七色虹子「妖のビデオホラーシリーズ@ キラークイーン」
(1995年6月1日第1刷発行)

 黒崎妖は不思議な雰囲気を持つ女子高生。
 その可愛らしい外見とは裏腹に、彼女はスプラッター・ホラーの大ファン。
 彼女お勧めのビデオを観た者の運命は…?

・「キラークイーン」(1993年「ホラーM」Vol.3)
「飯島玲子は雑誌モデルで、ハデハデな女子高生。
 外見は良くても、性格の方は高慢きちで、自分が世界で一番美しいとでも考えているようであった。
 そんな彼女は同じクラスの黒咲妖をひそかにライバル視する。
 ある日、彼女がビデオレンタルに寄ると、妖と出会う。
 妖はここの常連で、イケメンの店員とも仲が良く、玲子は嫉妬心を煽られる。
 妖が借りようとしていたのは店のお勧めの「情報通にはおいしい企画もの」。
 玲子は奪うようにそのビデオを借り、帰宅後、早速観てみる。
 気が付くと、彼女は楽屋にいた。
 今や人気No.1の彼女はライバル達に様々な制裁を加えていくのが…」

・「悪夢で逢いましょう」(1993年「ホラーM」Vol.1)
「田沼美津子は黒咲妖の親友。
 ある日、美津子は妖からホラービデオを借りる。
 帰宅後、宿題を終え、風呂に入るには時間があるので、美津子はそのビデオを観てみる。
 内容はスプラッターものでついつい観ているうちに、親が風呂に入るよう声をかける。
 ちょうどその時、ビデオも終わり、美津子は入浴。
 だが、浴槽で彼女は化け物の幻想を見る。
 しかも、風呂から上がって、台所に行くと、冷蔵庫の中にはモンスター。
 しかも、両親の悲鳴が聞こえてきて…」

・「ダークドリーム」(1993年「ホラーM」Vol.2)
「小泉裕子の兄、敬介は特撮クラブの設立者。
 彼は大学に進学してからも、特撮の造形を作り続けていた。
 妹の裕子は兄の最大の理解者で、彼を尊敬し、コスチュームの着せ替えにも協力する。
 しかし、彼は自分の精神世界と外部世界との軋轢に苦しんでいた。
 妖は彼の「解放」を手伝うのだが…」

・「地獄迷宮」(1994年「ホラーM」Vol.4)
「美津子は妖からビデオを借りる。
 このビデオは「ストーリーに飛び込んぢゃう感じ」らしい。
 帰宅後、彼女がビデオを観ようとした時、友人のはるえから電話がある。
 はるえは近所まで来ているので、買い物に付き合ってほしいと美津子に頼む。
 駅ビルで待ち合わせをして、美津子は出かけるが、どうも町の様子がおかしい。
 見ると、人がゾンビになって、他の人を殺害していた。
 逃げる途中、美津子は青年と知り合い、この世界からの脱出を図るのだが…」

・「好奇心」(1994年「ホラーM」6月号)
「英子は好奇心が旺盛であったが、さすがに限度を越していた。
 彼女は他人のものを平気で覗き見し、人の話に平気で首を突っ込む。
 あまりの無神経さにクラスメートから無視されると、今度は校内の至る所に隠しカメラやテープを仕掛ける。
 これで他人の秘密を握りまくるが、クラスメート達の会話で自分が如何に嫌われていいるのか知り、激怒。
 腹いせに、彼女はビデオテープを職員室に送り付け、皆の不安を煽る。
 彼女が学校から帰宅すると、部屋にまだチェックしていないビデオテープがあった。
 彼女がそれを再生すると、映っていたのは…」

