七色虹子「妖のビデオホラーシリーズB ラストリバース」
(1997年1月1日第1刷発行)

 黒崎妖(くろさき・あや)は不思議な雰囲気を持つ女子高生。
 その可愛らしい外見とは裏腹に、彼女はスプラッター・ホラーの大ファン。
 彼女お勧めのビデオを観た者の運命は…?

・「もつれた絆」(1995年「ホラーM」7月号)
「落合幸子は母子家庭。
 父親は彼女が幼い頃からおらず、母親は水商売で、幸子は中学校あたりから問題行動を起こすようになる。
 そして、高校生になった今では毎日、母親と諍いばかり。
 ある日、幸子は学校をサボって、化粧品店で万引きをして、補導される。
 母親が呼び出されるが、警察署で娘と掴み合いの喧嘩となり、出てきた後、幸子は母親に「死んじまえ」と吐き捨てて、走り去る。
 その夜、幸子がアパートに帰ろうとすると、妖に呼びかけられる。
 妖は、母親が死ねばいいと言ったのは「本心」かどうか尋ねるのだが…」

・「除霊遊戯」(1995年「ホラーM」8月号)
「森田佐知子は金縛りにあったことから霊に怯えるようになる。
 それにつけ込んだのが、阿川という女子生徒で、彼女は除霊と称して、インチキな儀式を行い、荒稼ぎをしていた。
 阿川は霊感があると言ってはいたが、他人に怪しまれないよう佐知子に口止めをする。
 だが、人の口に戸は立てられないもので、阿川の除霊のことをクラスメートに話してしまう。
 妖は阿川を不審に思い、佐知子から本当の事を聞き出す。
 妖が佐知子は騙されていると指摘すると、佐知子は自分にも非があると言って、阿川が反省してくれることを望む。
 妖は自分に任せるよう佐知子に言って…」

・「マーメイドマジック」(1995年「ホラーM」9月号)
「夏。寿海水浴場。
 妖と佐知子は川内久美の親戚の宿にただで泊まれる条件で、海の家で働いていた。
 彼女達に同行してきたのが、コギャルの大橋。
 彼女はムリヤリ計画に首を突っ込んできたのに、あちこちでブーたれまくりで、海の家での仕事もろくにしない。
 ある時、海の家に後藤隆之という日焼け青年が現れる。
 彼は久美の幼なじみであったが、数年見ないうちに、カッコよくなっていた。
 隆之と久美は再会を機に惹かれあうようになるが、大橋はそれを快く思わない。
 大橋は嫌がらせとして、二人の思い出の「人魚の浜」を汚すのだが…」

・「ラストリバース」(1995年「ホラーM」11月号)
「妖の行きつけのビデオレンタル。
 イケメンの店員が返却されないビデオがあると困っていたので、妖はその家に様子を見に行く。
 その家は普通の住宅街の中にあり、二階の窓に少年の姿が見える。
 玄関の扉が開いていたので、妖が中に入ると、少年が彼女のスカートを掴み、居間へと引っ張っていく。
 居間では、両親と少年の兄がテレビの前に座っていたが、テレビはサンドストームしか映っていない。
 妖は彼らが生きた人間ではないことに気づく。
 彼らは一年前の一家四人射殺事件の被害者で、少年はビデオでいろんな映画やアニメを観ることが大好きであった。
 妖は家から出ようとするのだが…」

・「友情の鎖」(1995年「ホラーM」12月号)
「高野由利の突然の自殺。原因は不明。
 彼女は大人しくて、目立たない少女で、友人は平田茉莉江だけであった。
 その後、茉莉江はクラスでも目立たない飯塚静子に声をかけ、二人は仲良くなる。
 茉莉江は裕福な家庭で、静子にいろいろとものをあげるが、その代わりに、静子は茉莉江のお願いを何でも聞かなくてはならなくなる。
 茉莉江にいいように使われるうちに、静子も茉莉江に惑わされていることに気づき始め、徐々に距離を置き始める。
 それに気づいた茉莉江は「仲よくしてあげた」のに、恩を仇で返されたと、静子にひどい態度をとる。
 だが、全てを妖は見ていた…」

 個人的に、「友情の鎖」が実に陰湿で、印象に残りました。
 平田茉莉江は地獄の底から当分出さんといてください。心からお願いします。

2023年2月26・28日 ページ作成・執筆

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