蘇部健一「木乃伊男」(2002年9月5日第1一刷発行)
「長野県、信州の山奥にある病院。
大学生の布部正男は幼い頃から心臓が弱く、夏休みにはこの病院で療養していた。
ある日、彼の隣のベッドに顔を包帯でグルグル巻きにした男がやって来る。
そして、彼の名は「木乃伊男」。
布部家には恐怖の「ミイラ男伝説」が伝わっており、正男は恐怖に慄く。
しかし、木乃伊男が顔に包帯を巻いているのは性病で顔が糜爛しているせいで、また、その名前も、身元を隠して入院したため、看護婦が遊んで付けたものであった。
木乃伊男は正男から「ミイラ男伝説」を聞くうちに、正男の兄の自殺事件が殺人だったと暴く。
だが、それが新たな恐怖の始まりであった。
木乃伊男の正体は…?」
タイトル通りの怪奇ミステリー小説です。
作者の蘇部健一先生はメフィスト賞作家でありますが、正直な所、評価は芳しくなく、この作品も「理屈としては一応、通るれど、どうも納得できない謎解き」が多く(特に、スナフが廃屋で姿を消したトリック)、評価としては凡作ではないでしょうか?
でも、私はこの作品が好きです。
と言うのも、江戸川乱歩のような時代錯誤な雰囲気があり、これまた、レトロなミイラ男が出没するというおどろおどろしさがたまりません!!
更に、この本は何故か里中満智子先生が本文イラストを担当しており、華麗なタッチの挿絵が本文に華(?)を添えます。(注1)
この時代がかった不穏な雰囲気と里中満智子先生のミイラ男のイラストの存在だけでも、このサイトで紹介する価値があると私は考えております。
・注1
里中満智子先生の描かれたキャラの中でも「スケベな看護婦」の白石さん、サイコー!!
スケベな方向に進まなかったのが、返す返すも残念です。