阿刀田高「ブラック・ユーモア入門」(1969年7月15日初版・1977年7月1日53版発行)
・「CHAPTER-1 身近なミステリー 平凡な毎日からの脱出」
・「CHAPTER-2 食卓を囲んで… 食前三十分の効用」
・「CHAPTER-3 殺しのテクニック これだけは知っておこう!」
・「CHAPTER-4 ショックなY談 色と恐怖の二本立て」
・「CHAPTER-5 皮肉な会話 日頃の鬱憤を晴らそう」
・「CHAPTER-6 運命をひらく 反抗的人間のすすめ」
・「CHAPTER-7 死人のドラマ アッ!と驚く話の数々」
・「CHAPTER-8 「コワイ」贈り物 オー!モーレツ」
・「CHAPTER-9 妖怪専科 イヤな世間を忘れる時間」
・「CHAPTER-10 黒いユーモアの名作 学のあるところをチラリ」
日本の怪奇マンガは江戸川乱歩、横溝正史、筒井康隆といった大御所から多大な影響を受けておりますが、阿刀田高先生もかなりの影響力があったのではないでしょうか?(注1)
この本は当時のベストセラー(注2)で、前袖では故・野坂昭如が「ブラック・ユーモアの天才現わる」と賛辞を述べております。
藤子不二雄A先生なんか、早川書房の異色作家短篇集が好きだったようですから、読んでいたかもしれません。
とは言え、半世紀以上も前の本ですから、現在では当時ほどの衝撃は感じられないでしょう。
でも、個人的には、「CHAPTER-2 食卓を囲んで…」は悪趣味が炸裂していて、読み応えがありました。
「CHAPTER-8 「コワイ」贈り物」での「黒い海」は純文学寄りで、ムードたっぷりな佳編だと思います。
あと、この本でイラストを担当しているのは、この手の本の大常連である故・楢喜八先生(ならきはち・名義)と小泉ひで先生(妖怪専科のみイラスト。経歴不明のため、御存知の方はご教示いただけますと幸いです)で、楢喜八先生はやはり、いい仕事をしておられます。
また、所々、故・矢尾板賢吉の洒落た一コマ漫画(注3)が挿入され、これもかなり怪奇色が濃く、名品揃いです。
「ブラック・ユーモア入門」、名著と言っていいのではないでしょうか?
・注1
と言いましても、私、阿刀田高先生の作品、あまり読んだことがありません。
根が田舎者ですので、都会的なセンスに富んだ作風があまり肌に合わないのです。
・注2
wikipediaによると、阿刀田高先生はこの本のベストセラーに励まされ、文筆だけの生活に入ったそうな。
・注3
一コマ怪奇漫画は「漫画讀本」等、探せばたくさんあるようだが、積極的に採り上げたのは「傑作マンガ選 怖い話」(文春文庫)だけのような気がする。
日本では一コマ漫画が低く見られているように私は感じているが、「起承転結」のある四コマ漫画の方が受けがいいからなのだろうか?
余談だが、星新一「進化した猿たち」は海外の一コマ漫画を大量に紹介した本で、中学生の頃、もの凄い影響を受けた。
星新一一流の皮肉と風刺の効きまくったコメントも楽しく、エッセイとしても漫画研究書としても一級品だと私は思っている。