伊藤潤二「富江 Again」(2001年3月30日第1刷発行)

・「第1話 少年」
「サトルは海辺の家に住む少年。  ある日、彼が岩場を歩いていると、真っ赤な水溜まりが目に入る。
 それは血溜まりで、中には傷だらけの女性が浮かんでいた。
 死体かと思いきや、女性は生きており、富江と名乗る彼女はサトルにキスをしようと誘う。
 以来、サトルは毎日、岩場を訪れ、富江に服や食料を与え、その見返りにキスをしてもらう。
 両親はサトルの様子がおかしいのに気づき、遂に、母親はサトルと富江がキスしているところを目撃する。
 両親はサトルに富江と会うことを禁ずるが、サトルは富江をママだと訴えるようになり…」

・「第2話 もろみ」
「石塚は富江を愛するあまり、殺した後、ミンチにする。
 その後、彼は富江の元・彼氏だった長岡を呼び出し、相談をする。
 実は、富江をミンチにした肉が増殖しているのであった。
 長岡の実家は造り酒屋で、石塚と長岡は酒を発酵させるタンクに富江の挽肉をぶち込み、かき混ぜる。
 そのうちに、富江の肉は酒を混じり合い、得も言われぬ芳醇な香りを発し始める。
 長岡の両親や酒屋の従業員も加わり、彼らは富江の肉から酒を造るのだが…」

・「第3話 ベビーシッター」
「衿田という娘がある家にベビーシッターに行く。
 だが、その家の夫妻の赤ん坊のマリナは心臓に女の顔が生えたような奇形であった。
 しかも、衿田はマリナと共に一室に監禁され、夫婦は毎夜、外出する。
 マリナは「赤いもの」が大好きで、夜、窓から火事の赤い炎を見せればご機嫌であった。
 しかし、夫婦が放火で捕まり、衿田とマリナは部屋に閉じ込められたままに…」

・「第4話 ある集団」
「梅原は最愛の恋人、尚子を病気で亡くし、悲しみに暮れる。
 だが、いつまでも悲しんでばかりいられず、立ち直ろうとした時、友人の宮川から集会に誘われる。
 その集会には若い男が大勢集まり、富江という美しい少女をただひたすら崇拝していた。
 富江は宮川から梅原を紹介されると、すぐに彼を誘惑するが、梅原は彼女を拒否して帰宅する。
 しかし、梅原は富江を崇拝する連中に拉致され、富江の部屋に監禁される…」

・「第5話 通り魔」
「中村保子とアヤカは姉妹であったが、小学三年生のアヤカは既に小悪魔的美少女であった。
 アヤカは両親のどちらとも似ておらず、一歳を過ぎた時から急に変わったらしい。
 ある日、保子は友人から金城という屋敷に案内される。
 そこの娘はアヤカそっくりで、美しさだけでなく、性格も悪いのも一緒。
 しかも、町内に同じような娘があと二、三人いるという。
 帰宅後、保子が母親にこれについて話すと、母親はアヤカが赤ん坊の頃の事件を思い出す。
 それは不審な男が赤ん坊に血のようなものを注射した事件で、アヤカや金城の娘を含めた数人の女児が被害に遭っていた。
 そして、その少女たちはお互いを憎悪し、男を操り相手を殺そうともくろむ…」

・「第6話 トップモデル」
「小泉リョウはトップクラスの男性モデル。
 ある日、彼はカメラマンからある女性がなかなかモデルになってくれないとの話を聞く。
 リョウは自分が口説き落とそうとその女性に会う約束を取り付けるが、その女性は息を呑むような美しさであった。
 彼は彼女に一目惚れし、何度も彼女を誘うも、彼女は彼のことなど歯牙にもかけない。
 しかも、彼女は彼のプライドをズタズタにし、逆上した彼は彼女を侮辱する。
 数日後に夜、リョウは見知らぬ男に顔を刃物で切りつけられ、モデルとしての生命が終わる。
 復讐のため、リョウは彼女を自分の部屋にさらい、彼女から美貌を奪おうとするのだが…」

・「第7話 老醜」
「この町では中村アヤカ、金城美穂、大山舞のそっくりな美少女たちが他の二人を抹殺しようとしていた。
 中村保子は謎の男と協力し、妹のアヤカを守るため、辛酸を嘗める。
 ようやくライバルたちを消し、姉妹は金城邸へと移るが、成長した彼女は男と付き合うようになる。
 男と付き合えばアヤカは殺される恐れがあり、保子と謎の男は屋敷にアヤカを監禁しようとするが…。
 二人の目的とは…?」
(「ネムキ」1999年11月号(vol.52)〜2000年11月号(vol.58))

 伊藤潤二先生の代表作「富江」シリーズの一冊です。
 「伊藤潤二・恐怖マンガCollection」の「富江シリーズ」としては三冊目なのですが、タイトルが「富江 Again 富江Part3」と続編なのか三作目なのかよくわからないところがご愛嬌。(注1)
 んで、内容に関してですが、やっぱり、奇想炸裂でへんちくりんな話だらけです!!
 話によっては、「ホラー」を飛び越して、何と形容したらいいかさっぱりわからない次元に達しており、伊藤潤二先生の豪腕を堪能することができます。
 個人的ベストは何と言っても「もろみ」。
 今まで無数のマンガが描かれてはおりますが、読むだけで悪酔いしそうな作品って、これだけではないでしょうか?
 また、連作の「通り魔」「トップモデル」「老醜」もアナーキー過ぎる展開で頭がくらくらしてきます。
 ラストの手書きの「ひゅううううううう」、味わい深いです…。

・注1
 サイケデリック・ロック・ファンの間では有名な「THE WEST COAST POP ART EXPERIMENTAL BAND」みたいですね。

2026年5月22日 ページ作成・執筆

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