・「占いの証明」(1994年「ホラーM」7月号)
「観月は占いにとり憑かれていた。
 彼女は何でも占いをもとに行動し、また、判断するだけでなく、それを人に押し付ける。
 ある日、彼女は妖から「ビデオ方式」の個人占いについて聞かされる。
 帰宅すると、観月に荷物が届いていて、中には「あなただけの占い」とラベルの貼られたビデオが入っていた。
 ビデオを再生すると、このビデオは一か月分の占いが入っており、その日一日分を毎日観るようメッセージが流される。
 翌日、彼女はビデオの占いに従った行動をとると、全てがビデオの占いのように思える。
 しかし、彼女が帰宅すると…」

・「醜い顔 陰の顔」(1994年「ホラーM」9月号)
「佐竹文緒と黒咲妖は前の学校で友達同士であった。
 文緒はのっぽで貧相な体型に、そばかすだらけの地味な少女であったが、青星学園の制服に憧れて、入学する。
 しかし、青星学園は、将来芸能界に進むような才能のある少女達が多く通う所で、文緒はいじめを受ける。
 中でも、彼女につらく当たったのが、如月という女子生徒であった。
 彼女は自分でお金を貯めて、整形手術をした整形美人で、今の自信もプライドも過去の反動らしい。
 ある日、妖と文緒は再会し、喫茶店で話をする。
 妖は如月が文緒をいじめていることを知るが、文緒は 自分も整形して、自分を好きになりたいと呟く。
 妖は文緒の心の美しさを説くが、文緒は気弱にほほ笑むだけであった。
 文緒と別れた後、妖はビデオレンタルのアダルト・コーナーに行く。
 そして、手に取った一本のアダルト・ビデオ。
 これにはある女子生徒の醜い心が詰まっていた…」

・「やせた豚」(1994年「ホラーM」10月号)
「夏休みが終わり、二学期。
 丸美は夏休み中、ダイエットに励み、10キロ痩せたとドヤ顔。
 友人の由紀もダイエットで3キロ痩せたと話すのを言うが、由紀は丸美からすれば大して太っておらず、自分への当てつけと感じる。
 妖の提案で、丸美と由紀は文化祭の美人コンテストを目指すこととなるが、丸美は極端なダイエット法を再開。
 妖や由紀は健康を考えたダイエットを勧めるものの、丸美は相手が優越感に浸っているかのように思えて、反発する。
 そのうちに、彼女は拒食症になるが、頭の中は何でもいいから食べたいという欲求ばかり。
 ある日、妖が由紀に「食欲をなくす」ビデオを貸そうとしていた。
 丸美はそれを貸してくれるよう頼むが、さて、その内容は…」

・「ゲームオーバー」(1994年「ホラーM」12月号)
「妖は見知らぬ男子生徒からビデオテープを渡される。
 そのビデオテープにはウサギが虐待され、嬲り殺しにされる様子が映されていた。
 翌日、妖はその生徒が松江寿だと友人から教えられる。
 松江寿は親は金持ちで成績優秀であったが、陰では、女子生徒を妊娠させたり、裏でクスリを回したり、いじめで相手を失明させたりと好き放題していた。
 妖はビデオを寿に返すが、彼は彼女の澄ました顔が気に入らない。
 そこで、彼は、妊娠を苦に自殺した娘の死体を解剖して、赤ん坊を取り出す様子をビデオに収める。
 さすがに妖も怒り心頭で、彼に「もっと面白いビデオ」をお返しとしてプレゼントするのだが…」

 「ホラーM」で人気のあった「妖のビデオホラーシリーズ」。
 一巻ではまだ黒咲妖のキャラがあまり固まっていないようで、ストーリーよりも「スプラッター」を優先している印象があります。
 そのため、どうもスッキリしない話がちらほら…。
 特に、「ダークドリーム」「占いの証明」「やせた豚」は「そこまでしなくていいのに…」と読後感はよくありません。
 単行本での個人的なベストは「醜い顔 陰の顔」。
 にしても、ビデオレンタルのアダルト・コーナーに女子高生がいたら困るなあ…。(男同士でも大概きまずいのに。)

2023年2月25・26日 ページ作成・執筆

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