まつざきあけみ「真夜中の子供」(1991年8月20日初版発行)
収録作品
・「真夜中の子供」(1989年「フィール」)
「奈津子は会社の部長と不倫関係にあった。
部長には妻がいたが、長い間、病気で臥しており、彼女の死後、二人は結婚する。
部長には亜子という女の子がおり、亜子は奈津子によく懐く。
しかし、近所では良くない噂を立てられ、また、家には、亡くなった妻の遺言で、彼女の肖像写真が飾られていた。
ある日、奈津子は自分の妊娠を知る。
彼女は高校の時に子宮筋腫の手術をしており、子供のできにくい体質であった。
しかし、夫が子供を歓迎するかどうかに自信がなく、更に、妊娠した時に、胎児に悪影響があると言われる風邪薬を飲んでいた。
彼女が子供を堕ろそうと決心するも、その度に、ひどい頭痛に襲われる。
更に、彼女の周囲に前妻の幽霊らしきものが現れ、トラブルに度々見舞われるようになる…」
・「悪魔のような女」(1988年「フィール」)
「洋と京子は若い夫婦。
二人はある夜、道路の真ん中で倒れている女性を助ける。
彼女の名は美奈子といい、非常に美しい娘であった。
彼女は前は立派なお邸で住み込みの家政婦として働いていたが、弁護士の主人と不倫関係になる。
しかし、それを妻に知られ、お邸をとび出した時に、洋と京子に出会ったのであった。
京子は美奈子を家政婦として雇い入れると、何もかも水準以上の働きぶりを見せる。
家のことは何から何まで取り仕切り、ご近所からの評判も非常によい。
だが、次第に美奈子の女房気取りが鼻につくようになる。
京子は二人の仲を嫉妬し、遂に洋と喧嘩になるのだが…。
美奈子の本性とは…?」
・「シンデレラの罠」(1989年「フィール」)
「ジュリーは三歳の頃から孤児院暮らし。
でも、19歳の頃、豪壮なお邸や品の良い老婆のことをふっと思い出すようになる。
そんなある日、彼女はリシュリュー家の娘、アデレインであることが明らかとなる。
当時三歳の彼女は両親と旅行中、車が海に落ち、両親は死亡、彼女は行方不明となっていた。
いとこのエリーに連れられて、リシュリュー家を訪ねると、どれもこれも見覚えのあるものばかり。
しかも、ジュリーはリシュリュー家の全財産の相続人に祖母から指定されていた。
その夜、祖母がバルコニーから転落死する。
そして、財産を狙うおじ達が次々と変死。
ジュリーは自分が夢遊病なのではないかと疑い始めるのだが…」
・「黒い花」(1989年「フィール」)
「OLの飛鳥は花を見ていると、その色が真っ黒になっていく。
幼い時にそんな黒い花を見たことがあるが、そのことを思い出そうとしても、頭の中に靄がかかってしまう。
彼女は会社の尾崎潮と半年間、付き合っていた。
彼は彼女の母親に挨拶したいと望むが、彼女は母親に潮のことを話せない。
何故なら、母親は飛鳥が小さい頃から男を愛してはならないと命じ、結婚など絶対に許すはずがなかった。
だが、二人の仲を母親が知るところとなる。
飛鳥は彼と結婚すると主張するも、母親は、もしも結婚すれば、自分は死ぬと頑なであった。
「黒い花」に秘められた忌まわしい過去の秘密とは…?」
遺産相続を巡る殺人事件を描いた「シンデレラの罠」が一番出来が良いように思います。
ただし、「※※※※※※映像(ネタバレ防止のため伏字)」が扱われており、実際に作中のようなことは可能なのか?という疑問が残ります。
「黒い花」は激ヤバな内容ですが、あまりにアレ過ぎて、説得力に乏しいように思います。
2023年5月27日 ページ作成・執筆