中村希明「怪談の科学 幽霊はなぜ現れる」(1988年7月20日第1刷・1994年6月24日第12刷発行)

・第一章 あなたにも幽霊は現れる【生理的幻覚1】
@幽霊は新しい乗物がお好き
A二人ぼっちの心理【孤立性幻覚と感覚遮断性幻覚)
B幻想の世界【民話・文学にみる感覚遮断性幻覚】
・第二章 極限状況が生む幻覚【生理的幻覚2】
@飢え
A集団と個人
B寒冷地獄と焦熱地獄
・第三章 幽霊はなぜ丑満刻に出るか【境界領域における幻覚】
@睡眠と幻覚
A薬物と幻覚
B異境の地と精神変調【旅の恐怖】
・第四章 精神変調時の幻覚【心因反応と幻聴】
@幻聴と錯視
Aハムレットの幻覚
・第五章 怪談の論理
@人はなぜ怪談を好むか【恐怖の論理】
A人はなぜ幻覚を見るか【幻覚の論理】
B幽霊お国柄【怪談の比較文化論】

 アルコール依存症の研究で知られる中村希明(なかむら・まれあき/1932〜2000)氏による名著(もとの本は1980年発行)。
 とりあえず、どんな怪奇現象も全て「幻覚」と断言しているが、長年、精神科医として勤めてきただけあって、どの説明も実に説得力がある。
 また、扱われている内容は文学・民話・ノンフィクション・映画と多岐にわたり、著者の幅広い教養も魅力。
 個人的には、「第五章 怪談の論理」が特に興味深かった。
 「@人はなぜ怪談を好むか」での「太古、怪談は教育であった」という論は示唆に富んでいると思う。
 また、「B幽霊お国柄」での「西洋の幽霊は世間体をせめる」という論や「上代の日本の幽霊は大らかであった」という論は、今はもっと怪談の研究が進んでいるので否定されるかもしれないが、この考え方には目からうろこが落ちる思いだった。
 約四十年前の本であるものの、ブルーバックスで出ているぐらいなので一般の方にも親しみやすく、ホラー好きは一度読んでみては如何?

 カバー絵・挿絵は何故か水木しげる先生、また、本文の挿絵は斎藤たけし先生が担当しております。
 妖怪が出てこないのに、何故、水木先生が引き受けたのかが謎ですが…。

・備考
 pp56・57、何かが挟まってくっついて剥げあり。p56、小切れ。

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