結局、行かずに引き返す。
 その先客は赤いスカートに赤い靴を履いていた。
 清美は待ち合わせていた友人と映画に行くが、途中、トイレに行きたくなり…」

・「拾った恐怖」(1989年「ハロウィン」増刊「ミステリーハロウィン」)
「工藤真澄は学校帰り、予備校に行く前に家に電話をかける。
 すると、公衆電話の下に折り畳まれた一万円札があった。
 この一万円札には「野口恵子 17歳」と書かれてあり、訝りながらも、彼女はその一万円札を予備校に持って行く。
 予備校の帰りに警察に届けようとするものの、言いそびれ、結局、そのお金で好きなアーティストのCDを買ってしまう。
 そこに若い男性が彼女に一万円札を拾ったねと話しかけてくる。
 あのお金は彼のもので、彼女が家からお金を持ってくると謝ると、彼女の家まで行くと男は言う。
 家に向かう途中、男はお金は返さなくてもいいと話す。
 彼が彼女にあげたかったものとは…?」

・「殺人鬼は夜に招く」(1989年「ハロウィン」増刊「純愛ハロウィン」)
「元・不良の裕子は友人の友子を近所の公園で殺される。
 犯人は連続殺人犯で、そいつを捕まえるため、裕子は夜の公園をさまよう。
 彼女に想いを寄せる田島は彼女を見守るが、彼女は彼の好意を撥ねつける。
 それでも、彼は彼女の夜歩きに辛抱強く付き合う。
 ある夜、彼はライトを付けていない車に気付くのだが…」

・「狂気の追跡」(1991年増刊「ハロウィン」EX「ダークムーン」)
「星野姫子は登校途中、駅の階段で何者かに突き飛ばされ、捻挫する。
 そこで出会ったのが「心霊探偵」を名乗る白滝誠という青年であった。
 彼は彼女に死相が出てると警告し、彼女は相手にしなかったが、学校に着くと、刑事から聴取を受ける。
 同じ中学校出身で、先日クラス会で会った森下広美と佐伯香が何者かに惨殺されたのであった。
 放課後、彼女は名刺にあった心霊探偵のもとに向かおうとするが、電車内でサングラスをかけた男に背中に刃物を突き付けられる。
 隙を見て逃げ出し、彼女は心霊探偵の事務所を訪れる。
 だが、そこにはサングラスの男がいて、白滝誠と人殺しの話をしていた。
 姫子は彼らが連続殺人犯だと思い、その場から逃げるのだが…」

 殺人事件をテーマにしたミステリーを集めた単行本です。
 短編なので仕方がないのかもしれませんが、個人的には、ミステリーと呼ぶには幾分捻りが足りないように思いました。(特に「映画館にて」)
 「狂気の追跡」には霊感探偵コンビが登場しますが、彼らが出てくる作品は他にもあるのでしょうか?
 少し気になってます。

2024年4月18日・5月13日 ページ作成・執筆

朝日ソノラマ・リストに戻る

メインページに戻る